法律トピックス
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合計特殊出生率は過去最低~令和5年人口動態統計月報年計(概数)より
先日、「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)」が公表されました。
合計特殊出生率が過去最低の「1.20」となったことが大きな話題となっていますので、
今回は、この結果の概要をお知らせします。
1、人口動態調査について
人口動態調査は、統計法に基づく基幹統計の一つである「人口動態統計」を作成するための統計調査として、
行われているものです。
その目的は、出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の人口動態事象を把握し、
人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることにあります。
今回の結果では、令和5年1年間に日本において発生した日本人の事象を集計しています。
2、令和5年の結果のポイント
①出生数:727,277人で過去最少(8年連続減少)(対前年43,482人減少)
②合計特殊出生率:1.20で過去最低(8年連続低下)(同0.06ポイント低下)
③死亡数:1,575,936人で過去最多(3年連続増加)(同6,886人増加)
④自然増減数:△848,659人で過去最大の減少(17年連続減少)(同50,368人減少)
⑤死産数:15,532胎で増加(同353胎増加)
⑥婚姻件数:474,717組で減少(同30,213組減少)
⑦離婚件数:183,808組で増加(同4,709組増加)
3、令和5年の結果の概要
(1)出生数について
・出生数は727,277人で、前年より43,482人減少し、出生率(人口千対)は6.0で、前年より低下しています。
・出生数の年次推移をみると、昭和24年をピークに、昭和50年以降は減少と増加を繰り返しながら
減少傾向が続いており、平成27年は5年ぶりに増加しましたが、平成28年から再び減少しています。
・第1子出生時の母の平均年齢は平成27年から横ばいとなっていましたが、令和3年は6年ぶりに上昇し、
令和5年は31.0歳で、2年ぶりに上昇しました。
(2)合計特殊出生率について
合計特殊出生率とは、ここでは、その年次の15歳~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、
1人の女性がその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子ども数に相当します。
・令和5年の合計特殊出生率は1.20で、前年の1.26より低下し、過去最低となりました。
・年次推移をみると、平成18年から上昇傾向が続いていましたが、平成26年に低下し、
平成27年の再上昇の後、平成28年からは再び低下しています。
・合計特殊出生率の内訳を母の年齢(5歳階級)別にみると、最も出生率が高いのは、30~34歳となっています。
出生順位別では、全ての順位で低下しています。
・都道府県別にみると、沖縄県(1.60)、宮崎県(1.49)、長崎県(1.49)が高く、東京都(0.99)、
北海道(1.06)、宮城県(1.07)が低くなっています。
(3)死亡数・死亡率について
・令和5年の死亡数は1,575,936人で、前年より増加しています。
・死亡数の年次推移をみると、昭和50年代後半から増加傾向となり、平成15年に100万人を超え、
増加傾向が続きました。令和2年は11年ぶりに減少しましたが、再び増加に転じ令和4年に続き、
令和5年も150万人台となっています。
・死亡率(人口10万対)を年齢(5歳階級)別にみると、50~54歳及び70~74歳を除く40歳以上の各階級で
前年より低下しています。
(4)婚姻について
・令和5年の婚姻件数は474,717組で、前年より減少し、婚姻率(人口千対)は3.9で、前年より低下しています。
・婚姻件数の年次推移をみると、昭和47年をピークに、昭和50年代以降は増加と減少を繰り返しながら
推移しています。平成25年からは、令和元年に7年ぶり、令和4年に3年ぶりの増加がありましたが、
減少傾向が続いています。
・初婚の妻の年齢(各歳)の構成割合を10年ごとに比較すると、ピークの年齢は、20年前は27歳で、
令和5年は26歳となっていますが、年齢の低い者の割合が低下し、年齢の高い者の割合が上昇する傾向にあります。
・令和5年の平均初婚年齢は、夫31.1歳、妻29.7歳で、夫妻ともに前年と同年齢となっています。
これを都道府県別にみると、平均初婚年齢が最も低いのは、夫が島根県及び宮崎県の30.0歳、妻は島根県の28.9歳、
最も高いのは夫妻とも東京都で、夫32.3歳、妻30.7歳となっています。
(5)離婚について
・令和5年の離婚件数は183,808組で、前年より増加し、離婚率(人口千対)は1.52で、前年より上昇しています。
・離婚件数の年次推移をみると、昭和39年以降毎年増加を続けましたが、昭和59年からは減少しました。
