多田労務管理事務所 西新宿の社労士事務所

西新宿の社労士事務所

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活動

新型コロナウイルス感染症への対応を!

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が大きな懸念事項となっており、企業活動などにも影響が出始めています。

このようなときこそ、業務の合理化を図るとともに、労使で十分に話し合い、労働者が安心して働き、または、休みやすい環境を整備することが求められます。

 

1、感染防止に向けた取り組み

 

(1)テレワークの活用

テレワークは、本拠地のオフィスから離れた場所で、ICT(情報通信技術)を使って仕事をすることです。

テレワークの制度が整備されている企業では、その制度の範囲内でテレワークを実施することができます。

なお、テレワーク時にも労働基準関係法令が適用されますので、制度導入に当たっては、労働時間管理などを含めて、まずは就業規則などの規定を確認する必要があります。

 

(2)時差通勤やフレックスタイム制の活用

時差通勤とは、混雑緩和のため、ラッシュ時間帯の前後に通勤時間をずらすことです。

労働者及び使用者がその内容について十分な協議を行い、合意することによって、始業や終業の時刻を変更することができます。

一方、フレックスタイム制は、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ね、清算期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲内での労働を認める制度です。

フレックスタイム制の導入に当たっては、就業規則等の改定と労使協定の締結が必要です。

 

2、労働者の休業に関する取扱い

 

(1)事業の休止等により労働者を休ませる場合

新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合であっても、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当するときは、使用者は、休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければなりません。

 

(2)感染した労働者が休業する場合

新型コロナウイルスに感染し、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、使用者が休業手当を支払う必要はありません。

健康保険などの被用者保険に加入している労働者については、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。

 

(3)感染が疑われる労働者

感染が疑われる労働者を、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しますので、休業手当を支払う必要があります。

一方、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休業する場合は、通常の病欠と同様に取り扱い、年次有給休暇や、病気休暇などの特別休暇制度を活用することが考えられます。

 

(4)保育などを理由に休業する労働者

年次有給休暇その他の休暇制度の活用を含めて、労使で十分に話し合う必要があります。

場合によっては、テレワークでの対応なども検討し、柔軟に対応することが望まれます。

 

3、労働時間の関する取り扱い

 

(1)変形労働時間制の導入や変更

新型コロナウイルス感染症に関連して、人手不足のために労働時間が長くなる場合や、事業活動を縮小したために労働時間が短くなる場合については、1年単位の変形労働時間制を導入することが考えられます。

また、すでに1年単位の変形労働時間制を採用している事業場において、新型コロナウイルス感染症への対策による影響により、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業経営上著しく不適当と認められる場合には、特例的に、1年単位の変形労働時間制の労使協定を労使で合意解約をすることや、破棄条項に従って解約し、改めて協定し直すことも可能でしょう。

 

(2)特別条項付き36協定

新型コロナウイルス感染症に関連して、休む労働者が増え、残りの労働者が多く働くこととなった場合には、特別条項付き36協定を活用することが考えられます。

すでに特別条項付き36協定を締結している事業場においては、この場合も、一般的には、特別条項の理由として認められるものとされています。

現在、特別条項を締結していない事業場においても、法定の手続きを踏まえて労使の合意を行うことにより、特別条項付きの36協定を締結することが可能です。

 

4、助成金など

 

①新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した企業に雇用を維持してもらうため、雇用調整助成金の特例が実施され、その対象が拡大されています。

 

②新型コロナウイルスの感染防止のために要請された小中高校などの臨時休校に伴い、休業する保護者の所得減少に対応する新たな助成金制度が創設されます。

 

③経済産業省においても、経営相談窓口の開設、資金繰り支援(貸付・保証)、新型コロナウイルス対策補助事業、経営環境の整備(下請取引配慮要請、現地進出企業・現地情報及びジェトロ相談窓口、輸出入手続きの緩和等)等の施策がとられています。

働き方改革~不合理な待遇差の禁止(短時間労働者・有期雇用労働者)

 

令和2年4月1日(中小事業にあっては令和3年4月1日)より、同一企業内において、正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止され、短時間労働者及び有期雇用労働者についても、「均衡待遇規定」均等待遇規定」が整備されます。

 

1、短時間労働者(パートタイム労働者)、有期雇用労働者と通常の労働者

 

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆる「パートタイム労働法」)が、短時間労働者だけでなく、有期雇用労働者をも法の対象として、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」)に改称されます。

「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいいます。

「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいいます。

一方、「通常の労働者」とは、社会通念に従い、比較の時点で当該事業主において「通常」と判断される労働者をいい、具体的には、いわゆる正規型の労働者及び事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているフルタイム労働者(無期雇用フルタイム労働者)が該当します。

