子ども・子育て支援金制度がスタートします!

 

子育て支援策を拡充するため、「子ども・子育て支援金制度」が令和8(2026)年度から

段階的に実施されます。

子ども・子育て支援金制度は、独身の方、子育てを終えられた方、高齢者の方を含む全ての世代、

そして、企業からの拠出により、子育てを支え合う仕組みです。

 

1、こども未来戦略「加速化」プランによる子育て支援の拡充とこども・子育て支援金

 

令和5(2023)年12月にこども未来戦略「加速化プラン」が策定され、3.6兆円規模の子育て支援の

抜本的拡充に取り組むこととされました。

この「加速化プラン」により新設・拡充する制度であって、次の6つの子育て施策に係る費用

(支援納付金対象費用)については、子ども・子育て支援金が充てられることとされています。

①児童手当の抜本的拡充(所得制限の撤廃、高校生年代までの支給期間の延長、

第3子以降の支給額増額)

②妊娠の為の支援給付(妊娠・出産時の10万円相当の給付金)

③「こども誰でも通園制度」(乳児等のための支援給付)

④出生後休業支援給付(育児休業給付手取り10割相当)

⑤育児時短就業給付(時短勤務中の賃金の10%支給)

⑥国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除措置

 

2、子ども・子育て支援金制度

 

(1)概要

政府は、支援納付金対象費用に充てるため、令和8年度から、医療保険制度

(国民健康保険、後期高齢者医療、被用者保険)の納付ルートを活用して支援金を徴収します。

徴収した支援金はすべて支援納付金対象費用に充当することが法定されており、

流用はないものとされています。

 

(2)子ども・子育て支援金の額と拠出方法

子ども・子育て支援金は加入する医療保険制度ごとに保険料が決められ、

令和8年4月分から医療保険料と併せて拠出することとなります。

①被用者保険に加入している方

・支援金額(月額)は、「標準報酬月額×支援金率」になります。

・被用者保険については、国が一律の支援金率(保険料率)を示すこととされており、

令和8年度の一律の支援金率は0.23%とされました。

・基本的に支援金額の半分は事業主が負担しますので、実際の支援金額(月額)は、

標準報酬月額に「0.0023」を乗じた金額の半分の額になります。

・令和8年4月保険料(5月に給与天引き)より拠出します。

 

②国民健康保険に加入されている方

・支援金額(月額)は、住所地の市区町村が定める条例に基づき、

世帯や個人の所得等に応じて決定されます。

・支援金に係る保険料率は市町村ごとに異なります。

・令和8年4月分から拠出しますが、実際の支援金額や具体的な徴収開始時期は

住所地の市区町村が決定し、各被保険者に通知されます。

 

③後期高齢者医療制度に加入されている方

・支援金額は、住所地の都道府県後期高齢者医療広域連合が定める条例に基づき、

個人の所得等に応じて決定されます。

・支援金に係る保険料率は後期高齢者医療広域連合ごとに異なります。

・令和8年4月分から拠出しますが、支援金額の月額や具体的な徴収開始時期は中処置の

都道府県後期高齢者医療広域連合が決定し、各被保険者に通知されます。

 

3、健康保険法上の取扱い~被用者保険に加入している方~

 

健康保険法においては、子ども・子育て支援金に係る料率は、

医療保険上の給付や介護保険に係る保険料率とは区分した上で、保険料の一部として規定されています。

(1)毎月の保険料

・介護保険第2号被保険者(40~64歳)

「標準報酬月額」に「一般保険料率+子ども・子育て支援金率+介護保険料率」を乗じた額となります。

・介護保険第2号被保険者以外の被保険者

「標準報酬月額」に「一般保険料率+子ども・子育て支援金率」を乗じた額となります

(介護保険料額は、介護保険法に基づき、別途、徴収されます。)。

 

(2)賞与に係る保険料

子ども・子育て支援金は、健康保険料や厚生年金保険料と同様に、毎月の報酬のみならず、

賞与からも拠出することになります。

保険料率は、毎月の保険料に係るものと同様です。

 

(3)育児休業等期間中等の保険料の免除

育児休業等をしている被保険者、産前産後休業をしている被保険者などについては、

健康保険料や厚生年金保険料と同様に、子ども・子育て支援金の拠出も免除されます。

2026年2月2日

在職老齢年金制度の見直しについて

 

令和8年4月1日施行の厚生年金保険法の改正により、

在職老齢年金制度により老齢厚生年金が支給停止となる基準額(支給停止調整額)が

62万円に引き上げられます。

 

1、在職老齢年金制度の概要

 

在職老齢年金制度は、老齢厚生年金を受給しながら、厚生年金保険の適用事業所で働く高齢者

(60歳以上の者)について、老齢厚生年金の支給を調整する仕組みです。

この制度は、一定額以上の報酬のある方は年金制度を支える側に回っていただくという考え方に

基づいています。

 

この制度では、総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整額を超えると、

超えた分の半額が支給停止となります。

【総報酬月額相当額】

その者の標準報酬月額と、その月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを

合算して得た額をいいます。

ボーナスを含む年収の12分の1に相当します。

【基本月額】

加給年金額や繰下げ加算額を除いた老齢厚生年金の額を12で除して得た額をいいます。

老齢厚生年金の1か月当たりの額に相当します。

【支給停止調整額】

在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給停止の基準となる額です。

支給停止調整額は法律で規定されていますが、実際の額は毎年度、賃金や物価の変動を踏まえて

調整されます。

 

2、改正の概要(令和8年4月1日施行)

 

在職老齢年金制度について、支給停止調整額(法定額)が62万円に引き上げられます。

これにより、老齢厚生年金を受給しながら、厚生年金保険の適用事業所で働く高齢者が、

年金を減額されにくくなり、より多く働けるようになります。

 

【支給停止調整額の引上げによる年金額の変化の例】

総報酬月額相当額が45万円、基本月額が10万円の方の場合には、これらの合計額は55万円となります。

(現行)支給停止調整額:51万円(令和7年度)

(総報酬月額相当額+基本月額)が支給停止調整額を超えています。

したがって、支給停止調整額を超える分(4万円=55万円-51万円)の半額(2万円)が

支給停止となります。

 

(改正後)支給停止調整額:62万円(改正後の法定額)

(総報酬月額相当額+基本月額)は55万円であり、支給停止調整額を超えていないため、

在職老齢年金制度による支給停止は行われません。

 

3、高齢者の動向~在職老齢年金を取り巻く環境

 

今回の改正は、次のような背景から、高齢者の活躍を後押しし、できるだけ労働を抑制しない、

働きたい人がより働きやすい仕組みとする観点から行われています。

 

(1)働き続けることを希望する高齢者の増加(令和7年版高齢社会白書21頁)

・「何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか」に関して、

60歳以上(令和6年10月1日現在)の者全体では、約2割が「働けるうちはいつまでも」と回答しており、

70歳くらいまで又はそれ以上との回答と合計すれば、約6割となっています。

・現在収入のある仕事をしている60歳以上の者に限れば、

約3割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しており、

70歳くらいまで又はそれ以上との回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就業意欲を

持っている様子がうかがえます。

 

(2)人材確保・技能継承等の観点からの高齢者の活躍を求める世の中のニーズの高まり

(令和7年版高齢社会白書17~18頁、22頁)

・令和6年の労働力人口は、6,957万人でした。労働力人口のうち65~69歳の者は400万人、

70歳以上の者は546万人であり、労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は13.6%と

長期的には上昇傾向にあります。

・令和6年の労働力人口比率を見ると、65~69歳では54.9%、70~74歳では35.6%となっており、

いずれも上昇傾向です。

・65歳以上の就業者数及び就業率は上昇しており、特に65歳以上の就業者数を見ると

21年連続で前年を上回っています。また、就業率については10年前の平成26年と比較して

65~69歳で13.5ポイント、70~74歳で11.1ポイント、75歳以上で3.9ポイントそれぞれ伸びています。

・高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業の割合は99.9%となっています。

一方で、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業の割合は31.9%となっています。

 

(3)老齢厚生年金を受け取る年齢になったときの働き方

(令和6年 内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」)

・「厚生年金を受け取る年齢になったとき、どのように働きたいと思うか」に関して、

全体では44.4%、「60~69歳」では40.4%、「70歳以上」では19.5%が「年金額が減らないように、

就労時間を調整し会社などで働く」と回答しています。

2026年1月6日

女性活躍の更なる推進に向けた女性活躍推進法の改正

 

多様な労働者が活躍できる就業環境の整備を図るための労働施策の総合的な推進

並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律が

令和7年6月11日に公布され、順次施行されています。

この改正法においては、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(略称:女性活躍推進法)の

改正も行われ、女性活躍の更なる推進が図られています。

 

1、改正の概要

 

女性活躍推進法は、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進することにより、

男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化

その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的とした法律です。

この女性活躍推進法に関して、次のような改正が行われ、又は予定されています。

①有効期限の延長(施行日:令和7年6月11日)

令和8年3月31日までとなっていた同法の有効期限が、令和18年3月31日までに、10年間延長されました。

②情報公表の必須項目の拡大(施行日:令和8年4月1日

従業員数101人以上の企業に「男女間賃金差異」及び「女性管理職比率」の情報公表が義務づけられます。

③プラチナえるぼし認定の要件追加(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

プラチナえるぼし認定の要件に、事業主が講じている求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に

係る措置の内容を公表していることが追加されます。

 

2、情報公表の必須項目の拡大(施行日:令和8年4月1日)

 

女性活躍推進法に基づき、現在、一般事業主(国及び地方公共団体以外の事業主)については、

次の区分に応じて、女性の職業選択に資する情報の公表が義務づけられています。

【従業員数(常時雇用する労働者の数)が301人以上の企業】

・男女間賃金差異

・①「職業生活に関する機会の提供に関する実績」から1項目以上、

②「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備の実績」から1項目以上の計2項目以上

【従業員数101人以上300人の企業】

・①「職業生活に関する機会の提供に関する実績」及び

②「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備の実績」の全体から1項目以上

【従業員数100人以下の企業】

・女性の職業選択に資する情報のいずれかの公表に努めること(努力義務)