平成に入り再び増加傾向にありましたが、平成14年をピークに減少傾向が続いています。
割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて
在宅勤務をする労働者に使用者から支給されるいわゆる在宅勤務手当について、
割増賃金の算定基礎から除外することができる場合を明確化するため、
在宅勤務手当が実費弁償と整理される場合について、先般、厚生労働省労働基準局長から、
改めて通知が発出されました。
1、割増賃金の基礎となる賃金について(労働基準法第37条第5項、同則第21条)
労働基準法においては、割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金として、
①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金及び
⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つが規定されています。
この点に関し、在宅勤務手当については、労働基準関係法令上の定めはなく、
企業において様々な実態がみられますが、一般的には、この7つには該当しないと考えられます。
したがって、当該手当が労働基準法第11条に規定する賃金に該当する場合には
、割増賃金の基礎となる賃金に算入されることになります。
これに対して、在宅勤務手当が、事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると
整理される場合には、当該手当は同法第11条に規定する賃金に該当せず、
割増賃金の基礎となる賃金にも算入されないこととなります。
2、実費弁償の考え方
通知によれば、在宅勤務手当が、事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると
整理されるためには、次のことが必要であるとされています。
①労働者が実際に負担した費用のうち業務のために使用した金額を特定し、
当該金額を精算するものであることが外形上明らかであること。
②上記①のため、就業規則等で実費弁償分の計算方法が明示されており、かつ、当該計算方法は、
在宅勤務の実態(勤務時間等)を踏まえた合理的・客観的な計算方法であること。
したがって、例えば、企業が従業員に対して毎月一定額を支給し、従業員が在宅勤務に通常必要な費用として
使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの等は、実費弁償に該当せず、賃金に該当し、
割増賃金の基礎に算入すべきものとなります。
3、実費弁償の計算方法
在宅勤務手当のうち実費弁償に当たり得るものには、事務用品等の購入費用、
通信費(電話料金、インターネット接続に係る通信料)、電気料金などがありますが、
これらが「事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されている」と整理されるために必要な
「在宅勤務の実態(勤務時間等)を踏まえた合理的・客観的な計算方法」としては、
次の方法などが考えられることとされています。
(1)国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」
(国税庁FAQ)で示されている計算方法
(2)前記(1)の一部を簡略化した計算方法
(3)実費の一部を補足するものとして支給する額の単価をあらかじめ定める方法
4、実費弁償の具体的な計算方法~通信費、電気料金等~
(1)国税庁FAQで示されている計算方法〔前記3(1)〕による場合
業務のために使用した部分の計算方法として、次のような算式が示されています。
・インターネット接続に係る基本使用料や通信料等
=従業員が負担した1か月の基本使用料や通信料等×(その従業員の1か月の在宅勤務日数÷当該月の日数)
×2分の1
・電気料金に係る基本料金や使用料
=従業員が負担した1か月の基本料金や電気使用料×(業務のために使用した部屋の床面積÷自宅の床面積)
×(その従業員の1か月の在宅勤務日数÷当該月の日数)×2分の1
(2)前記(1)の一部を簡略化した計算方法〔前記3(2)〕による場合
手当の支給対象となる労働者ごとに、手当の支給月からみて直近の過去複数月(3か月程度)の「各料金の金額」
及び「当該複数月の暦日数」並びに「在宅勤務をした日数」を用いて、業務のために使用した1か月当たりの
各料金の額を前記(1)の例により計算します。
この計算方法による場合には、在宅勤務手当の金額を毎月改定する必要はなく、
当該金額を実費弁償として一定期間(最大で1年程度)、継続して支給することができますが、
常態として当該手当の額が実費の額を上回っているような場合には、当該上回った額は、
賃金として割増賃金の基礎に算入すべきものとなります。
(3)実費の一部を補足するものとして支給する額の単価をあらかじめ定める方法〔前記3(3)〕による場合
この方法は、実費の額を上回らないよう1日当たりの単価をあらかじめ合理的・客観的に定めたうえで、
当該単価に在宅勤務をした日数を乗じた額を支給するものです。