 

2、「均衡待遇規定」について

 

(1)「均衡待遇規定」の内容(不合理な待遇差の禁止)

事業主が、その雇用する短時間労働者及び有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、不合理と認められる相違を設けることが禁止されます。

均衡待遇規定は従来から、短時間労働者についてはパートタイム労働法に、有期雇用労働者については労働契約法に設けられていましたが、今回の改正により、パートタイム・有期雇用労働法に統合され、明確化が図られます。

 

(2)待遇差が不合理と認められるか否かの判断

「待遇」には、基本的に、すべての賃金(基本給、賞与、役職手当、食事手当など)、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等のすべての待遇が含まれますが、短時間労働者及び有期雇用労働者を定義づけるものである労働時間及び労働契約の期間については、ここにいう「待遇」に含まれません。

また、不合理性の判断の対象となるのは、待遇の「相違」 であり、この待遇の相違は、「短時間・有期雇用労働者であることに 関連して生じた待遇の相違」を指します。

 

短時間労働者及び有期雇用労働者と通常の労働者の待遇の相違の不合理性を判断する際の考慮要素としては、

①職務の内容(業務内容及び責任の程度)

②職務の内容及び配置の変更の範囲(有無を含む。)

③その他の事情((職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合との間の交渉といった労使交渉の経緯等)

が挙げられています。

不合理と認められるかどうかは、これらの考慮要素のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、判断します。

 

3、「均等待遇規定」について

 

(1)「均等待遇規定」の内容(差別的取扱いの禁止)

事業主が、通常の労働者と同視すべき短時間労働者及び有期雇用労働者について、短時間労働者及び有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをすることが禁止されます。

均等待遇規定が適用される場合には、すべての賃金、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等のすべての待遇(労働時間及び労働契約の期間を除く。)についての差別的取扱いが禁止されます。

均等待遇規定は従来、短時間労働者のみを対象としていましたが、今回の改正により、有期雇用労働者もその対象となります。

 

(2)「通常の労働者と同視すべき短時間労働者及び有期雇用労働者」

均等待遇規定の対象は、通常の労働者と同視すべき短時間労働者及び有期雇用労働者です。

「通常の労働者と同視すべき短時間労働者及び有期雇用労働者」とは、次のいずれにも該当する短時間労働者及び有期雇用労働者をいいます。

①職務の内容が通常の労働者と同一であること。

②当該事業所における慣行その他の事情からみて、職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)が、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、通常の労働者と同一である見込まれること。

 

4、まずは短時間労働者や有期雇用労働者の待遇の洗い出しを!

 

同一企業内に短時間労働者や有期雇用労働者がいる場合には、今回の改正に向けて、まず、それらの者の待遇がどのようなものとなっているかを洗い出してみることが不可欠です。

そのうえで、個々の待遇が正社員と同一か否か、異なる場合には、それを「不合理ではない」と説明できるか否かを確認してください。

もし待遇差が「不合理ではない」と言いがたい場合には、待遇の改善に向けた就業規則や賃金規程等の見直しも検討しなければなりませんので、早めに、十分な対応を!

働き方改革~雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

 

働き方改革の目的は、働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現することにあります。

このための大きな柱の一つである「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」のための改正が、2020(令和2)年4月1日(中小事業主については、短時間・有期雇用労働者に係る規定は、2021(令和3) 年4月1日)から施行されます。

 

1、いわゆるパートタイム労働法の改称

 

パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も、パートタイム労働法の対象に含まれることとなります。

これに伴い、法律の名称も、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(通称:パートタイム労働法)から「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(通称:パートタイム・有期雇用労働法)に改称されます。

 

2、不合理な待遇差をなくすための規定の整備

 

同一企業内において、正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止され、裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」「均等待遇規定」が整備されます。

どのような雇用形態を選択しても、待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を選択できるようにすることが、この目的です。

 

(1)均衡待遇規定及び均等待遇規定

均衡待遇規定は、①職務内容、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情を考慮して不合理な待遇差を禁止するものです。

均等待遇規定は、①職務内容、②職務内容・配置の変更の範囲が同じ場合は、差別的取扱いを禁止するものです。

なお、これらの場合における「職務内容」とは、業務の内容及び責任の程度のことです。

 

(2)パートタイム・有期雇用労働法の改正

均衡待遇規定について、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨が明確化されます。

均等待遇規定については、新たに有期雇用労働者も対象となります。

 

(3)労働者派遣法の改正

派遣労働者については、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇又は②一定の要件を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することが義務づけられます。

また、派遣先になろうとする事業主に対し、派遣先労働者の待遇に関する派遣元への情報提供が義務づけられます。

 

3、労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

 