 

この点について、これまで従業員数301人以上の企業に公表が義務づけられていた「男女間賃金差異」について、

101人以上の企業に公表義務が拡大されるとともに、新たに「女性管理職比率」についても

101以上の企業に公表が義務づけられます。

従業員数100人以下の企業は努力義務の対象であり、この点に変更はありません。

 

3、プラチナえるぼし認定の要件追加(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

 

女性活躍推進法においては、一般事業主⾏動計画の策定・届出を行った事業主のうち、

⼥性の活躍推進に関する状況が優良である等の⼀定の要件を満たしたものを認定(えるぼし認定)し、

さらに、この認定を受けた事業主のうち、⼥性の活躍推進に関する状況が優良である等の⼀定の要件を

満たしたものを認定(プラチナえるぼし認定)する制度があります。

 

今回の改正により、プラチナえるぼし認定の要件に、事業主が講じている求職者等に対する

セクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることが追加されます。

現在、プラチナえるぼし認定を受けている企業も、認定を維持するためには、

事業主が講じている求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を

公表することが要件となります(ただし、一定の猶予が設けられる予定です。)。

 

4、その他の改正等

 

(1)基本原則(施行日:令和7年6月11日)

女性の職業生活における活躍の推進に当たり留意すべき事項として、

「女性の健康上の特性」が加えられました。

 

(2)基本方針(施行日:令和7年6月11日)

女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針において定める事項として、

職場において行われる就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために

必要な措置に関する事項(ハラスメント対策)が加えられました。

 

(3)特定事業主行動計画の変更手続の見直し(施行日:令和8年4月1日)

特定事業主(国及び地方公共団体の機関、それらの長又はそれらの職員で政令で定めるもの)が

策定する特定事業主行動計画の変更手続の効率化が図られます。

 

(4)事業主行動計画策定指針

事業主行動計画策定指針の項目として、

「女性の健康上の特性に係る取組例」を新設するなどしたうえで、

女性の健康上の特性による健康課題(月経、更年期等に伴う就業上の課題)に関して、

職場の理解増進や配慮等がなされるよう、今後企業の取組例を示し、

事業主による積極的な取り組みを促していくことが予定されています。

2025年12月2日

社会保険料における「年収の壁」への対応

 

いわゆる「年収の壁」とは、それを超えると税金や社会保険料の負担が発生する年収額の境目のことをいい、

パートタイマーやアルバイトで働く方々の就労制限や就労調整につながるものとして、特にここ数年、

その問題が取りざたされています。

税制改革とともに、社会保険料における「年収の壁」についても各種の取り組みにより、

対策が講じられています。

 

1、社会保険料における「年収の壁」

 

(1)106万円の壁

次のいずれにも該当する場合には、社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入義務が生じ、

社会保険料の負担が発生します。

①所定の月額賃金​が88,000円以上(年収約106万円)であること(賃金要件)

②従業員が51人以上の企業の事業所に勤めていること(企業規模要件)

③週の所定労働時間が20時間以上であること

④2か月を超える雇用の見込みがあること

⑤学生ではないこと

 

「106万円の壁」となっている上記①の賃金要件については、令和7年の年金制度改正法により、

最低賃金の状況を踏まえ、令和7年6月から3年以内に撤廃されます。

なお、上記②の企業規模要件についても、段階的に縮小・撤廃されることとされています。

 

(2)130万円の壁

年収が130万円以上(60歳以上または障害者にあっては180万円以上)になると、

社会保険の扶養範囲を超えます。

勤務先が社会保険の適用事業所であれば、社会保険に加入することになり、

勤務先が社会保険の適用事業所でなければ、ご自身で国民年金及び国民健康保険に

加入することになりますので、社会保険料の負担が生じます。

 

2、「年収の壁・支援強化パッケージ」による取り組み(令和5年10月~)

 

短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援するための当面の施策として、

「年収の壁・支援強化パッケージ」があります。

(1)「106万円の壁」への対応~キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」

「手当等支給メニュー」、「労働時間延長メニュー」、「併用メニュー」があります。

・手当等支給メニュー:事業主が労働者に社会保険を適用させる際に、「社会保険適用促進手当」

支給等により労働者の収入を増加させる場合に助成するもの

※給与・賞与とは別に支給され、新たに発生した本人負担分の保険料相当額を上限として、

最大2年間、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しないことができる

こととされています。

・労働時間延長メニュー:所定労働時間の延長等により社会保険を適用させる場合に

事業主に対して助成を行うもの

 

(2)「130万円の壁」への対応~事業主の証明による被扶養者認定の円滑化

繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に上がったとしても、

事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となります。

 

3、令和7年度以降のその他の取り組み

 

(1)キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)の新設

令和7年7月1日より、キャリアアップ助成金に短時間労働者労働時間延長支援コースが

新設されました。

労働者を新たに社会保険に加入させるとともに、収入増加の取り組みを行った事業主を対象に、

労働者1人につき、最大75万円が助成されます。

 

(2)19歳以上23歳未満の者の被扶養者認定における年間収入要件の緩和

令和7年度税制改正を踏まえて、扶養認定日が令和7年10月1日以降で、

扶養認定を受ける者(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満の場合の年間収入の要件が、

現行の「130万円未満」が「150万円未満」に変更されました。

なお、この「年間収入要件」以外の要件に変更はありません。

 

(3)労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における

年間収入の取扱いについて

現在、被扶養者としての届出に係る者(認定対象者)の年間収入については、認定対象者の過去の収入

、現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入の見込みにより判定されています。

この点に関し、令和8年4月1日からは、労働契約で定められた賃金から見込まれる

年間収入が130万円(又は150万円若しくは180万円)未満であり、かつ、他の収入が見込まれず、

次のいずれかに該当するときは、原則として、被扶養者に該当するものとして取り扱われることとなります。

①認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合には、被保険者の年間収入の

2分の1未満であると認められる場合

②認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合には、

被保険者からの援助による収入額より少ない場合

2025年11月5日

「教育訓練休暇給付金」が創設されます!

 

令和7年10月1日施行の雇用保険法の改正により、教育訓練給付の一つとして、

教育訓練休暇給付金が創設されます。

教育訓練休暇給付金は、労働者が離職することなく教育訓練に専念するため、

自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合に、その訓練・休暇期間中の生活費を保障するため、

基本手当に相当する給付として、賃金の一定割合を支給する制度です。

 

1、教育訓練休暇給付金の支給要件等

 

教育訓練休暇給付金は、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者である労働者本人が、

その意思で、業務命令によらず、就業規則等に基づき連続した30日以上の

無給の教育訓練休暇を取得する場合に、支給されます。

(1)支給対象者

教育訓練休暇給付金の支給を受けることができるのは、

次の①②の両方の要件を満たす一般被保険者です。

高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者は対象外です。

①教育訓練休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること

・原則として、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が算定の対象になります。

※教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合には、被保険者期間はリセットされます。

②教育訓練休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること

・離職期間があったとしても、12か月以内であれば、離職前後の期間を通算することができます。

・過去に基本手当や教育訓練休暇給付金、育児休業給付、出生時育児休業給付金の支給を

受けたことがある場合には、通算できない期間が生じる場合があります。

 

なお、解雇等を予定している労働者は、教育訓練休暇給付金の支給対象にはなりません。

解雇等を予定している労働者について虚偽の届出を行った場合は、罰則の対象になります。

 

(2)支給対象となる休暇

教育訓練休暇給付金の支給対象となる休暇は、次のすべての要件を満たす休暇です。

①就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇であること

②労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に取得することを希望し、

事業主の承諾を得て取得する30日以上の無給の休暇であること

・教育訓練以外の目的を含む休暇制度に基づく休暇であっても、

教育訓練を受講するための休暇であれば、これに該当します。

・事業主や上司からの案内がきっかけであっても、本人の意思で取得を希望する休暇であれば、

これに該当します。

・収入を伴う就労を行った日、教育訓練休暇とは異なる休暇・休業(有給休暇や育児休業等)を

取得した日は、教育訓練のための休暇とは認められず、当該日については、

教育訓練休暇給付金の支給を受けることができません。

③次の教育訓練等を受けるための休暇であること

・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校又は各種学校が提供する教育訓練等

・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等

・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの

(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得等)

 

2、教育訓練休暇給付金の受給期間・給付日額・所定給付日数

 

教育訓練休暇給付金は、受給期間内の教育訓練休暇を取得した日について支給されます。

受給期間と所定給付日数の範囲内であれば、教育訓練休暇を複数回に分割して取得した場合であっても、

教育訓練休暇給付金の支給を受けることができます。

(1)受給期間:休暇開始日から起算して1年間です。

(2)給付日額:離職した場合の基本手当と同じ日額です。

原則として、休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定されます。賃金や年齢に応じて決定され、

上限額及び下限額があります。

(3)所定給付日数:雇用保険の被保険者であった期間(加入期間)に応じて、

90日(加入期間5年以上10年未満)、120日(加入期間10年以上20年未満)、

150日(加入期間20年以上)です。

 

3、教育訓練休暇給付金の支給申請手続

 