合理的・客観的に単価を定める方法としては、次の手順が例示されています。
①企業内の一定数の労働者について、国税庁FAQの例により、1か月当たりの額を計算する。
②前記①の計算により得られた額を、当該労働者が当該1か月間に在宅勤務をした日数で除し、
1日当たりの単価を計算する。
③一定数の労働者についてそれぞれ得られた1日当たりの単価のうち、最も額が低いものを、
当該企業における在宅勤務手当の1日当たりの単価として定める。
育児休業給付金の受給期間延長手続きの厳格化
育児休業給付金の受給期間について、子供を保育所に入所する意思がないにもかかわらず、
これを延長する目的で自治体に入所を申し込む者があり、これが自治体の負担となっているとの指摘などを受けて、
令和7年4月1日以降、その延長の可否の判断が厳格化されることとなりました。
1、育児休業給付金の受給期間
育児休業給付金については、原則として、子が1歳に達する日までの休業について支給することとされています。
ただし、「子が1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と
認められる場合」には、1歳6か月又は2歳に達する日まで支給することができます。
この「子が1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合」の
1つとして、「育児休業の申出に係る子について、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、
当該子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」が規定されています。
なお、この場合の「保育所等」とは、児童福祉法に規定する保育所、認定こども園法に規定する
認定こども園又は児童福祉法に規定する家庭的保育事業等をいい、「保育所」には、
いわゆる無認可保育施設は含まれません。
2、現行の手続き
「保育所等における保育の利用を希望し申込みを行っているが、当面保育が実施されない場合」として、
育児休業給付金の受給期間の延長に当たっては、育児休業の申出に係る子について、
次のいずれにも該当することが必要です。
(1)あらかじめ市町村に対して保育利用の申込みを行っていること
この要件を満たすためには、次の2つが要件となります。
・市区町村で保育所等の入所申込みを1歳に達する日または1歳6か月に達する日までに行うこと
入所可能か市町村に問い合わせをするだけでは受給期間は延長されません。入所の申込みが必要です。
・入所希望日を子が1歳に達する日の翌日(子の1歳の誕生日)または1歳6か月に達する日の翌日以前とすること
入所申込みの際に、入所希望日を1歳に達する日の翌日または1歳6か月に達する日の翌日後とした場合は、
原則として受給期間は延長されません。
(2)原則、子が1歳に達する日の翌日または1歳6か月に達する日の翌日の時点で、
市町村から次のいずれかの通知がなされていること
・市町村が発行する教育・保育給付を受ける資格を有すると認められない旨の通知
・保育所等の利用ができない旨の通知
また、第1次申込みで内定を得た保育所等の内定を辞退した場合(内定の辞退について第1次申込みを行ったときから
内定を辞退したときまでの間に住所や勤務場所等に変更があり内定した保育所等に子を入所させることが
困難であったこと等のやむを得ない理由がある場合は除かれます。)には、当該1歳に達する日後の期間については、
育児休業給付金の対象外となります。
3、改正の概要
子供を保育所に入所させる意思がないにかかわらず、労働者が育児休業給付金の受給期間を延長する目的で、
自治体へ入所を申し込む行為を防止するため、「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、
当該子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」について、
「速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望しているものであると
公共職業安定所長が認める場合に限る」旨が追加されました。
この「速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると
公共職業安定所長が認める場合」については、ハローワークにおいて、入所保留通知に加え、
本人が記載する申告書と、市町村への利用申込書の写しを提出させることにより、
次の点を確認することとなる予定です。
・利用を申し込んだ保育所等が、合理的な理由なく、自宅又は勤務先からの移動に相当の時間を要する施設のみと
なっていないこと
・市区町村に対する保育利用の申込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示を行っていないこと
4、改正後の規定の適用
この改正は、施行日である令和7年4月1日以後に育児休業に係る子が1歳に達する場合
(「パパママ育休プラス」により育児休業が1歳2か月に達するまでの範囲で延長されている場合は、