非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができるようになります。

事業主又は派遣元事業主は、非正規社員に対して、次の事項を説明しなければなりません。

①雇入れ時:雇用管理上の措置の内容(賃金、福利厚生、教育訓練など)

②雇入れ後求めがあった場合:待遇決定に際しての考慮事項、待遇差の内容・理由

また、説明を求めた労働者に対する不利益取扱いを禁止する規定が創設されます。

 

4、行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備

 

今回の改正により、有期雇用労働者についても、行政による助言・指導等の根拠となる規定が整備されます。

また、非正規社員に係る「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても、裁判外紛争解決手続(行政ADR)の対象となり、都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続が行われることとなります。

 

5、「同一労働同一賃金ガイドライン」の策定

 

正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現するために、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(いわゆる「同一労働同一賃金ガイドライン」)が策定されました。

このガイドラインにおいては、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理なものでないのかが示されています。

また、不合理な待遇差の解消に向けては、賃金のみならず、福利厚生、キャリア形成・能力開発などを含めた取り組みが必要であるため、これらの待遇についても記載されています。

 

6、改正法施行に向けて

 

今回は、2020(令和2)年4月1日に施行される法改正の概要を取り上げました。

この詳細な内容については、改めてお伝えしていきますが、今や、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者が欠かせない存在となっている企業も多いことと思います。

企業内にパートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者がいる場合には、まずは、これらの労働者の待遇がどのようなものとなっているかを確認してみてくださいね。

 

職場のハラスメント防止対策を!~「職場のハラスメント撲滅月間」によせて

 

厚生労働省では、本年12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、

集中的な広報・啓発活動を実施することとしています。

この機会に改めて、職場のハラスメントについて整理しておきましょう。

 

1、職場のハラスメントとは?

 

(1)職場のパワーハラスメント(パワハラ)

職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されることをいいます。

次の6類型が挙げられますが、必ずしもこれがすべてというわけではありません。

①身体的な攻撃(暴行・傷害)

②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)

③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の 妨害)

⑤過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 

(2)職場のセクシュアルハラスメント(セクハラ)

職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることをいい、次の2類型があります。

①対価型セクシュアルハラスメント:職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けること

②環境型セクシュアルハラスメント:職場において行われる性的な言動により労働者の就業環境が害されること

 

(3)職場の妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(マタニティハラスメント(マタハラ)、パタニティハラスメント(パタハラ)、ケアハラスメント(ケアハラ))

職場において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業・介護休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることをいい、次の2類型があります。

①制度等の利用への嫌がらせ型:出産・育児・介護に関連する制度の利用に際し、当事者が利用をあきらめざるを得ないような言動で制度利用を阻害すること

②状態への嫌がらせ型:出産・育児などにより就労状況が変化したことなどに対し、嫌がらせをすること

 

2、事業主の講ずべき措置

 

事業主は職場のセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントを防止するために、次の措置を講じる必要があります。

 

(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

①ハラスメントの内容、方針等の明確化と周知・啓発

②行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発

(2)相談(苦情を含む。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

①相談窓口の設置

②相談に対する適切な対応

(3)職場ハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

①事実関係の迅速かつ正確な確認

②被害者に対する適正な配慮の措置の実施

③行為者に対する適正な措置の実施

(4)職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置

①再発防止措置の実施

②業務体制の整備など事業主や妊娠等した労働者等の実情に応じた必要な措置

(5)これらの措置と併せて講ずべき措置

①当事者などのプライバシー保護のための措置の実施と周知

②相談、協力等を理由に不利益な取扱いを行ってはならない旨の定めと周知・啓発

 

3、労働施策総合推進法等の改正(令和2年6月1日施行予定)

 

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が令和元年6月5日に公布され、労働施策総合推進法について、次のような改正が行われました。

(1)国の施策の一つとして職場のハラスメント対策を明記

(2)パワーハラスメント防止対策の法制化

職場におけるパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となり、適切な措置を講じていない場合には是正指導の対象となります(中小事業主は令和4年3月31日までは努力義務の予定)

 

また、労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等に関する相談をしたこと等を理由とした事業主による不利益な取扱いが禁止されるなど、セクシュアルハラスメント等防止対策の実効性の向上を図るための男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の改正が行われます。

 

4、ハラスメントのない職場に!

 

職場のいじめ・嫌がらせについては、都道府県労働局への相談が増加傾向にあるなど、大きな課題の一つとなっており、ハラスメント対策強化のための法改正も予定されています。

「ハラスメントなんて、うちの職場には関係ない」などと思わず、まず「ハラスメントとは何か」を理解し、必要な対策を講じてください。

事態が深刻化する前に、職場で十分なコミュニケーションを図ることも重要ですよ!