教育訓練休暇給付金の支給を受けるのは労働者本人であり、支給申請手続も本人が行いますが、

事業主の対応が必要な手続きもあります。

①教育訓練休暇制度を就業規則又は労働協約等に規定し、そのことを周知します。

②労働者から教育訓練休暇の取得について申出があったときは、労働者本人と事業主とで、

その取得について合意します。合意後、労働者は事業主に教育訓練休暇取得確認票を提出し、

事業主はこれに必要事項を記載します。

③事業主は、教育訓練休暇の取得を開始した労働者について、休暇開始日から起算して10日以内に、

賃金月額証明書を記載し、ハローワークに必要な書類を提出します。

その後、ハローワークから賃金月額証明票及び教育訓練休暇給付金支給申請書が交付されます。

④労働者は、休暇開始後、事業主から賃金月額証明票及び教育訓練休暇金支給申請書の交付を受け、

必要事項を記入してハローワークに提出します。

⑤労働者は、休暇開始日から30日ごとに、ハローワークに認定申請書等を提出します。

2025年10月1日

育児・介護休業法が改正されます! ~子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充~

 

令和7(2025)年10月1日から、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

(略称:育児・介護休業法)が改正され、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充が図られます。

就業規則等の見直しが必要な事項もありますので、早めに準備をしたいところです。

 

1、今回の改正の概要

 

(1)柔軟な働き方を実現するための措置等

3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、

柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることとともに、

当該措置の個別の周知・意向確認が義務づけられます。

 

(2)仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する

個別の意向の聴取・配慮が事業主に義務づけられます。

 

2、柔軟な働き方かを実現するための措置等

 

(1)育児期の柔軟な働き方を実現するための措置

事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、

次に掲げる「選択して講ずべき措置」の中から、2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。

労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。

事業主が講ずる措置を選択する際、過半数労働組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。

【選択して講ずべき措置】

①始業時刻等の変更:フレックスタイム制又は始業・終業の時刻の繰上げ・繰下げ(時差出勤の制度)

②テレワーク等:1日の所定労働時間を変更せず、月に10日以上利用できるもの

③保育施設の設置運営等:保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与をするもの

(ベビーシッターの手配および費用負担など)

④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与:

1日の所定労働時間を変更せず、年に10日以上取得できるもの

⑤短時間勤務制度:1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの

 

なお、前記②と④については、原則として、時間単位での取得を可能とする必要があります。

 

(2)柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認

3歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、

事業主は柔軟な働き方を実現するための措置として、前記(1)で選択した制度(対象措置)に関する周知と

制度利用の意向の確認を、個別に行わなければなりません。

この周知は、労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間

(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)に行うものとされています。

また、労働者が選択した制度が適切であるか確認すること等を目的として、

この時期以外(育児休業後の復帰時、短時間勤務や対象措置の利用期間中など)にも

定期的に面談を行うことが望ましいものとされています。

 

周知事項には、①事業主が前記(1)で選択した対象措置(2つ以上)の内容、②対象措置の申出先

、③所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度があります。

利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められません。

 

3、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

 

(1)妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取

事業主は、労働者が本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た時と、

労働者の子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と

育児の両立に関する事項について、労働者の意向を個別に聴取しなければなりません。

この意向聴取は、①労働者が本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき、

②労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間

(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)に行うものとされています。

また、これらのほか、「育児休業後の復帰時」や「労働者から申出があった際」等にも

実施することが望ましいものとされています。

 

聴取内容には、①勤務時間帯(始業及び終業の時刻)、②勤務地(就業の場所)、

③両立支援制度等の利用期間、④仕事と育児の両立に資する就業の条件

(業務量、労働条件の見直し等)があります。

 

(2)聴取した労働者の意向についての配慮

事業主は、前記(1)により聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する意向について、

自社の状況に応じて配慮しなければなりません。

なお、①子に障害がある場合等で希望するときは、短時間勤務制度や子の看護等休暇等の利用可能期間を

延長すること、②ひとり親家庭の場合で希望するときは、子の看護等休暇等の付与日数に配慮することが

望ましいこととされています。

2025年9月1日

社会保険労務士の仕事~社会保険労務士法改正によせて

 

令和7年6月18日、社会保険労務士法の一部を改正する法律案が成立しました。

 

1、社会保険労務士の主な業務

 

社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。

その主な業務には、次のようなものがあります。

 

(1)労働社会保険手続に関する業務

・労働社会保険の適用、年度更新、算定基礎届に関する事務

・各種助成金などの申請に関する事務

・労働者名簿、賃金台帳などの法定帳簿の調製に関する事務

・就業規則や36協定の作成、変更に関する事務 など

 

(2)紛争解決手続代理業務(ADR代理業務)

ADRとは、裁判によらず、当事者双方の話し合いに基づき、あっせん、調停または仲裁などの手続きによって

紛争の解決を図る制度です。

個別労働関係紛争についても、このADRの制度が設けられています。

特定社会保険労務士(紛争解決手続代理業務試験に合格し、かつ、紛争解決手続代理業務の

付記を受けた社会保険労務士)は、所定のあっせんの手続き等について、当事者を代理することができます。

 

なお、ADRに関しては、都道府県労働局及び都道府県労働委員会における個別労働関係紛争の

あっせん手続き等のほか、全国47都道府県にある社会保険労務士会では、職場のトラブルを話し合いで

解決するための民間の機関として、社労士会労働紛争解決センターを設置し、民間紛争解決手続を行っています。

 

(3)相談・指導業務

・労務管理(人事・賃金・労働時間、雇用管理・人材育成など)に関する相談・指導業務

・年金相談業務

 

(4)補佐人の業務

社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく

社会保険に関する事項について、補佐人として、弁護士とともに裁判所に出頭し、陳述することができます。

 

2、改正の概要

 

今回の社会保険労務士法の改正の内容は、次のとおりです。

 

(1)「社会保険労務士の使命」に関する規定の新設

社会保険労務士法第1条について、これまでの「目的」規定に代わり、

「社会保険労務士の使命」規定が新設されました。

同条では、「社会保険労務士の使命」に関し、

「社会保険労務士は、労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施を通じて適切な労務管理の確立

及び個人の尊厳が保持された適正な労働環境の形成に寄与することにより、

事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上並びに社会保障の向上及び増進に資し、

もつて豊かな国民生活及び活力ある経済社会の実現に資することを使命とする。」と規定しています。

 

(2)労務監査に関する業務の明記

「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく

社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること」(相談・指導業務)の中に、

「これらの事項に係る法令並びに労働協約、就業規則及び労働契約の遵守の状況を監査すること」が

含まれることが明記されました。

 

(3)社会保険労務士による裁判所への出頭及び陳述に関する規定の整備(令和7年10月1日施行)

社会保険労務士が裁判所に補佐人として出頭し、陳述をする場合に、

裁判所にともに出頭することとされている弁護士の地位について、

「訴訟代理人」が「代理人」に改められます。

 

(4)名称使用制限に係る類似名称の例示の明記

社会保険労務士法では、次のことが禁止されていますが、これらについて、

次のように類似名称の例示が明記されました。

①社会保険労務士でない者が、社会保険労務士又はこれに類似する名称を用いること

→社会保険労務士でない者が用いてはならない社会保険労務士に類似する名称に

「社労士」が含まれること

②社会保険労務士法人でない者が、社会保険労務士法人又はこれに類似する名称を用いること。

→社会保険労務士法人でない者が用いてはならない社会保険労務士法人に類似する名称に

「社労士法人」が含まれること

③社会保険労務士会又は連合会でない団体が、社会保険労務士会若しくは全国社会保険労務士会連合会

又はこれらに類似する名称を用いること

→社会保険労務士会又は全国社会保険労務士会連合会でない団体が用いてはならない社会保険労務士会

又は全国社会保険労務士会連合会に類似する名称に「社労士会」及び「全国社労士会連合会」が含まれること

2025年8月1日

カスタマーハラスメント対策強化等に向けて~労働施策総合推進法の改正

 

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

(略称:労働施策総合推進法)等の一部を改正する法律(以下「改正法」とします。)が

令和7年6月11日に公布されました。

具体的な施行日は、一部を除き、これから決まることになりますが、改正法施行により、

カスタマーハラスメントに関する対策強化が図られます。

 

1、国による啓発活動(施行日:令和7年6月11日)

 

国は、職場における労働者の就業環境を害する言動(職場におけるハラスメント)に起因する

問題の解決を促進するために必要な施策の充実に取り組むに際しては、

何人も職場における労働者の就業環境を害する言動を行ってはならないことに鑑み、

当該言動が行われることのない就業環境の形成に関する規範意識の醸成がなされるよう、

必要な啓発活動を積極的に行わなければならないものとされています。

 

2、カスタマーハラスメントとは?

 

カスタマーハラスメントとは、次の三つの要素をすべて満たすものをいいます。

①顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者

(顧客等)の言動であること。

②その労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの

(顧客等言動)であること。

③当該顧客等の言動により当該労働者の就業環境が害されること。

 

3、カスタマーハラスメント対策の義務化(施行日:改正法公布後1年6か月以内の政令で定める日)

 

(1)職場における顧客等の言動に起因する問題に関して事業主が講ずべき措置等

改正法施行により、今後、次のようなことが事業主の義務となります。

①事業主は、職場においてカスタマーハラスメントがないよう、当該労働者からの相談に応じ、

適切に対応するために必要な体制の整備、労働者の就業環境を害する当該顧客等言動への対応の実効性を

確保するために必要なその抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

事業主が講ずべき具体的な措置の内容(事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、

相談体制の整備・周知、発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置)等は

今後、指針において示される予定です。

②事業主は、労働者が上記①の相談を行ったこと又は事業主による前記①の相談への対応に協力した際に

事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

③事業主は、他の事業主から当該他の事業主が講ずる上記①の措置の実施に関し必要な協力を

求められた場合には、これに応ずるように努めなければなりません。

 

(2)職場におけるカスタマーハラスメントに関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務

改正法施行により、国、事業主、労働者及び顧客等の責務が明確化されます。

①国の責務

国は、労働者の就業環境を害する顧客等言動を行ってはならないことその他当該顧客等言動に起因する問題

(顧客等言動問題)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、各事業分野の特性を踏まえつつ、

広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければなりません。

 

②事業主等の責務

・事業主は、顧客等言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、

当該労働者が他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、

研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる上記(2)①の措置に協力するように

努めなければなりません。

・事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、顧客等言動問題に対する関心と理解を深め、

他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければなりません。

 