当該育児休業の終了予定日とされた日に達する場合)又は1歳6か月に達する場合に適用されます。
つまり、すでに育児休業給付金を受給中であっても、令和6年4月1日以降に出生した子について
延長を申請する場合などや、令和5年10月1日以降に出生した子について再延長を申請する場合にも、
今回の改正が適用されることになります。
労働基準法等の届出等の電子申請と本社一括届出
各種の行政手続きについては順次、電子申請が可能となり、利便性の向上が図られています。
労働基準法関係、最低賃金法関係、雇用保険関係、労働保険関係、社会保険関係などの手続きについても
例外ではなく、政府が運営する行政情報のポータルサイト「e-Gov(イーガブ「電子政府の総合窓口」)」から、
電子申請を利用して行うことができるようになっています。
1、電子申請により手続きが可能な労働基準法関係の届出
電子申請とは、現在紙によって行われている申請や届出などの行政手続を、インターネットを利用して
自宅や会社のパソコンを使って行えるようにするものです。
労働基準法に定められた各種の届出については、次のものを含め、50種類の以上の届出が電子申請により
手続きが可能となっています。
・時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
・就業規則の届出
・1年単位の変形労働時間制に関する協定届 等
2、労働基準法関係の電子申請に関する近年の変更点
労働基準法関係の電子申請による手続きについては近年、次のような変更が行われています。
【令和3年4月1日】
電子署名・電子証明書が不要になりました。
【令和5年2月27日】
1年単位の変形労働時間制に関する協定届の本社一括届出が開始されました。
受付印が付いた控えをダウンロードできる手続きが27の届出・申請等に拡充されました。
36協定届のエラーチェック機能が拡充されました。
【令和6年1月4日】
36協定届の新様式が追加されました。
【令和6年2月23日】
1か月単位の変形労働時間制に関する協定届等の本社一括届出が開始されました。
3、本社一括届出手続について
次の届出については、事業場単位でそれぞれの所管労働基準監督署に届け出る必要がありますが、
次の条件に該当する場合には、本社において各事業場の届出を一括して本社の所轄労働基準監督署に届け出ることが
できます。
また、これらのうち、次の(3)から(6)についての本社一括届出は、電子申請の場合にのみ可能となっています。
(1)36協定届
「労働者保険番号」「労働保険番号」「事業の種類」「事業の名称」「事業の所在地(電話番号)」
「労働者数(満18歳以上の者)」及び「協定成立年月日」以外の協定内容が同一であること。
ただし、電子申請の場合に限り、「(労働者側)協定当事者」が事業場ごとに異なっていても本社一括届出が
可能です。
(2)就業規則届
①本社で作成された就業規則と各事業場の就業規則の内容が同一であり、かつ、②各事業場分の労働者代表の意見書が
添付されていること。
(3)1年単位の変形労働時間制に関する協定届(令和5年2月27日~)、
1箇月単位の変形労働時間制に関する協定届(令和6年2月23日~)、1週間単位の変形労働時間制に関する協定届
「事業の種類」「事業の名称」「事業の所在地(電話番号)」「常時使用する労働者数」
「該当労働者数(満18歳未満の者)」「協定成立年月日」及び「(労働者側)協定当事者」以外の協定内容が
同一であること。
(4)事業場外労働に関する協定届
「事業の種類」「事業の名称」「事業の所在地(電話番号)」「該当労働者数」「36協定の届出年月日」
「協定成立年月日」及び「(労働者側)協定当事者」以外の協定内容が同一であること。
(5)専門業務型裁量労働制に関する協定届
「労働保険番号」「事業の種類」「事業の名称」「事業の所在地(電話番号)」「該当労働者数」
「時間外労働に関する協定の届出年月日」「協定成立年月日」及び「(労働者側)協定当事者」以外の協定内容が
同一であること。
(6)企画業務型裁量労働制に関する決議届
「労働保険番号」「事業の種類」「事業の名称」「事業の所在地(電話番号)」「常時使用する労働者数」
「労働者数」「決議の成立年月日」「時間外労働に関する協定の届出年月日」「委員会の委員数」
「任期を定めて指名された労働者側委員の氏名、任期」「その他委員の氏名」
及び「委員会の委員の半数について任期を定めて指名した労働組合の名称又は過半数代表者の職名及び氏名」
以外の決議内容が同一であること。
なお、これらの届出のほか、企画業務型裁量労働制に関する報告についても、電子申請の場合であって、
所定の条件を満たすときは、本社一括届出(報告)が可能です。
「自然災害時の事業運営における労働基準法や労働契約法の取扱いなどに関するQ&A」
能登半島地震を受け、被災時の対応について、厚生労働省から、令和6年2月2日付で
「令和6年能登半島地震に伴う労働基準法や労働契約法等に関するQ&A」(以下「Q&A」とします。)が
公表されました。
1、「Q&A」の概要
自然災害が発生すると、被災地に所在する事業場においては、事業の継続が困難になったり、