就職後3年以内の離職率は新規大卒就職者で約3割!

 

先日、厚生労働省から、「新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)」が公表されました。

若年層の失業率は全年齢と比べて高いものの低下傾向にあります。また、新規学卒者の就職率も改善が進んでいますが、早期に離職してしまうことも少なくないようです。

 

1、「新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)」

(1)学歴別就職後3年以内離職率

新規高卒就職者の約4割、新規大卒就職者の約3割が就職後3年以内に離職しています。

【大学卒】

32.0%(前年比0.2ポイント増加)

うち、1年目が11.4%、2年目が10.6%、3年目が10%

【短大等卒】

42.0%(前年比0.5ポイント増加)

うち、1年目が17.5%、2年目が12.4%、3年目が12%

【高校卒】

39.2%(前年比0.1ポイント減少)

うち、1年目が17.4%、2年目が11.7%、3年目が10.1%

【中学卒】

62.4%(前年比1.7ポイント減少)

うち、1年目が41.1%、2年目が13.6%、3年目が7.7%

 

(2)大学卒及び高校卒の事業所規模別就職後3年以内離職率

大学卒及び高校卒とも、企業規模が小さいほど就職後3年以内離職率が高くなっています。

【大学卒】

1,000人以上規模:25.0%

500~999人規模:29.6%

100~499人規模:32.2%

30~99人規模:39.3%

5~29人規模:49.7%

5人未満規模:57.7%

【高校卒】

1,000人以上規模:26.0%

500~999人規模:33.1%

100~499人規模:37.6%

30~99人規模:46.0%

5~29人規模:55.4%

5人未満規模:64.9%

 

(3)大学卒及び高校卒の産業別就職後3年以内離職率(「その他」の業種を除く。)

離職率の高い上位5産業をみると、大学卒及び高校卒のいずれでも、「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「教育・学習支援業」「小売業」で高くなっています。

【大学卒】

「宿泊業・飲食サービス業」(50.4%、

「生活関連サービス業・娯楽業」(46.6%)

「教育・学習支援業」(45.9%)

「医療、福祉」(39.0%)

「小売業」(37.4%)

【高校卒】

「宿泊業・飲食サービス業」(62.9%)

「生活関連サービス業・娯楽業 」(58.0%)

「教育・学習支援業 」(58.0%)

「小売業」(49.4%)

「不動産業、物品賃貸業」(46.7%)

 

2、事業主が青少年の職場への定着促進のために講じるべき措置

「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」においては、事業主が青少年の職場への定着促進のために講ずべき措置として、次のものが掲げられています。

(1)雇用管理の改善に係る措置

①賃金不払い等の労働関係法令違反が行われないよう適切な雇用管理を行うこと。

②職場に定着し、就職した企業で安定的にキャリアを形成していくため、青少年の能力や経験に応じた適切な待遇を確保するよう雇用管理の改善に努めること。

③能力・資質、キャリア形成等に係る情報明示、不安定な雇用状態にある青少年の正社員登用等、労働法制に関する基礎知識の付与に努めること。

 

(2)職業能力の開発及び向上に係る措置

次に掲げる措置等を講ずるよう努めること

・OJT(業務の遂行の過程内において行う職業訓練)及びOFF-JT(業務の遂行の過程外において行う職業訓練)を計画的に実施すること。

・実習併用職業訓練を必要に応じ実施すること

・青少年の希望等に応じ、青少年が自ら職業能力の開発及び向上に関する目標を定めるために、業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の内容及び程度、企業内におけるキャリアパス等についての必要な情報の提供、キャリアコンサルティングを受ける機会の確保その他の援助を行うこと。

 

3、若者雇用促進法に基づく「ユースエール認定制度」

「ユースエール認定制度」とは、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況等が優良な中小企業(常時雇用する労働者が300人以下)を厚生労働大臣が認定するものです。

認定企業の情報発信を後押しすること等で、企業が求める人材の円滑な採用を支援し、求職中の若者とのマッチング向上を図ることが目的とされています。

この認定を取得すると、ハローワーク等で重点的PRの実施、若者の採用・育成を支援する関係助成金を加算、本政策金融公庫による低利融資、公共調達における加点評価などといったメリットがあります。

 

4、若者を貴重な戦力に!

就職後3年以内離職率に影響を及ぼす要因の一つには、卒業時の就職環境があり、新規学卒者就職率が低かった年は、離職率が高くなる傾向があるといわれています。

とはいえ、人手不足が深刻化する昨今、採用した従業員が、会社の戦力となる前に離職してしまうことは、事業主にとっても従業員本人にとっても大きな損失です。

若者の採用や人材育成については、行政のサポートや助成制度などもありますので、なかなかよい人材が集まらないと悩んでいる前に、今ある従業員が定着し、その能力を発揮できるよう、職場環境の改善に取り組んでみませんか?