③労働者の責務

労働者は、顧客等言動問題に対する関心と理解を深め、他の事業主が雇用する労働者に対する言動に

必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる上記(1)①の措置に協力するように努めなければなりません。

 

④顧客等の責務

顧客等は、顧客等言動問題に対する関心と理解を深めるとともに、労働者に対する言動が

当該労働者の就業環境を害することのないよう、必要な注意を払うように努めなければなりません。

 

4、その他~フリーランスへのハラスメント対策の検討等

 

政府は、特定受託事業者(企業などから仕事の発注を受けるフリーランス)が受けた業務委託に係る業務において

カスタマーハラスメントがないようにするための施策について検討を加え、必要があると認めるときは、

その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされています。

2025年7月1日

職場における熱中症対策の強化~労働安全衛生規則の改正

 

令和7年6月1日施行の労働安全衛生規則により、職場における熱中症対策が強化されました。

 

1、改正の趣旨と概要

 

職場における熱中症による労働災害は、近年の気候変動の影響から、夏期において気温の高い日が続く中、

ここ数年は増加傾向にあります。

特に、死亡災害は3年連続で30人以上となっており、労働災害による死亡者数全体の約4%を占める状況にあるなど、

その対策が重要となっています。

一方、熱中症による死亡災害の原因の多くは、初期症状の放置、対応の遅れによることが指摘されています。

そこで、熱中症の重症化を防止し、死亡災害に至らせないよう、熱中症による健康障害の疑いがある者を

早期に発見し、その状況に応じて、迅速かつ適切に対処することにより、熱中症の重篤化を防止するため、

今回の改正により、「体制整備」、「手順作成」、「関係者への周知」が事業者に義務づけられました。

 

2、熱中症を生ずるおそれのある作業

 

事業者に所定の措置が義務づけられるのは、

「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業」を行うときです。

①「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、体内の水分や塩分(ナトリウム等)バランスが崩れる、

体温の調整機能が破綻する等して、発症する障害の総称です。

熱中症が疑われる症状としては、(他覚症状)ふらつき、生あくび、失神、大量の発汗、痙攣等や、

(自覚症状)めまい、筋肉痛・筋肉の硬直、頭痛、不快感、吐き気、倦怠感、高体温等が挙げられています。

②「暑熱な場所」とは、湿球黒球温度(WBGT)が28度以上又は気温が31度以上の場所をいい、

必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではありません。出張先で作業を行う場合、

労働者が移動して複数の場所で作業を行う場合や、作業場所から作業場所への移動時等も含まれます。

③「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業」とは、

上記②の場所において、連続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが

見込まれる作業をいいます。

 

3、報告体制の整備

 

事業者は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、

当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者が当該作業に従事する他の者に

熱中症が生じた疑いがあることを発見した場合にその旨を報告させる体制を整備し、当該作業に従事する者に対し、

当該体制を周知させなければなりません。

 

具体的には、

①熱中症の自覚症状を有する作業者や②熱中症が生じた疑いのある作業者を発見した者が

その旨を報告するための体制を事業場ごとにあらかじめ整備し、作業者に対し、

その体制を確実に伝える必要があります。

 

「報告をさせる体制の整備」には、熱中症を生ずるおそれのある作業が行われる作業場の責任者等報告を

受ける者の連絡先及び当該者への連絡方法を定め、かつ明示することにより、

作業者が熱中症を生ずるおそれのある作業を行っている間、随時報告を受けることができる状態を

保つことが含まれます。

また、作業者から電話等による報告を受けるだけでなく、積極的に熱中症が生じた疑いのある作業者を

早期に発見する観点から推奨される方法として、責任者等による作業場所の巡視、

2人以上の作業者が作業中に互いの健康状態を確認するバディ制の採用、

ウェアラブルデバイスを用いた作業者の熱中症のリスク管理、責任者・労働者双方向での定期連絡や

これらの措置の組み合わせなどが挙げられています。

 

4、手順等の作成

 

事業者は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、

熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者への対応に関し、

事業場の緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先並びに必要な措置の内容及び手順を作成し、

当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその手順を周知させなければなりません。

 

具体的には、熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際には、

①作業からの離脱、

②身体の冷却、

③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること、

④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地など、熱中症の症状の悪化を防止するために

必要な措置に関する内容や実施手順を、作業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して

確実に伝える必要があります。

 

熱中症については、帰宅後も含め、時間が経ってから症状が悪化することがあります。

このため、事業場における回復の判断は慎重に行うことが重要です。

また、回復後の体調急変等により症状が悪化する場合は、直ちに医療機関を受診する必要があるため、

その旨を回復後の作業者に十分理解させるとともに、体調急変時の連絡体制や対応

(具合が悪くなったら本人や家族が救急搬送を要請する、事業者側から様子を伺うための連絡を取る等)を、

事業場の実態を踏まえて、あらかじめ定めておくことも重要であるとされています。

2025年6月2日

雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給率が変更されました!

 

65歳までの雇用確保措置の進展等を踏まえて、令和7年4月1日施行の雇用保険法の改正により、

高年齢雇用継続給付の支給率が引き下げられました。

 

1、高年齢雇用継続給付とは?

高年齢者の就業意欲を維持・喚起し、65歳までの雇用の継続を援助・促進することを目的として、

60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の

一定の雇用保険の一般被保険者に対して給付金を支給する制度です。

高年齢雇用継続給付には、基本手当(再就職手当など基本手当を支給したとみなされる給付を含みます。

以下同じ。)を受給していない方を対象とする「高年齢雇用継続基本給付金」と、基本手当を受給し、

60歳以後に再就職した方を対象とする「高年齢再就職給付金」とがあります。

 

2、高年齢雇用継続給付の支給要件等

(1)支給要件

高年齢雇用継続給付の支給を受けるためには、次の要件をすべて満たす必要があります。

①60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。

②被保険者であった期間が5年以上あること。

③原則として60歳時点と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含みます。)が

60歳時点の75%未満となっていること。

④高年齢再就職給付については、再就職の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること。

 

(2)支給期間

【高年齢雇用継続基本給付金】

被保険者が60歳に到達した月から65歳に達する月までですが、各暦月の初日から末日まで

被保険者であることが必要です。

この期間内にある各暦月のことを「支給対象月」といいます。

【高年齢再就職給付金】

再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が200日以上のときは、

再就職日の翌日から2年を経過する日の属する月まで、100日以上200日未満のときは、

再就職日の翌日から1年です。ただし、被保険者が65歳に達した場合は、その期間にかかわらず、

65歳に達した月までとなります。

また、各暦月の初日から末日まで被保険者であることが必要であることや、

その月のことを支給対象月という点については、高年齢雇用継続基本給付金と同じです。

 

3、高年齢雇用継続給付の支給額

支給額は、支給対象月ごとに、「その月に支払われた賃金額×支給率」により算定されます。

「支給率」は、その月に支払われた賃金の低下率に応じて定められており、低下率が逓増する程度に応じ、

一定の割合で逓減するように定められています。

「低下率」は、「支給対象月に支払われた賃金額÷60歳到達時の賃金月額×100」により計算されます。

 

今回の改正により、この「支給率」の最高率が、従来の15%から10%に変更されました。

具体的には、60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない者については、

その期間が5年となった日)が令和7年4月1日以降の者にあっては、

各月に支払われた賃金の低下率が64%以下のときに、支給率が最高の10%となります。

なお、60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない者はについては、

その期間が5年となった日)が令和7年3月31日以前の者にあっては、従来の支給率が適用されますので、

各月に支払われ賃金の低下率が61%のときに、支給率が最高の15%となります。

 

なお、高年齢雇用継続給付は、支給対象月に支払われた賃金が支給限度額以上の場合は支給されません。

また、支給対象月に支払われた賃金額と算定された支給額の合計が支給限度額を超える場合は、

支給限度額からその賃金を差し引いた額が支給されます。

一方、高年齢雇用継続給付として算定された支給額が低額である場合は、

支給なされなくなることがあります。

 

4、高年齢雇用継続基本給付と厚生年金保険の老齢厚生年金との調整

厚生年金保険の被保険者で、65歳になるまでの間に特別支給の老齢厚生年金を受けているものが、

雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けることができるときは、在職老齢年金制度による

支給停止に加えて、老齢厚生年金の一部の支給が停止されます。

これにより支給停止される年金額についても、高年齢雇用継続給付の支給率の変更に伴い、

最高で賃金(標準報酬月額)の4%に当たる額に変更となっています。

 

なお、令和7年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たした者が

次のいずれかに該当するときは、改正前の高年齢雇用継続給付の支給額(新賃金の15%に相当する額)、

高年齢雇用継続給付の受給による年金の支給停止額(標準報酬月額の最大6%に相当する額)が

適用されます。

・60歳到達日が令和7年4月1日より前の者が高年齢雇用継続基本給付金を受給する場合

・令和7年4月1日より前に再就職した者が高年齢再就職給付金を受給する場合

2025年5月1日

教育訓練等を受ける場合の基本手当に係る離職理由による給付制限の解除

 

令和7年4月1日施行の雇用保険法の改正により、

正当な理由がなく自己の都合によって退職した受給資格者であって、

同日以降にリ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)ものについては、

離職理由による給付制限が解除され、基本手当の支給を受けることができるようになりました。

 

1、基本手当の支給に係る離職理由による給付制限

被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によって

退職した場合には、受給資格決定日から7日間の待期期間の満了後1か月以上3か月以内の間で

公共職業安定所長の定める期間は、基本手当が支給されません(離職理由による給付制限)。

 

受給資格者について、この給付制限の対象となるかどうかの認定は、

公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従って行われます。

また、この給付制限の期間は、退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、

同年3月31日以前である場合は原則2か月です。

ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己の都合によって退職し、

受給資格の決定を受けた場合は3か月となります。

また、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合は3か月です。

 