事業活動が著しく制限されたりします。
また、被災地以外に所在する事業場においても、道路の途絶等から原材料、製品等の流通に支障が生じるなど、
事業活動に影響が出ることも少なくありません。
この「Q&A」においては、そのような中にあって、労働者に対して使用者が守らなければならない事項等
について、一般的な考え方が取りまとめられています。
取り上げられている項目は、次のとおりです(〔 〕内はQの数)。
・地震、洪水等の自然災害の影響に伴う休業に関する取扱いについて〔5〕
・派遣労働者の雇用管理について〔2〕
・地震、洪水等の自然災害の影響に伴う解雇等について〔7〕
・労働基準法第24条(賃金の支払)について〔3〕
・労働基準法第25条(非常時払)について〔2〕
・労働基準法第32条の4(1年単位の変形労働時間制)について〔1〕
・労働基準法第33条(災害時の事業外労働等)について〔1〕
・労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)について〔1〕
・労働基準法第39条(年次有給休暇)について〔2〕
・労災補償について〔2〕
・安全衛生関係について〔4〕
・その他〔2〕
2、「Q&A」の具体的な内容
被災した場合においても、基本的には、使用者には労働基準法などの遵守が求められます。
以下においては、「Q&A」から、回答を抜粋・要約してご紹介します。
(1)地震、洪水等の自然災害の影響に伴う休業に関する取扱いについて
・被災により、事業の休止などを余儀なくされた場合において、労働者を休業させるときには、
労使がよく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが大切です。
また、休業を余儀なくされた場合の支援策(災害時における雇用保険制度の特別措置や雇用調整助成金など)を
活用し、労働者の保護を図ることが望まれています。
・災害により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、その結果、労働者を休業させる場合は、
休業の原因が事業主の関与の範囲外のものであり、事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても
なお避けることのできない事故に該当すると考えられます。したがって、このような場合には、原則として、
使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当せず、休業手当の支払義務はないものと考えられます。
(2)地震、洪水等の自然災害の影響に伴う解雇等について
・災害を理由とすれば 無条件に解雇や雇止めが認められるものではありません。
・災害により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けたために事業の全部又は大部分の継続が不可能
となった場合は、原則として、労働基準法第19条(解雇制限)及び同法第20条(解雇の予告)の除外に係る
「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に当たるものと考えられます。
したがって、このような場合には、所轄労働基準監督署長の除外認定の対象になり得ます。
(3)労働基準法第24条(賃金の支払)について
・賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならないと
されています。
天災事変などの理由により、この賃金支払義務を免除する規定はありません。
・会社が災害により倒壊したことにより、事業活動が停止し、再開の見込みがなく、賃金の支払いの
見込みがないなど、一定の要件を満たす場合には、国が事業主に代わって未払賃金を立替払いする
「未払賃金立替払制度」を利用することができます。
(4)労働基準法第33条(災害時の時間外労働等)について
・労働基準法第33条第1項の適用については、被災状況、被災地域の事業者の対応状況、
当該労働の緊急性・必要性等を勘案して個別具体的に判断することになります。
・災害により、被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインの早期復旧のため、被災地域外の他の事業者が
協力要請に基づき作業を行う場合であって、労働者に時間外・休日労働を行わせる必要があるとき等についても、
被害が相当程度のものであり、一般に早期のライフラインの復旧が人命・公益の保護の観点から急務と
考えられる場合は、労働基準法第33条第1項の要件に該当し得るものと考えられます。
(5)労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)について
・事業活動再開後の業務量の増加に伴い、36協定で定める範囲を超える時間外労働が必要となった場合において、
これを可能とするためには、新たに36協定を締結し直し、届け出ることが必要です。
ただし、36協定の再締結を行う場合であっても、対象期間の起算日を変更することは
原則として認められないこととされています。