最低賃金制度~地域別最低賃金が引き上げられました!

 

令和元年度の地域別最低賃金が10月1日から順次、発効され、全国で初めて東京都と神奈川県で1,000円を超えました。

最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には罰則の適用もありますし、この影響は少なくないといえます。

 

1、最低賃金制度の概要

(1)そもそも最低賃金制度とは?

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

最低賃金額より低い賃金を労働者と使用者の合意の上で定めても、それは無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

 

最低賃金には、地域別最低賃金特定最低賃金があります。

地域別最低賃金は、各都道府県に一つずつ、全部で47件が定められています。

特定最低賃金は、全国で229件(平成31年3月31日現在)が定められています。

地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

 

(2)最低賃金の適用される労働者の範囲

地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。

特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に適用されます。

派遣労働者には、派遣先の地域別最低賃金又は特定最低賃金が適用されます

 

なお、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

①精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者

②試みの使用期間中の者

③認定職業訓練を受けている者のうち厚生労働省令で定めるもの

④軽易な業務に従事する者又は断続的労働に従事する者

 

(3)最低賃金の対象となる賃金

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。

実際に支払われる賃金から一部の賃金(割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当など)を除いたものが対象となります。

 

(4)最低賃金額以上かどうかの確認

賃金額が最低賃金額以上となっているかどうかは、原則として、賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金(時間額)と比較して確認します。

時間給制の場合は「時間給」、日給制の場合は「日給÷1日の所定労働時間」、月給制の場合は「月給÷1箇月平均所定労働時間」が最低賃金額以上となっている必要があります。

 

2、最低賃金の改定

最低賃金は、最低賃金審議会において、賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分に参考にしながら審議を行ったうえで決定されます。

地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会から示される引き上げ額の目安を参考にしながら、地方最低賃金審議会(公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成)での地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長により決定されます。

特定最低賃金は、関係労使の申出に基づき地方(又は中央)最低賃金審議会が必要と認めた場合において、地方(又は中央)最低賃金審議会の審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長(又は厚生労働大臣)により決定されます。

 

3、令和元年度の地域最低賃金額

令和元年度の地域別最低賃金額については、次のような改定が行われました。

全国初めて東京都(1,013円)、神奈川県(1,011円)で、1,000円を超えました。

②全国加重平均額は901円で、昨年度の874円から27円の引き上げとなりました。この27円の引き上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。

最高額(1,013円)と最低額(790円)の金額差は、223円(昨年度は224円)となり、平成15年以降16年ぶりの改善となりました。また、最高額に対する最低額の比率も、78.0%(昨年度は77.3%)と、5年連続の改善となりました。

④東北、九州などを中心に全国で中央最低賃金審議会の目安額を超える引き上げが19県で行われました。目安額を3円上回る引上げ(鹿児島県)があったのは、6年ぶりです。

 

4、最低賃金・賃金引上げに向けた取り組みを!

最低賃金額の引き上げに伴い、賃金の引き上げが必要な事業所もあるでしょう。

労働者にとって、やはり賃金が高いことは魅力の一つです。

事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対する助成制度なども設けられていますので、業務の効率化や生産性の向上を図り、賃金の引き上げにも取り組みたいところです。

賃金不払残業をしたり、させたりしていませんか?

 

先般、厚生労働省より、「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)」が公表されました。

そこで、今回は、労働基準法上の割増賃金の支払義務と併せて、ご紹介します。

 

1、「賃金不払残業」とは?

 

賃金不払残業とは、所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して賃金又は割増賃金 を支払うことなく労働を行わせることをいいます。

いわゆるサービス残業のことですが、これをさせることは労働基準法違反であり、労働基準監督署による監督指導の対象となるほか、罰則の適用もあります。

 

2、「監督指導による賃金不払残業の是正結果」

 

(1)「監督指導による賃金不払残業の是正結果」の概要

厚生労働省は、年度ごとに、時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果を取りまとめています。

平成30年度の結果においては、全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成30年4月から平成31年3月までの期間に不払いだった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案が取りまとめられています。

 

(2)平成30年度結果のポイント

①是正企業数は、1,768企業(前年度比102企業の減)でした。

このうち、1,000万円以上の割増賃金を支払った企業数は、228企業(前年度比34企業の減)となっています。

業種別では、製造業が最も多く(332企業)、次いで商業(319企業)、保健衛生業(230企業)、建設業(179企業)などとなっています。

②対象労働者数は、11万8,837人(同89,398人の減)でした。

業種別では、保健衛生業が最も多く(23,981人)、製造業(23,922人)、商業(15,516人)、運輸交通業(10,355人)などとなっています。

③支払われた割増賃金合計額は、125億6,381万円(同320億7,814万円の減)でした。

業種別の是正支払額は、保健衛生業が最も多く(272,010万円)、次いで商業(186,407万円)、製造業(174,632万円)、教育・研究業(137,392万円)などとなっています。

