多田労務管理事務所 西新宿の社労士事務所

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活動

副業・兼業に関心はありますか?~「副業・兼業の促進に関するガイドライン」より

1、副業・兼業の現状

多様な働き方が模索される中、副業・兼業を希望する労働者も増加傾向にあるようですが、労働者の副業・兼業を認めている企業はまだ多くはありません。

 

裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、①労務提供上の支障となる場合、②企業秘密が漏洩する場合、③企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、④競業により企業の利益を害する場合と考えられる旨を示しています。

また、厚生労働省が平成30年1月に改定したモデル就業規則においては、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」としています。

 

政府も副業・兼業の普及促進を図っていますが、一方では、副業・兼業により労働者の長時間労働につながることも懸念されるため、副業・兼業の場合における労働時間管理や健康管理等について、ガイドラインを示しています。

以下では、このガイドラインの概要を、かいつまんで取り上げます。

 

2、企業に求められる対応

(1)基本的な考え方

副業・兼業を進めるに当たっては、労働者と企業の双方が納得感を持って進めることができるよう、企業と労働者との間で十分にコミュニケーションをとることが重要です。

副業・兼業を認める場合には、就業規則において、原則として労働者は副業・兼業を行うことができること、例外的に、①安全配慮義務、②秘密保持義務、③競業避止義務、④誠実義務に支障がある場合には、副業・兼業を禁止又は制限できることとしておくことが考えられます。

 

(2)労働時間管理について

労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合には、労働基準法38条1項に基づき、労働時間を通算して管理することが必要です。

①労働時間の通算が必要となる場合

労働者が事業主を異にする複数の事業場において、「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合には、労働時間が通算されます。

この場合には、法定労働時間、上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)の適用にあたっては、労働時間を通算することとなります。

一方、事業主、委任、請負など労働時間規制が適用されない場合には、その時間は通算されません。

 

②副業・兼業の確認

使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認します。副業・兼業に伴う労務管理を適切に行うためには、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましいものとされています。

 

③労働時間の通算

副業・兼業を行う労働者を使用するすべての使用者は、労働時間を通算して管理しなければなりません。労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社の労働時間を通算することによって行います。

 

④時間外労働の割増賃金の取扱い

副業・兼業の開始前に、自社の所定労働時間と他社の所定労働時間を通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分は後から契約した会社の時間外労働となります。

副業・兼業の開始後に、所定労働時間の通算に加えて、自社の所定外労働時間と他社の所定外労働時間を、所定外労働が行われる順に通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分が時間外労働となります。

使用者は、これらによって時間外労働となる部分のうち、自社で労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を支払う必要があります。

 

なお、労働時間管理は、労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続上の負担を軽減し、労働基準法が遵守されやすくなる簡便な労働時間管理の方法(管理モデル)により行うことができます。

 

(3)健康管理

使用者は、労働安全衛生法に基づき、健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックやこれらの結果に基づく事後措置等を実施しなければなりません。

また、健康確保の観点からも、他の事業場における労働時間と通算して適用される労働基準法の時間外労働の上限規制を遵守すること等が求められます。

 

3、労働者に求められる対応

労働者は、自社の副業・兼業に関するルールを確認し、そのルールに照らして、業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要があります。

また、労働者は、副業・兼業による過労によって健康を害したり、業務に支障を来したりすることがないよう、自ら業務量や進捗状況、時間や健康状態を管理しなければなりません。

基本手当の支給に係る取扱いが一部変更されました!

 

失業し、所定の要件を満たす労働者には、雇用保険から基本手当が支給されます。

雇用保険法等の改正により、この基本手当の支給に関する取扱いが一部、変更されました。

 

1、改正の概要

 

(1)被保険者期間の算定方法の変更

勤務日数が少ない者でも適切に雇用保険の給付を受けられるよう、被保険者期間の算定に当たり、これまでの日数による基準に加え、労働時間による基準が補完的に設定されました。

 

(2)離職理由による給付制限期間の短縮

正当な理由がない自己の都合により離職した場合の給付制限期間が、2か月に短縮されました。

 

2、被保険者期間の算定方法の変更(令和2年8月1日施行)

 

(1)基本手当の支給要件

基本手当の支給を受けるためには、原則として、離職をした日以前の2年間に、「被保険者期間」が通算して12か月以上あること(特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あることでも可)が必要です。

 

(2)被保険者期間の計算

被保険者として雇用された期間を、資格の喪失の日の前日からさかのぼって1か月ごとに区切っていき、この区切られた1か月の期間に賃金の支払い基礎となった日数(賃金支払基礎日数)が11日以上ある場合に、その1か月の期間を被保険者期間の1か月として計算します。

また、このように区切ることにより1か月未満の期間が生ずることがありますが、その1か月未満の期間の日数が15日以上あり、かつ、その期間内に賃金支払基礎日数が11日以上ある場合に、その期間を被保険者期間の2分の1か月として計算します。

 