2、離職理由による給付制限の解除

離職理由による給付制限の対象となると認定される受給資格者であっても、

次のいずれかに該当するものについては、この給付制限は行われません。

このうち、今回の改正で追加されたものは、(2)及び(3)です。

 

(1)公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者

この受給資格者(次の(2)に該当するものは除かれます。)について、給付制限が解除される期間は、

公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の

期間に限られます。

 

(2)所定の教育訓練等を基準日(基本手当の受給資格に係る離職の日)前1年以内に受けたことがある受給資格者

この受給資格者(正当な理由がなく自己の都合によって退職した者に限られます。)については、

待期期間満了後から給付制限が解除されます。

重責解雇された受給資格者は、この対象とはなりません。

 

(3)前記(2)の訓練を基準日以後に受ける受給資格者

この受給資格者(前記(2)に該当する者を除きます。)について、給付制限が解除される期間は、

所定の教育訓練等を受ける期間及び当該訓練を受け終わった日後の期間に限られます。

 

3、対象となる教育訓練等

前記2(2)又は(3)により、それを受けることによって離職理由による給付制限が

解除されることとなる教育訓練等には、次のものがあります。

いずれも令和7年4月1日以降に受講を開始したものに限られます。

また、これらを受講しても、途中退校の場合には、給付制限は解除されません。

①教育訓練給付金の対象となる教育訓練

②公共職業訓練等

③短期訓練受講費の対象となる教育訓練

④前記①~③に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練

 

4、給付制限の解除に係る申出

受給資格者は、前記2(2)又は(3)に該当する場合には、受講開始以降、

受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、

その受講開始日の直後の認定日)までに、所定の書類を管轄公共職業安定所の長に提出して、

その旨を申し出る必要があります。

 

給付制限期間が2か月以上で、初回認定日以降かつ給付制限期間中に教育訓練等の受講を

開始する場合には、申出の期限に注意が必要です。

・「初回認定日」以降かつ「認定日の相当日」前である場合

:受講開始日直後の「失業認定日に相当する日」までに申出をする必要があります。

・「認定日の相当日」以降かつ「給付制限期間満了後の失業認定日」前である場合

:「給付制限期間満了後の失業認定日」までに申出をする必要があります。

 

申出の際の必要書類は、次のとおりです。

・受給資格決定以降に受講を開始する場合又は受給資格決定時に受講中の場合

:訓練開始日が記載された領収書又は訓練実施施設による訓練開始日の証明書

・受給資格決定日前に訓練を修了している場合

:訓練修了日が記載された修了証明書又は訓練実施施設による訓練修了日の証明書

なお、受講した教育訓練について教育訓練給付金の受給手続きをした場合など、

システムやすでに提出している書類から訓練開始日や訓練修了日が把握できる場合には、

その旨を申し出ることで、これらの書類の提出を求められないことがあります。

2025年4月1日

育児・介護休業法が改正されます!~介護離職防止のための雇用環境整備等~

 

仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま介護離職に至ることを防止するため、

令和7(2025)年4月1日から、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

(略称:育児・介護休業法)が改正され、介護離職防止のための雇用環境の整備、

個別周知・意向確認の義務化などが図られます。

 

1、改正の主な内容

 

今回の改正の主な内容は、次のとおりです。

(1)介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

介護休暇について、勤続6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みが廃止されます。

(2)介護離職防止のための雇用環境整備

介護休業等の申出が円滑に行われるようにするための雇用環境の整備が事業主に義務づけられます。

(3)介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

次のことが、事業主に義務づけられます。

①介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認

②介護に直面する前の早い段階での情報提供

(4)介護のためのテレワーク導入

家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークが追加されます。

 

2、介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

 

事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができません。

ただし、労使協定で、介護休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの

介護休業申出があった場合は、これを拒むことができます。

この労使協定で介護休業をすることができないものとして定めることができる労働者として、

これまで、①週の所定労働日数が2日以下の労働者及び②継続雇用期間が6か月未満の労働者が

掲げられていましたが、このうちの②が廃止されます。

これにより、継続雇用期間が6か月未満の労働者も、原則として、その事業主に申し出ることにより、

介護休業をすることができることとなりますので、労使協定を締結している場合は就業規則等の見直しが必要です。

 

3、介護離職防止のための雇用環境整備

 

介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、次のいずれかの措置を講ずること

が事業主に義務づけられます。

また、この措置を講ずるに当たっては、これらのうち複数の措置を講ずることが望ましいものとされています。

①介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施

②介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)

③自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供

④自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

 

4、介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

 

(1)介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認

介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する次の事項の周知と

介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行わなければなりません。

当然のことながら、取得・利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められません。

①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)

②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)

③介護休業給付金に関すること

 

(2)介護に直面する前の早い段階での情報提供

労働者が介護に直面する前の早い段階(40歳等)で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を

深めるため、事業主は介護休業制度等に関する次の事項について情報提供しなければなりません。

①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)

②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)

③介護休業給付金に関すること

 

この情報提供は、「労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)」

又は「労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間」のいずれかに行います。

情報提供に当たっては、「介護休業制度」は介護の体制を構築するため一定期間休業する場合に

対応するものなど、各種制度の趣旨・目的を踏まえて行うことのほか、情報提供の際に併せて

介護保険制度について周知することが望ましいものとされています。

 

5、介護のためのテレワーク導入

 

要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、

事業主に努力義務化されます。

この措置を講ずる場合には、就業規則の見直しが必要です。

2025年3月3日

育児・介護休業法が改正されます!~育児期の柔軟な働き方の実現~

 

男女とも仕事と育児を両立できるように令和7(2025)年4月1日から、

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(略称:育児・介護休業法)が改正され、

育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充などが図られます。

就業規則等の見直しが必要な事項もありますので、早めに準備をしたいところです。

 

1、改正の主な内容

 

今回の改正の主な内容は、次のとおりです。

このうち、(1)(2)については、就業規則等の見直しが必要です。

 

(1)子の看護休暇の見直し

対象となる子の範囲や取得事由が拡大され、名称も「子の看護休暇」に変更されます。

 

(2)所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合においては、

事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。

この請求が可能な労働者の範囲が、「3歳未満の子を養育する労働者」から

小学校就学前の子を養育する労働者」にまで拡大されます。

 

(3)短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワークを追加

事業主は、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、

その業務に従事する労働者がいる場合においては、労使協定を締結し除外規定を設けたうえで、

代替措置を講じなければなりません。

この代替措置のメニューとして、①育児休業に関する制度に準ずる措置、②始業時刻の変更等のほか、

新たに、③テレワーク(在宅勤務等)が追加されます。

代替措置として、この③を選択しようとする場合には、就業規則等の見直しが必要です。

 

(4)育児のためのテレワークの導入

3歳未満の子を養育する労働者がテレワーク(在宅勤務等)を選択できるように措置を講ずることが、

事業主に努力義務化されます。

この措置を導入する場合には、就業規則等の見直しが必要です。

 

(5)育児休業取得状況の公表義務適用拡大

一定規模以上の企業には、育児休業の取得の状況(男性の「育児休業等の取得率」又は

「育児休業等と育児目的休暇の取得率」)についての公表義務が課せられています。

この育児休業の取得の状況の公表義務の対象が、常時雇用する労働者の数が「1,000人を超える企業」から

300人を超える企業」にまで拡大されます。

 

2、子の看護休暇の見直し

 

前記1(1)の子の看護休暇については、具体的には、次のような見直しが行われます。

なお、取得可能日数は、これまでと同様、1年間に5労働日、子が2人以上の場合は10労働日であり、

今回の改正においても、この点に変更はありません。

申出の方法も、基本的にはこれまでと同様です。

 

(1)対象となる子の範囲の拡大

子の看護休暇を取得することができる労働者の範囲について、

「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」から「9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間に

ある子(小学校第3学年修了前の子)を養育する労働者」にまで拡大されます。

 

(2)取得事由の拡大

子の看護休暇を取得することができる場合として、これまで、次の①及び②の場合がありましたが、

これに③及び④の場合が追加されます。

①負傷し、又は疾病にかかった子の世話を行う場合

②子に予防接種又は健康診断を受けさせる場合

③感染症に伴う学級閉鎖等に伴に子の世話を行う場合

④入園(入学)式、卒園式へ参加をする場合

 

(3)労使協定による除外規定の見直し

次の労働者については、子の看護休暇を取得することができないこととする労使協定があるときは、

事業主は子の看護休暇の申出を拒むことができます。

この点について、今回の改正により、①が廃止され、労使協定により除外することができる労働者は

②のみとなります。

①当該事業主に引き続き雇用された期間が6か月に満たない労働者

②1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

 

なお、子の看護休暇については、1日単位のほか、時間単位で取得することもできます。

ただし、時間単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者については、

労使協定で、時間単位での子の看護休暇を取得することができないこととすることができます。

今回の改正においても、この点に変更はありません。

 

(4)名称の変更

前記(2)の取得事由の拡大に伴い、名称が「子の看護休暇」から「子の看護休暇」に変更されます。

2025年2月3日

出生後休業支援給付・育児時短就業給付の創設~雇用保険法の改正

 

令和7年4月1日施行の子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律による雇用保険法の改正により、

「共働き・共育て」及び育児期を通じた柔軟な働き方の推進のため、

出生後休業支援給付及び育児時短就業給付が創設されます。

 

1、育児休業給付の拡大

 

今回の改正により、労働者が子を養育するための休業及び所定労働時間を短縮することによる

就業をした場合の必要な給付として、「育児休業給付」が行われることとなります。

「育児休業等給付」としては、これまでの「育児休業給付」(育児休業給付金及び出生時育児休業給付金)に加え、

新たに、「出生後休業支援給付」(出生後休業支援給付金)及び「育児時短就業給付」(育児時短就業給付金)が

行われます。

 