④支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円でした。

 

3、割増賃金の支払義務

 

使用者は、労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、法令で定める割増賃金率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。

(1)割増賃金率

①時間外労働(法定時間外労働 (1日8時間、1週40時間(特例措置事業場は1週44時間)を超える労働):2割5分以上(1か月60時間を超える時間外労働時間に対しては、5割以上(中小企業は令和5年4月から))

②休日労働(法定休日(週1日又は4週を通じて4日)における労働):3割5分以上

③深夜労働(午後10時から午前5時までにおける労働):2割5分以上

なお、時間外労働が深夜業となった場合は、合計5割(=2割5分+2割5分)以上の割増賃金を支払う必要がありますし、休日労働が深夜業となった場合は6割(=3割5分+2割5分)以上の割増賃金を支払う必要があります。

 

(2)割増賃金額

割増賃金は、「1時間当たりの賃金額×時間外労働等をさせた時間数×割増賃金率」により計算します。

例えば、通常1時間当たり1,000円で働く労働者の場合は、時間外労働1時間につき、割増賃金(250円=1,000円×1時間×0.25)を含め1,250円以上を支払う必要があるわけです。

なお、1時間当たりの賃金額は、月給制の場合には、「月の所定賃金額÷1か月の(平均)所定労働時間数」により計算します。

 

(3)割増賃金の基礎となる賃金及び除外できるもの

割増賃金は、所定労働時間の労働に対して払われる「1時間当たりの賃金」を基礎として計算します。

ただし、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、基礎となる賃金から除外することができます(なお、このような名称の手当であれば、すべて除外できるわけではありません。)。

 

4、適正な労働時間の把握と割増賃金の支払いを!

 

今回監督指導の対象となった企業では、タイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか定期的に確認するなど、賃金不払残業の解消のために様々な取組みが行われているようです。

しかし、全体からみれば、調査対象となる企業は、恐らくほんの一握りです。

もし「多少のサービス残業はやむを得ない」などという企業風土があるのであれば、まずはこれを改め、労働時間の管理を適正化し、賃金不払残業を解消する取り組みを始めましょう。

「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が過去最高~個別労働紛争解決制度の施行状況

 

先日、厚生労働省より「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されました。

個別労働紛争解決制度と、その施行状況についてご紹介します。

 

1、「個別労働紛争解決制度」とは?

 

個別労働紛争解決制度は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度です。

紛争解決の方法としては、次の三つがあります。

(1)総合労働相談

都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など380か所(平成31年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーが設置され、専門の相談員が対応しています。

個別労働紛争の未然防止及び自主的な解決の促進のため、労働者又は事業主に対し、情報の提供、相談その他の援助を行います。

(2)都道府県労働局長による助言・指導

民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことにより、紛争当事者の自主的な解決を促進する制度です。

助言は、当事者の話し合いを促進するよう口頭又は文書で行われます。

指導は、当事者のいずれかに問題がある場合に問題点を指摘し、解決の方向性が文書で示されます。

(3)紛争調整委員会によるあっせん

都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員(弁護士や大学教授など労働問題の専門家)が紛争当事者の間に入って話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度です。

 

2、「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の概要

 

(1)総合労働相談件数、助言・指導の申出件数、あっせん申請の件数は、いずれも前年度より増加しています。

①総合労働相談件数は、111万7,983件(前年度比1.2%増)で、11年連続で100万件を超え、高止まりしています。

このうち、民事上の個別労働紛争相談件数は、26万6,535件(同5.3%増)です。

「民事上の個別労働紛争」とは、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働基準法等の違反に係るものを除く)をいいます。

②助言・指導申出件数は、9,835件(同7.1%増)です。

③あっせん申請件数は、5,201件(同3.6%増)です。

 

(2)相談内容別では、民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数のすべてで、「いじめ・嫌がらせ」が過去最高となっています。

①民事上の個別労働紛争の相談件数では、「いじめ・嫌がらせ」が82,797件(前年度比14.9%増)と最も多く、次いで、「自己都合退職」が41,258件(同5.9%増)、「解雇」が32,614件(同2.0%減)、「労働条件の引下げ」 が27,082件(同4.8%増)となっています。