(3)労働時間による基準

前記(2)の被保険者期間の算定方法では、雇用保険の被保険者となる要件(1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、31日以上雇用される見込みがあること)を満たしながらも、賃金支払基礎日数が11日に満たないことにより、被保険者期間に算入されない期間が生ずることがあるため、新たに労働時間による基準が追加されました。

 

離職日以前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が12か月に満たない場合は、前記(2)と同様に、資格の喪失の日の前日からさかのぼって1か月ごと区切られた各期間のうち、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上であるものを1か月(1か月未満15日以上の期間にあっては、2分の1か月)として計算します。

 

(4)留意点その他

・労働時間による基準は、離職日が令和2年8月1日以降である場合に適用されます。

・離職日が令和2年8月1日以降の労働者に関して「離職証明書」を作成する際は、賃金支払基礎日数が10日以下の期間については、所定の欄に、当該期間における賃金の支払いの基礎となった労働時間数を記載する必要があります。

・高年齢求職者給付金または特例一時金の支給に係る被保険者期間や、介護休業給付金または育児休業給付金の支給に係るみなし被保険者期間の計算についても、同様に、労働時間による基準が適用されます。

 

3、離職理由による給付制限期間の短縮(令和2年10月1日施行)

 

(1)離職理由による給付制限

次のいずれかに該当する場合には、待期満了後1か月以上3か月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当が支給されません。

①被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合

②正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合

 

(2)給付制限期間の短縮

この場合の給付制限期間は、原則として、「3か月」とされています。

これに対して、正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合(前記(1)②の場合)の給付制限期間が、5年間のうち2回までは、「2か月」となります。

 

(3)留意点その他

・給付制限期間が2か月となりうるのは、令和2年10月1日以降に離職した者に限られます。令和2年9月30日までに離職した者の給付制限期間は、従来どおり、3か月です。

・給付制限期間が2か月となりうるのは、正当な理由がなく自己の都合によって退職した者(前記(1)②に該当する者)に限られます。自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された者(前記(1)①に該当する者)の給付制限期間は、従来どおり、3か月です。

・5年間に2回以上の自己の都合による退職をしている者の給付制限期間は、3か月となります。3回目以降の退職にあたっては、その退職からさかのぼって5年間に2回以上の自己の都合による退職があるかの確認が行われます。

・令和2年9月30日以前の自己の都合による退職は、令和2年10月1日以降の退職に係る給付制限期間に影響しません。

複数事業労働者に対する労災保険給付が変わります!

 

令和2年9月1日施行の労働者災害補償保険法の改正により、複数事業労働者に対する労災保険の保険給付について、複数の就業先の賃金に基づく給付基礎日額の算定や給付の対象範囲の拡充等の見直しが行われました。

 

1、「複数事業労働者」とは?

 

事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(複数の会社等に雇用されている労働者)のことを、「複数事業労働者」といいます。

 

令和2年9月1日以降に、けがをしたり、病気になったりした労働者や、死亡した労働者の遺族が、今回の改正事項の対象となります。

また、原則として、けがをしたときや病気になった時点で、複数の会社で働いている労働者が対象となります。

ただし、けがをしたときや病気になったときなどに一つの会社等でのみ雇用されている労働者やすべての会社等を退職している労働者であっても、そのけがや病気などの原因・要因となるもの(長時間労働、強いストレスなど)が、二つ以上の会社等で雇用されている際に存在していたものときは、対象となります。

 

2、改正の概要

 

複数事業労働者に対する保険給付について、次のような拡充が図られています。

(1)給付基礎日額の算定方法の特例

複数事業労働者については、すべての就業先での給付基礎日額を合算した額を基礎に給付額等が決定されることとなりました。

 

(2)新たな保険給付の創設

複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(複数業務要因災害)に関する保険給付が創設されました。

 

3、給付基礎日額の算定方法の特例

 

労災保険では、療養補償給付、介護補償給付、二次健康診断等給付などの一定の保険給付を除き、被災労働者の給付基礎日額によって具体的な保険給付の額が算出されます。

 

給付基礎日額とは、原則として、労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。

この給付基礎日額の算定に当たり、これまでは、災害が発生した就業先の賃金額のみがその基礎とされていました。

この点に関し、複数事業労働者については、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を給付基礎日額とすることとなりました。

 

例えば、A会社(給付基礎日額10,000円)とB会社(給付基礎日額5,000円)で働いている労働者が、B会社において業務上負傷し、休業した場合には、これまでは、B会社の給付基礎日額5,000円を基礎として、休業補償給付などが行われていました。

今後は、A会社とB会社の給付基礎日額を合算した15,000円(=10,000円+5,000円)を基礎として、休業補償給付が行われることとなります。

 

4、複数事業労働者に対する新たな保険給付の創設

 

(1)複数業務要因災害に関する保険給付

労災保険においては、これまで、①業務災害に関する保険給付及び②通勤災害に関する保険給付を行っていましたが、これらに加えて、③複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(これを「複数業務要因災害」といいます。)に関する保険給付を行うこととされました。