2、出生後休業支援給付の創設

 

(1)支給要件及び支給額等

出生後休業支援給付は、育児休業給付(給付率67%)と合わせた給付率を 80%とすることで、

両親ともに育児休業を取得することを促進する目的で、創設されます。

雇用保険の保険給付は非課税であり、かつ、育児休業中は社会保険料が免除(一定の要件があります。)

されますので、出生後休業支援給付を受けることにより、休業前の手取り賃金と比較すると、

実質的には10割相当の給付を受けることができるようになります。

この出生後休業支援給付金の支給対象者は、令和7年4月1日以降にその支給要件を満たした

雇用保険の被保険者です。

 

出生後休業支援給付金は、次の要件をいずれも満たす場合に、被保険者の休業期間について、

28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額が支給されます。

① 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に

育児休業を取得すること

②被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得すること

ただし、配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親家庭の場合などには、②の要件のうち

配偶者の育児休業の取得は求められません。

 

(2)支給申請手続

出生後休業支援給付金の支給申請手続は、原則として、育児休業給付(育児休業給付金及び出生時育児休業給付金)の

支給申請手続と併せて、行います。

ただし、育児休業給付の支給申請手続終了後に、出生後休業支援給付金の支給を受けることができるに至った場合は、

当該支給を受けることができるに至った日の翌日から起算して10日以内に、出生後休業支援給付金支給申請書に

所定の書類を添えて、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に

提出しなければなりません。

 

3、育児時短就業給付の創設

 

(1)支給申請手続及び支給額等

育児時短就業給付は、被保険者が2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合に、

時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給することで、育児期を通じた柔軟な働き方を推進する目的で、

創設されます。

この育児時短就業給付金の支給対象者は、令和7年4月1日以降に育児時短就業を開始する雇用保険の

被保険者です。

 

育児時短就業給付金の支給の対象となる「育児時短就業」とは、2歳に満たない子を養育するための所定労働時間を

短縮することによる就業をいいます。

育児時短就業給付金は、被保険者が次のいずれかに該当する場合に、支給対象月について支給されます。

①育児時短就業をした場合において、当該育児時短就業を開始した日前2年間(延長措置があります。)に

みなし被保険者期間が通算して12か月以上であったとき

②被保険者が育児時短就業に係る子について、育児休業給付金の支給を受けていた場合であって

当該育児休業給付金に係る育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたとき

③被保険者が育児時短就業に係る子について、出生時育児休業給付金の支給を受けていた場合であって

当該出生時育児休業給付金に係る出生時育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたとき

 

「支給対象月」とは、被保険者が育児時短就業を開始した日の属する月からこれを終了した日の属する月までの

期間内にある月(その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者であり、かつ、介護休業給付金

又は育児休業給付金、出生時育児休業給付金若しくは出生後休業支援給付金の支給を受けることができる休業を

しなかった月に限ります。)をいいます。

また、育児時短就業給付金の額は、時短勤務中に支払われた賃金額の10%ですが、

この給付率は、時短後の賃金と育児時短就業給付金の額の合計が、時短前の賃金を超えないように調整されます。

 

(2)支給申請手続

被保険者は、初めて育児時短就業給付金の支給を受けようとするときは、支給対象月の初日から起算して

4か月以内に、育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書に

所定の書類を添えて、原則として、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に

提出しなければなりません。

2025年1月8日

改めて~「医師等の時間外労働の上限規制」について

 

我が国の医療は、医師の長時間労働により支えられている側面がありますが、

その一方で、医師の働き方改革に取り組む必要性も増してきています。

そのような医師の働き方改革の一環として、令和6年4月1日施行の労働基準法の改正により、

医師等の時間外労働についても上限規制が設けられました。

 

1、一般労働者の時間外労働の上限規制

 

労働基準法においては、労働時間は、原則として、

1週間40時間、1日8時間(法定労働時間)以内とする必要があります。

これを超えて働く時間(時間外労働)については、36協定を締結する必要がありますが、

これを締結するにあたって、次のような上限が設けられています。

①時間外労働は、原則として、月45時間、年360時間(限度時間)以内です。

②臨時的な特別の事情がある場合(特別条項付き36協定を締結する場合)でも、

時間外労働は、年720時間、単月100時間未満(休日労働を含みます。)、

複数月(2~6か月)平均80時間以内(休日労働を含みます。)であり、

限度時間を超えて時間外労働をすることができる月は年6か月が限度です。

 

2、医師の時間外労働の上限規制

 

(1)「医業に従事する医師」と「特定医師」

「医業に従事する医師」とは、医行為(当該行為を行うに当たり、

医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、

又は危害を及ぼすおそれのある行為)を、反復継続する意思をもって行う医師をいいます。

 

この「医業に従事する医師」のうち、いわゆる医師の時間外労働の上限規制が適用されるのは、

「特定医師」に限られます。

「特定医師」とは、病院もしくは診療所で勤務する医師

(医療を受けるものに対する診療を直接の目的とする業務を行わない者を除く。)

または介護老人保健施設もしくは介護医療院において勤務する医師を指します。

病院等で診療を行う勤務医や、診療も行っている産業医などが「特定医師」に該当します。

 

一方、「医業に従事する医師」のうち、特定医師以外のもの

(血液センター等の勤務医、産業医、大学病院の裁量労働制適用医師など)については、

一般労働者の時間外労働の上限規制(前記1)が適用されます。

 

(2)医師の時間外労働の上限規制(概要)

時間外労働の上限規制には、36協定を締結する際の上限(事業場単位の上限)である

「特別延長時間の上限」と、特定医師個人に対する上限である

「時間外・休日労働時間の上限」という2種類の上限があります。

また、医師の時間外労働の上限規制には、原則の「A水準」と、

適用にあたり都道府県知事の指定が必要な特例水準があります。

なお、月100時間未満の上限については、面接指導による例外があります。

 

【A水準】(原則)

特別延長時間の上限:月100時間未満/年960時間

時間外・休日労働時間の上限:月100時間未満/年960時間

【連携B水準】(医師派遣を行う病院)

自院での時間外・休日労働は年960時間ですが、副業・兼業をした場合は、

年1,860時間まで時間外・休日労働させることができます。

特別延長時間の上限:月100時間未満/年960時間

時間外・休日労働時間の上限:月100時間未満/年1,860時間

【B水準】(救急医療等)

特別延長時間の上限:月100時間未満/年1,860時間

時間外・休日労働時間の上限:月100時間未満/年1,860時間

【C水準】(臨床・専門研修/高度医療の修得研修)

特別延長時間の上限:月100時間未満/年1,860時間

時間外・休日労働時間の上限:月100時間未満/年1,860時間

 

(3)副業・兼業時の労働時間の上限

特定医師が副業・兼業を行う場合には、「自院で把握した医師の労働時間」と

「医師からの自己申告等で把握した他の医療機関での労働時間」を通算する必要があります。

自院と副業・兼業先における時間外・休日労働時間を合計して、

特定医師個人に対する上限である「時間外・休日労働時間の上限」の範囲内とする必要があります。

(「時間外・休日労働時間の上限」との関係においては、副業・兼業先の時間外・休日労働時間を通算します。)

一方、特定医師が他の医療機関で副業・兼業を行う場合であっても、それぞれの医療機関は、

自らの医療機関における時間外・休日労働時間を、自らの36協定の範囲内とする必要があります。

(「特別延長時間の上限」との関係においては、副業・兼業先の時間外・休日労働時間は通算しません。)

 

※特定医師の時間外・休日労働が1か月100時間以上となることが見込まれる場合には、

当該医師に対して、面接指導を実施しなければなりません。

この実施義務は、副業・兼業先の医療機関にも義務づけられています。

2024年12月3日

フリーランスの取引に関する新しい法律がスタート!

 

2024(令和6)年11月1日に、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律

(略称:フリーランス・事業者間取引適正化等法)が施⾏されます。

 

1、フリーランス・事業者間取引適正化等法の趣旨・目的

 

近年、働き方の多様化が進む中で、フリーランスという働き方もその選択肢の一つとして、

社会に普及してきています。

「自分の仕事のスタイルで働きたい」「働く時間や場所を自由にしたい」といった理由から

フリーランスとして働くことを積極的に選択する方も多くいますが、育児や介護のほか、

様々な事情によりフリーランスという働き方を選択する方もいます。

一方で、発注事業者と業務委託を受けるフリーランスの方の取引において、報酬の不払いやハラスメントなど、

様々な問題やトラブルが生じている実態があります。

このような状況を改善し、フリーランスの方が安定的に働くことができる環境を整備するために設けられたのが、

「フリーランス・事業者間取引適正化等法」です。

同法は、①フリーランスの⽅と企業などの発注事業者の間の取引の適正化と、

②フリーランスの⽅の就業環境の整備を図ることを⽬的としています。

 

2、対象となる当事者・取引の定義

 

この法律の対象は、発注事業者からフリーランスへの「業務委託」(事業者間取引)です。

したがって、消費者からの委託や、事業者との売買などは、対象となりません。

対象となる当事者や取引の定義は、次のとおりです。

 

(1)特定受託事業者(フリーランス)と特定受託業務従事者

・「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者(個人又は法人)であって、

従業員を使用しないものをいいます。

特定受託事業者には業種や業界の限定がありませんので、様々な方が対象となります。

また、特定の事業者との関係で従業員として雇⽤されている個⼈が、副業として⾏う事業について、

事業者として他の事業者から業務委託を受けている場合には、「特定受託事業者」に当たります。

・「特定受託業務従事者」とは、特定受託事業者である個人及び特定受託事業者である法人の代表者をいいます。

 

(2)業務委託事業者と特定業務委託事業者(発注事業者)

・「業務委託事業者」とは、フリーランスに業務委託をする事業者をいいます。

・「特定業務委託事業者」とは、フリーランスに業務委託をする事業者(個人又は法人)であって、

従業員を使用するものをいいます。

この場合の「従業員」には、短時間・短期間等の一時的に雇用される者は含まれません。

 

