多田労務管理事務所 西新宿の社労士事務所

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脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました!

脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました!

 

業務による過重負荷を原因とする脳血管疾患及び虚血性心疾患等の労災認定に係る認定基準が、

今般、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」

として改正され、令和3年9月15日から施行されました。

新たな認定基準について、改正のポイントに関連する部分を中心に、ご紹介します。

 

1、改正のポイント

 

今回の改正においては、いわゆる過労死ラインといわれる「発症前1か月間に100時間

または2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働」の基準が維持された一方で、

次のようなことが行われました。

①長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して

労災認定することが明確化されました。

②長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因が見直され、

「休日のない連続勤務」「勤務間インターバルが短い勤務」「身体的負荷を伴う業務」などが

追加されました。

③短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合が明確化され、

「発症前おおむね1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が

認められる場合」などが例示されました。

④対象疾病に「重篤な心不全」が追加されました。

 

2、血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準

 

(1)対象疾病

この認定基準においては、次の脳・心臓疾患が対象疾病として取り扱われます。

・脳血管疾患:脳内出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症

・虚血性心疾患等:心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)、重篤な心不全、大動脈解離

 

(2)認定要件

次の①②又は③の業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患が、

業務に起因する疾病として取り扱われます。

①発症前の長期間(発症前おおむね6か月間)にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす

特に過重な業務(以下「長期間の過重業務」という。)に就労したこと。

②発症に近接した時期発症前(おおむね1週間)において、特に過重な業務

(以下「短期間の過重業務」という。)に就労したこと。

③発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事

(以下「異常な出来事」という。)に遭遇したこと。

 

3、長時間の過重業務に関する判断について

 

(1)労働時間の評価

疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間については、その時間が長いほど、

業務の過重性が増すものとされており、具体的には、次のように評価されます。

①発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が

認められない場合は、業務と発症との関連性が弱い。

おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まる。

発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、

1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強い。

 

(2)労働時間と労働時間以外の負荷要因の総合的な評価

前記(1)③の水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められる場合には、

特に他の負荷要因の状況を十分に考慮し、そのような時間外労働に加えて、

次のような労働時間以外の負荷が認められるときには、業務と発症との関連性が強いと

評価されます。

・勤務時間の不規則性(拘束時間の長い勤務、休日のない連続勤務、勤務間インターバルが

短い勤務、不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務)

・事業場外における移動を伴う業務(出張の多い業務、その他事業場外における移動を伴う業務)

心理的負荷を伴う業務、身体的負荷を伴う業務、作業環境

 

4、短期間の過重業務、異常な出来事に関する判断について

 

次のような場合には、業務と発症との関係性が強いと評価されます。

(1)短期間の過重業務

①発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合

発症前おおむね1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が

認められる場合等(手待時間が長いなど特に労働密度が低い場合を除く。)

(2)異常な出来事

業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合

②事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合

生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合

著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練、走行等を行った場合

著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業

温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合等

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