②助言・指導の申出では、「いじめ・嫌がらせ」が2,599件(同15.6%増)と最も多く、次いで、「自己都合退職」が965件(同11.7%増)、「解雇」が936件(同5.5%減)、「労働条件の引下げ」が825件(同6.5%増)となっています。

③あっせんの申請では、「いじめ・嫌がらせ」が1,808件(同18.2%増)と最も多く、次いで、「解雇」が1,112件(同5.8%減)、「雇止め」が448件(同17.8%減)、「退職勧奨」が360件(同15.4%増)、「労働条件の引下げ」が338件(同4.8%減)となっています。

 

3、あっせん手続きの流れ

 

あっせんの手続きは、次のような流れで行われます。

①あっせんの申請をしようとする者は、あっせん申請書を当該あっせんに係る紛争当事者である労働者に係る事業場の所在地を管轄する都道府県労働局の長に提出します。

②都道府県労働局長は、個別労働紛争の解決のために必要があると認めるときは、都道県労働局に設置されている紛争調整委員会にあっせんを行わせます。

③あっせんの期日を定めて、紛争当事者に開始通知がなされ、あっせんへの参加・不参加の意思確認が行われます。

④紛争当事者の双方があっせん案を受諾した場合は、合意成立となります。

紛争当事者の双方又は一方が参加しない場合、あっせん案を受諾しない場合、あっせんの打切りを申し出た場合には、打ち切りとなります。

ちなみに、あっせん手続きの終了件数に占める合意成立件数の割合は、40%弱で推移しています。

 

4、トラブルの早期解決を!

 

個別労働紛争解決制度は、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づき設けられたものですが、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争は、できれば未然に防止したいものです。

また、同法では、このような紛争が生じたときは、紛争当事者に、早期に、かつ、誠意をもって、自主的な解決を図るように努めることも求めています。

たとえば、職場で「いじめ・嫌がらせ」の事案などが発生した場合にも、トラブルが小さいうちに職場内で解決できることが望ましいといえます。

そのような際に必要なことがあれば、私たち社会保険労務士にも相談してくださいね。

働き方改革関連法~「労働施策総合推進法」施行から1年!

 

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、2018(平成30)年7月6日に公布されてから1年が経過しました。

具体的な制度が実施され始めたのは、2019(平成31)年4月1日からですが、これらに先だって、「雇用対策法」が「労働施策総合推進法」に改称・改正されています。

 

1、「労働施策総合推進法」

 

働き方改革関連法の公布と同時に、従来の「雇用対策法」が「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(通称:労働施策総合推進法)に改称されました。

同法の目的には、労働施策を総合的に講ずることにより、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実、労働生産性の向上を促進して、労働者がその能力を有効に発揮することができるようにし、その職業の安定等を図ることが明記されています。

また、労働者は、職務及び職務に必要な能力等の内容が明らかにされ、これらに即した公正な評価及び処遇その他の措置が効果的に実施されることにより、職業の安定が図られるように配慮されるものとされています。

 

2、「労働施策基本方針」の策定

 

労働施策総合推進法においては、国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めなければならないこととされています。

これに基づき、「労働施策基本方針」が策定されました(2018(平成30)年12月28日閣議決定)。

労働施策基本方針においては、働き方改革の意義やその趣旨を踏まえた国の施策に関する基本的な事項等について示されています。

 

3、改めて「働き方改革」の意義とその施策

 

(1)働き方改革の目指す社会

「労働施策基本方針」では、働き方改革の意義やその趣旨を踏まえた国の労働施策に関する基本的な事項等が示されています。

これによれば、働き方改革によって目指す社会は、次のようなものです。

①誰もが生きがいを持って、その能力を有効に発揮することができる社会

②多様な働き方を可能とし、自分の未来を自ら創ることができる社会

③意欲ある人々に多様なチャンスを生み出し、企業の生産性・収益力の向上が図られる社会

 

(2)労働施策に関する基本的な事項

働き方改革に関する国の労働施策においては、次のようなことがなされています。

①労働時間の短縮等の労働環境の整備(長時間労働の是正、過労死等の防止、最低賃金・賃金引上げと生産性向上、産業医・産業保健機能の強化、職場のハラスメント対策及び多様性を受け入れる環境整備など)

②均衡のとれた待遇の確保、多様な働き方の整備(雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保など非正規雇用労働者の待遇改善、正規雇用を希望する非正規雇用労働者に対する正社員転換等の支援など)

③多様な人材の活躍促進(女性の活躍推進、若者の活躍促進、高齢者の活躍促進、障害者等の活躍促進、外国人材の受入環境の整備など)

④育児・介護・治療と仕事との両立支援(育児や介護と仕事の両立支援、治療と仕事の両立支援など)

⑤人的資本の質の向上、職業能力評価の充実(リカレント教育等による人材育成の推進など)