(3)業務委託

「業務委託」とは、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を

委託することをいいます。

 

3、特定受託事業者(フリーランス)に係る取引の適正化に関する規制

 

次のような規制が設けられていますが、フリーランスに対しての義務の内容は、

発注事業者が満たす要件に応じて異なります(次の4についても同様です。)。

 

(1)書⾯等による取引条件の明⽰

フリーランスに対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額等を書面又は電磁的方法により

明示しなければなりません。

 

(2)報酬⽀払期⽇の設定・期⽇内の⽀払い

発注した物品等を受領した⽇から60⽇以内(再委託の場合にあっては、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)

のできる限り早い⽇に報酬⽀払期⽇を設定し、期⽇内に報酬を⽀払わなければなりません。

 

(3)禁止行為

フリーランスに1か月以上の業務委託をした場合は、①受領拒否、②報酬の減額、③返品、④買いたたき、

⑤購入・利用強要をしてはならず、⑥不当な経済上の利益の提供要請、⑦不当な給付内容の変更・やり直しによって

フリーランスの利益を不当に害してはなりません。

 

4、特定受託業務従事者の就業環境の整備に関する規制

 

(1)募集情報の的確表⽰

広告等により募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければ

なりません。

 

(2)育児介護等と業務の両⽴に対する配慮

フリーランスが育児介護等と両立して継続的業務委託(6か月以上行う業務委託)に係る業務を行えるよう、

申出に応じて必要な配慮をしなければなりません。

 

(3)ハラスメント対策に係る体制整備

特定受託業務従事者に対するハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じなければなりません。

 

(4)中途解除等の事前予告・理由開⽰

継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までにフリーランスに対し

予告しなければなりません。

また、予告の⽇から解除⽇までにフリーランスから理由の開⽰の請求があった場合には理由を開⽰しなければ

なりません。

2024年11月1日

教育訓練給付金制度が拡充されます!

 

企業・労働者を取り巻く環境が急速かつ広範に変化し、労働者の職業人生の長期化も同時に進行する中で、

労働者の学び・学び直しの必要性がますます高まっています。

そのような流れを受けて、教育訓練給付金についても、令和6年10月1日施行の雇用保険法の改正による

給付率の引上げ等が行われています。

 

1、教育訓練給付金制度とは?

 

労働者の主体的なスキルアップを支援するため、教育訓練給付対象者が厚生労働大臣の指定を受けた

教育訓練を受講・修了した場合であって、所定の要件を満たすときに、その費用の一部が支給される制度です。

対象となる教育訓練は、そのレベルなどに応じて、次の3種類があり、いずれもその要件を満たすものとして

厚生労働大臣が指定します。

(1)専門実践教育訓練

雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練のうち中長期的なキャリア形成に資する

専門的かつ実践的な教育訓練

(2)特定一般教育訓練

雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練のうち速やかな再就職及び早期のキャリア形成に

資する教育訓練

(3)一般教育訓練

雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練

 

2、教育訓練給付金の支給額(令和6年10月1日以降)

 

教育訓練給付金の額は、教育訓練給付対象者が当該教育訓練の受講のために支払った費用

(厚生労働省令で定める範囲内のものに限られます。)の額に所定の給付率を乗じて得た額

(その額が厚生労働省令で定める額を超えるときは、その定める額)となります。

この給付率は、従来、100分の20以上100分の70以下の範囲内において厚生労働省令で定める率とされていましたが、

令和6年10月1日施行の改正により、訓練効果を高めるためのインセンティブを強化するため、

その上限が100分の80に引き上げられました。

教育訓練の種類に応じた支給額及び上限額は、次のとおりです。

 

(1)専門実践教育訓練給付金(専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金)

・本体給付……専門実践教育訓練を受け、修了した者(当該専門実践教育訓練を受けている者を含む。)について、

受講費用の100分の50(上限年間40万円)

・追加給付①…専門実践教育訓練を受け、修了し、当該専門実践教育訓練に係る資格の取得等をし、かつ、

修了1年以内に雇用保険の一般被保険者又は高年齢被保険者(特例高年齢被保険者を除きます。)として

雇用された場合等に、受講費用の100分の20(上限年間16万)

・追加給付②…専門実践教育訓練を受け、修了し、当該専門実践教育訓練に係る資格の取得等をし、かつ、

訓練前後で賃金が5%以上上昇した場合には、受講費用の100分の10(上限年間8万円)

これらにより、専門実践教育訓練給付金の額は、受講費用の最大100分の80に相当する額(年間上限64万円)

となります。

ただし、上記「追加給付②」については、令和6年10月1日以降に受講を開始した者に限り、適用されます。

 

(2)特定一般教育訓練給付金(特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金)

・本体給付……特定一般教育訓練を受け、修了した者について、受講費用の100分の40(上限20万円)

・追加給付……特定一般教育訓練を受け、終了し、当該特定一般教育訓練に係る資格の取得等をし、かつ、

一般被保険者又は高年齢被保険者(特例高年齢被保険者を除きます。)として雇用された場合等は、

受講費用の100分の10(上限5万円)

これらにより、特定一般教育訓練給付金の額は、受講費用の最大100分の50に相当する額(上限額25万円)と

なります。

ただし、上記「追加給付」については、令和6年10月1日以降に受講を開始した者に限り、適用されます。

 

(3)一般教育訓練給付金(一般教育訓練に係る教育訓練給付金)

一般教育訓練を受け、修了した者について、受講費用の100分の20(上限額10万円)

 

3、受講前の必要書類の提出期限の緩和(令和6年4月1日施行)

 

特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練を受講しようとする者(受講予定者)は、受講する前に、ハローワークで

受給資格確認を受ける必要があります。

この特定一般教育訓練給付金又は専門実践教育訓練給付金の受給資格確認については、

従来は、訓練前キャリアコンサルティングを受けたうえで、受講を開始する日の1か月前までに

職務経歴等記録書(ジョブ・カード)その他の必要書類をハローワークに提出する必要がありましたが、

この必要書類の提出期限が、令和6年4月1日から、「受講を開始する日の原則2週間前まで」に緩和されています。

 

訓練前キャリアコンサルティングにおいては、担当キャリアコンサルタントが、

当該特定一般教育訓練受講予定者又は専門実践教育訓練受講予定者就業に関する目標その他職業能力の開発及び向上に

関する事項についてキャリアコンサルティングを行い、これを踏まえて、「職務経歴等記録書」(ジョブ・カード)を

作成します。

2024年10月1日

育児・介護休業法の施行状況について

 

厚生労働省では毎年、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における雇用均等関係法令の施行状況を

公表しています。

この中では、全体の状況のほか、男女雇用機会均等法の施行状況、労働施策総合推進法

(パワーハラスメント関係)の施行状況、パートタイム・有期雇用労働法の施行状況、

育児・介護休業法の施行状況が取りまとめられています。

育児・介護休業法に関する相談が多く、中でも育児関係の相談が多くなっていることが分かります。

 

1、全体の状況

 

(1)相談の状況

令和5年度、男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法、パートタイム・有期雇用労働法及び育児

・介護休業法について労働者や事業主等から寄せられた相談件数は167,158件(対前年度比13.2減)でした。

その内訳は、次のとおりであり、育児・介護休業法に関する相談が最も多くなっています。

・男女雇用機会均等法に関する相談:19,482件(構成割合11.7%)

・労働施策総合推進法に関する相談:62,863件(同37.6%)

・パートタイム・有期雇用労働法に関する相談:6,781件(同4.1%)

・育児・介護休業法に関する相談:78,032件(同46.7%)

 

(2)是正指導の状況

雇用環境・均等部(室)が行った男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法、パートタイム・有期雇用労働法及び育児

・介護休業法に関する是正指導件数は57,707件(対前年度比105.2%増)でした。

その内訳は、次のとおりであり、育児・介護休業法関係が最も多くなっています。

・男女雇用機会均等法関係:6,214件(構成割合10.8%)

・労働施策総合推進法関係:3,746件(同6.5%)

・パートタイム・有期雇用労働法関係:20,515件(同35.6%)

・育児・介護休業法関係:27,232件(同47.2%)

 

2、育児・介護休業法の施行状況

 

(1)相談の状況

・令和5年度の育児・介護休業法の相談件数は78,032件(対前年度比32.1%減)でした。

・相談内容をみると、育児関係の相談が62,870件(80.6%)、介護関係の相談が12,086件(15.5%)となり、

育児関係の相談が8割を占めています。

・育児関係の相談について、その内訳を見ると、「育児休業」が42,572件(67.7%)、

「育児休業以外(子の看護休暇、所定労働時間の短縮の措置等など)」が11,302件(18.0%)、

「育児休業に係る不利益取扱い」が5,179 件(8.2%)の順になっており、「育児休業」に関する相談が

最も多くなっています。

・介護関係の相談について、その内訳を見ると、「介護休業」が6,441件(53.3%)、

「介護休業以外(介護休暇、所定労働時間の短縮の措置等など)」が4,490件(37.2%)、

「介護休業等に関するハラスメントの防止措置」が623件(5.2%)の順となっており、

「介護休業」に関する相談が最も多くなっています。

・契約期間の定めのある労働者からの相談内容をみると、「育児休業」が1,101件(64.8%)、

「育児休業に係る不利益取扱い」が404件(23.8%)、「介護休業」が180件(10.6%)、

「介護休業に係る不利益取扱い」が13件(0.8%)となっています。

 

(2)是正指導の状況(育児・介護休業法第56条)

育児・介護休業法第56条によれば、厚生労働大臣は、育児・介護休業法の施行に関し必要があると認めるときは、

事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができます。

これに基づく、是正指導の状況は、次のようになっています。

・雇用管理の実態把握を行った8,839事業所のうち何らかの育児・介護休業法違反が確認された7,557事業所

(85.5%)に対し、27,232件の是正指導が実施されています。

・是正指導を行った27,232件のうち育児関係は14, 819件、介護関係は9,568件でした。

育児関係での指導事項の内容は、「第22条第1項関係(雇用環境整備)」が3,458件(23.3%)

「第5条関係(育児休業)」が2,709件(18.3%)、「第25条関係(休業等に関するハラスメントの防止措置)」が

2,106件(14.2%)となっています。

・介護関係での指導事項の内容は、「第11条関係(介護休業)」が2,406件(25.1%)、

「第25条関係(休業等に関するハラスメントの防止措置)」が2,053件(21.5%)、

「第16条の5、第16条の6関係(介護休暇)」が1,471件(15.4%)となっています。

 

(3)紛争解決の援助

・都道府県労働局長による紛争解決援助の申立受理件数は150件でした。

・都道府県労働局長による紛争解決援助の申立内容をみると、育児関係では

「第10条関係(育児休業及び出生時育児休業に係る不利益取扱い)」が74件(53.2%)と最も多く、

介護関係では「第16条、第16条の7、第16条の10、第18条の2、第20条の2、第23条の2関係(不利益取扱い)」が

4件(36.4%)と最も多くなっています。

・令和5年度中に援助を終了した142件のうち、112件(78.9%)について都道府県労働局長が

助言・指導・勧告を行った結果、解決しました。

・両立支援調停会議による調停の申請受理件数は19件でした。

2024年9月2日

児童手当法が改正されます!

 

「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定)の「加速化プラン」に盛り込まれた施策を着実に実行するため、

子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が成立し、今後、順次施行されます。

これに基づき、まず令和6年10月1日から、児童手当法が改正されます。

 

1、「こども未来戦略」~令和5年12月22日閣議決定

 

急速な少子化が大きな問題となっていますが、「こども未来戦略」では、

①若い世代が結婚・子育ての将来展望を描けない、

②子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境がある、

③子育ての経済的・精神的負担感や子育て世帯の不公平感が存在する

といったことをこども・子育ての政策課題として掲げ、次の3つをこの戦略の基本理念としています。

(1)若い世代の所得を増やす

(2)社会全体の構造・意識を変える

(3)全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する

 

そのうえで、今後3年間の集中的な取組として「加速化プラン」が示されました。

この「加速化プラン」において、「ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や

若い世代の所得向上に向けた取組」の1つとして、児童手当の抜本的拡充が位置づけられています。

 

2、児童手当法の改正の概要~令和6年10月1日施行

 

児童手当法の改正により、児童手当については、次代を担う全てのこどもの育ちを支える

基礎的な経済支援としての位置づけが明確化されます。

主な改正点は、次のとおりであり、これらによる拡充後の児童手当の初回の支給は、

令和6年12月となります。

①支給期間を中学生までから高校生年代までとすること(支給期間の延長)

②支給要件のうち所得制限を撤廃すること(所得制限に撤廃)

③第3子以降の児童に係る支給額を月額3万円とすること(第3子以降の支給額の増額)

④支払月を年3回から隔月(偶数月)の年6回とすること(支払月の変更)

 

3、支給期間の延長と所得制限の撤廃

 

児童手当法においては、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であって、

日本国内に住所を有するもの又は留学その他の内閣府令で定める理由により日本国内に住所を有しないものを

「児童」と定義しています。

これまで、「児童」であっても児童手当の支給対象外となる者がありましたが、今回の改正で、支給期間が延長され、

かつ、所得制限が撤廃されることにより、全ての「児童」が児童手当の支給対象となります。

 

(1)支給期間の延長

児童手当の支給期間は、これまで、児童が15歳に達する日以後の最初の3月31日まで(中学生まで)でしたが、

これが、児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(高校生年代まで)となります。

 

(2)所得制限の撤廃

児童手当の支給に当たっては、これまで所得制限(前年の所得が所定の額未満であること)が設けられていましたが、

これが撤廃されます。

これにより、これまでは所得制限により特例給付の対象となり、又は、支給対象外となっていた者についても、

児童手当が支給されることとなります。

 

4、第3子以降の支給額の増額

 

(1)児童手当の額

児童手当の額は、原則として、3歳未満の児童について、1人当たり月額1万5,000円、3歳以上の児童について、

1人当たり月額1万円です。

ただし、こども3人以上の世帯数の割合が特に減少していることや、こども3人以上の世帯はより経

済的支援の必要性が高いと考えられること等から、個人受給資格者(一般受給資格者のうち法人受給資格者以外のもの)

については、第3子以降の児童に係る児童手当の額を加算する措置が執られています。

 

(2)第3子以降の児童手当の額

第3子以降の児童に係る児童手当の額は、これまでは、3歳以上小学校修了前の児童に限り、

月額1万5,000円に引き上げられていましたが、これが、0歳から高校生年代までの児童について、

全て月額3万円に引き上げられます。

 

(3)第3子以降の加算に係るカウント方法

第3子以降の加算に係るカウント方法についても、これまでの高校生年代までの取扱いを見直し、

大学生に限らず、22歳に達する日以後の最初の3月31日(22歳年度末)までの間にある上の子も、

親等の経済的負担がある場合は、カウント対象となります。

 

5、支払月の変更

 

児童手当の支払月は、これまで、2月、6月及び10月の3期でしたが、

これが2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期(隔月(偶数月)の年6回)となります。

2024年8月1日

合計特殊出生率は過去最低~令和5年人口動態統計月報年計(概数)より

 

先日、「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)」が公表されました。

合計特殊出生率が過去最低の「1.20」となったことが大きな話題となっていますので、

今回は、この結果の概要をお知らせします。

 

1、人口動態調査について

 

人口動態調査は、統計法に基づく基幹統計の一つである「人口動態統計」を作成するための統計調査として、

行われているものです。

その目的は、出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の人口動態事象を把握し、

人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることにあります。

今回の結果では、令和5年1年間に日本において発生した日本人の事象を集計しています。

 

2、令和5年の結果のポイント

 

①出生数:727,277人で過去最少(8年連続減少)(対前年43,482人減少)

②合計特殊出生率:1.20で過去最低(8年連続低下)(同0.06ポイント低下)

③死亡数:1,575,936人で過去最多(3年連続増加)(同6,886人増加)

④自然増減数:△848,659人で過去最大の減少(17年連続減少)(同50,368人減少)

⑤死産数:15,532胎で増加(同353胎増加)

⑥婚姻件数:474,717組で減少(同30,213組減少)

⑦離婚件数:183,808組で増加(同4,709組増加)

 

3、令和5年の結果の概要

 

(1)出生数について

・出生数は727,277人で、前年より43,482人減少し、出生率(人口千対)は6.0で、前年より低下しています。

・出生数の年次推移をみると、昭和24年をピークに、昭和50年以降は減少と増加を繰り返しながら

減少傾向が続いており、平成27年は5年ぶりに増加しましたが、平成28年から再び減少しています。

・第1子出生時の母の平均年齢は平成27年から横ばいとなっていましたが、令和3年は6年ぶりに上昇し、

令和5年は31.0歳で、2年ぶりに上昇しました。

 

(2)合計特殊出生率について

合計特殊出生率とは、ここでは、その年次の15歳~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、

1人の女性がその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子ども数に相当します。

・令和5年の合計特殊出生率は1.20で、前年の1.26より低下し、過去最低となりました。

・年次推移をみると、平成18年から上昇傾向が続いていましたが、平成26年に低下し、

平成27年の再上昇の後、平成28年からは再び低下しています。

・合計特殊出生率の内訳を母の年齢(5歳階級)別にみると、最も出生率が高いのは、30~34歳となっています。

出生順位別では、全ての順位で低下しています。

・都道府県別にみると、沖縄県(1.60)、宮崎県(1.49)、長崎県(1.49)が高く、東京都(0.99)、

北海道(1.06)、宮城県(1.07)が低くなっています。

 

(3)死亡数・死亡率について

・令和5年の死亡数は1,575,936人で、前年より増加しています。

・死亡数の年次推移をみると、昭和50年代後半から増加傾向となり、平成15年に100万人を超え、

増加傾向が続きました。令和2年は11年ぶりに減少しましたが、再び増加に転じ令和4年に続き、

令和5年も150万人台となっています。

・死亡率(人口10万対)を年齢(5歳階級)別にみると、50~54歳及び70~74歳を除く40歳以上の各階級で

前年より低下しています。

 

(4)婚姻について

・令和5年の婚姻件数は474,717組で、前年より減少し、婚姻率(人口千対)は3.9で、前年より低下しています。

・婚姻件数の年次推移をみると、昭和47年をピークに、昭和50年代以降は増加と減少を繰り返しながら

推移しています。平成25年からは、令和元年に7年ぶり、令和4年に3年ぶりの増加がありましたが、

減少傾向が続いています。

・初婚の妻の年齢(各歳)の構成割合を10年ごとに比較すると、ピークの年齢は、20年前は27歳で、

令和5年は26歳となっていますが、年齢の低い者の割合が低下し、年齢の高い者の割合が上昇する傾向にあります。

・令和5年の平均初婚年齢は、夫31.1歳、妻29.7歳で、夫妻ともに前年と同年齢となっています。

これを都道府県別にみると、平均初婚年齢が最も低いのは、夫が島根県及び宮崎県の30.0歳、妻は島根県の28.9歳、

最も高いのは夫妻とも東京都で、夫32.3歳、妻30.7歳となっています。

 

(5)離婚について

・令和5年の離婚件数は183,808組で、前年より増加し、離婚率(人口千対)は1.52で、前年より上昇しています。

・離婚件数の年次推移をみると、昭和39年以降毎年増加を続けましたが、昭和59年からは減少しました。

平成に入り再び増加傾向にありましたが、平成14年をピークに減少傾向が続いています。

2024年7月1日