⑥転職・再就職支援、職業紹介等の充実(成長分野等への労働移動の支援など)

⑦働き方改革の円滑な実施に向けた連携体制整備

 

(3)労働者が能力を有効に発揮できるようにすることに関するその他の重要事項

前記(2)の労働施策に加えて、次のような施策がなされます。

①商慣行の見直しや取引環境の改善など下請取引対策の強化

②労働条件の改善に向けた生産性の向上支援

③学校段階における職業意識の啓発、労働関係法令等に関する教育の推進

 

(4)働き方改革の効果

これらの施策の効果としては、①労働参加率の向上、②イノベーション等を通じた生産性の向上、③企業文化・風土の変革、④働く人のモチベーションの向上、⑤賃金の上昇と需要の拡大、⑥職務の内容や職務に必要な能力等の明確化、公正な評価・処遇等が期待されます。

 

4、「働き方改革」とは言うけれど!?

 

国の大きな政策に取り上げられて以降、本当に「働き方改革」という言葉をよく耳にするようになりました。

そして、年次有給休暇の事業主による時季指定や時間外労働の上限規制など、具体的な制度がすでに導入されています。

しかし、事業主や実際に働く労働者の意識が変わらなければ、どのような制度も絵に描いた餅となってしまいます。

働き方改革関連法施行から1年のこの機会に、何のための改革なのかに思いをめぐらせつつ職場を見回してみると、改善すべきところが見つかるかもしれませんね。

働き方改革関連法~「高度プロフェッショナル制度」を新設

 

働き方改革関連法の施行により、2019(平成31)年4月1日から、労働基準法が改正され、高度プロフェッショナル制度が新設されました。

 

1、「高度プロフェッショナル制度」とは?

 

「高度プロフェッショナル制度」とは、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象として、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度です。

その導入に当たっては、労使委員会の決議及び労働者本人の同意が前提となるほか、年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずる必要があります。

 

2、対象となる労働者及び業務の範囲

 

(1)対象労働者

対象となる労働者は、次のいずれにも該当するものに限定されます。

①使用者との間の合意に基づき職務が明確に定められていること

②使用者から確実に支払われると見込まれる1年間当たりの賃金の額が少なくとも1,075万円以上であること

③対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則であり、対象業務以外の業務にも常態として従事している者は対象労働者とはならないこと

 

なお、上記①については、使用者は、(ア)業務の内容、(イ)責任の程度、(ウ)職務において求められる成果その他の職務を遂行するに当たって求められる水準を明らかにした書面に労働者の署名を受けることにより、職務の範囲について労働者の合意を得なければなりません。

 

(2)対象業務

対象となる業務は、次に掲げるものに限られます。

また、当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものは除かれます。

金融工学等の知識を用いて行う商品開発業務

資産運用(指図を含む。以下同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務

有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務

顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務

新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

 

3、高度プロフェッショナル制度の導入に当たって

 

(1)導入手続

高度プロフェッショナル制度を事業場に導入するに当たっては、労使委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により決議をし、かつ、使用者が、当該決議を所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません

決議すべき事項には、①対象業務、②対象労働者の範囲、③健康管理時間の把握、④休日の確保、⑤選択的措置、⑥健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置、⑦同意の撤回に関する手続き、⑧苦情処理措置、⑨不利益取り扱いの禁止、⑩その他厚生労働省令で定める事項があります。

 

(2)対象労働者の同意

高度プロフェッショナル制度を労働者に適用するに当たっては、使用者は、次に掲げる事項を明らかにした書面に対象労働者の署名を受け、当該書面の交付を受ける方法(当該対象 労働者が希望した場合にあっては、当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供を受ける方法)により、当該対象労働者の同意を得なければなりません。

①同意をした場合には労働基準法第4章の規定が適用されないこととなる旨

②同意の対象となる期間

③同意の対象となる期間中に支払われると見込まれる賃金の額

 

(3)対象労働者の健康確保措置

使用者は、高度プロフェッショナル制度の対象労働者に対して、①健康管理時間の把握、②休日の確保、③選択的措置、④健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置を実施しなければなりません。

 

4、まずは制度を知ることから!

 

高度プロフェッショナル制度は、働き過ぎを防ぎながら、ワーク・ライフ・バランスと多様で柔軟な働き方を実現するための一つの制度として、新設されました。

とはいえ、その導入は進んでおらず、厚生労働省の発表によると、その適用を受けた労働者は制度開始後1か月となる2019年4月末時点で、全国で1人だったそうです。

導入には少々ハードルが高く、慎重にならざるをえない感じもしますが、「指針」なども定められていますので、まずはこの制度を知るところから始めてみてくださいね。