これにより、脳血管疾患・虚血性心疾患や精神障害などに関する労災認定にあたっては、すべての就業先の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して判断されることとなります。

 

例えば、A会社とB会社で働いている労働者が脳血管疾患を発症した場合において、これまでは、A会社とB会社それぞれにおける負荷を個別に評価して、労災認定するかどうかが判断されていました。

今後は、それぞれの会社の負荷を個別に評価して労災認定できない場合には、両社の負荷を総合的に評価して、労災認定するかどうかが判断されることとなります。

 

(2)保険給付の種類

複数業務要因災害に関する保険給付としては、次の保険給付が行われます。

その内容は、これまでの業務災害または通勤災害に関する各保険給付に準ずるものとなっています。

①複数事業労働者療養給付(療養補償給付、療養給付に相当する給付)

②複数事業労働者休業給付(休業補償給付、休業給付に相当する給付)

③複数事業労働者障害給付(障害補償給付、障害給付に相当する給付)

④複数事業労働者遺族給付(遺族補償給付、遺族給付に相当する給付)

⑤複数事業労働者葬祭給付(葬祭料、総裁給付に相当する給付)

⑥複数事業労働者傷病年金(傷病補償年金、傷病年金に相当する給付)

⑦複数事業労働者介護給付(介護保障給付、介護給付に相当する給付)

厚生年金保険料等の標準報酬月額の特例改定について

 

新型コロナウイルス感染症の影響による休業により報酬が著しく下がった被保険者であって、一定の条件に該当するものについて、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定によらず、翌月からの改定を可能とする特例が設けられています。

 

1、特例改定の対象者

 

次のすべてに該当する被保険者が、この特例による改定(特例改定)の対象となります。

(1)新型コロナウイルス感染症の影響による 休業 があったことにより、令和2年4月から7月までの間に、報酬が著しく低下した月(急減月)が生じたこと

休業とは、労働者が事業所において、労働契約、就業規則、労働協約等で定められた所定労働日に労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、当該所定労働日の全1日にわたり労働することができない状態または当該所定労働日の労働時間内において1時間以上労働することができない状態をいいます。

たとえば、①事業主からの休業命令や自宅待機指示などにより休業状態にあった者(1か月のうちに1時間でも休業のあった者)や、②日給や時間給の者であって、事業主からの命令や指示等により、通常の勤務やシフトによる日数や時間を短縮し、短時間休業が行われることとなったものが対象となりえます。

一方、休業を伴わずに報酬が低下した場合(テレワークの実施により残業時間が減少し、報酬が低下した場合等)や、休業が新型コロナウイルス感染症の影響によるものでない場合などは、特例改定の対象となりません。

 

(2)著しく報酬が低下した月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、すでに設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がったこと

①通常の随時改定の場合とは異なり、急減月に固定的賃金(日給等の単価)の変動があったか否かは問われません。

②事業主からの休業命令や自宅待機指示などがあり、その間、使用関係が継続していれば、賃金の支払い状況にかかわらず、休業した日を報酬支払基礎日数として取り扱って差し支えないものとされています。そのうえでも、休業のあった月とその前2か月のいずれか1月でも報酬払基礎日数が17日未満(または11日未満)となる場合は、特例改定の対象となりません。

③急減月に、報酬が何ら支払われていない者については、第1級の標準報酬月額として取り扱われます。なお、報酬には、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金は含みません。

④被保険者期間が急減月を含めて3か月未満の者については、特例改定の要件となる被保険者期間を満たさないため、特例改定の対象とはなりません。

 

(3)特例改定を行うことについて、本人が書面で同意していること

①改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金及び年金の額が算出されることへの同意を含めて、被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要となります。

②同一の被保険者について複数回、特例改定の申請を行うことはできません。

 

2、減額の対象となる保険料

 

令和2年4月から7月までの間に休業により報酬等が急減した場合が特例改定の対象ですので、その翌月の令和2年5月から8月分の保険料が減額の対象となります。

 

3、申請手続等

 

特定改定の適用を受けようとする場合には、事業主は、月額変更届(特例改定用)に申立書を添付し、管轄の年金事務所に申請します。

届書及び申請書は、日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。

申請期限は、令和3年1月末日です。

それまでの間は遡及しての適用が可能ですが、事務の複雑化や年末調整等への影響を最小限とするためにも、できるだけ速やかな申請が望まれます。

また、申請により保険料が遡及して減額される場合には、被保険者へ適切に保険料を返還する必要があります。

 

4、特例改定後の対応等

 

(1)特例改定を受けた者に係る定時決定

5月・6月に特例改定が行われた者については、定時決定を行う必要があります。

一方、7月・8月に特例改定が行われた者については、定時決定を行う必要はありません。

 

(2)休業が回復した場合の取り扱い

特例改定後に、昇給など固定的賃金の変動により随時改定の要件に該当することとなった場合には、通常の随時改定の届出が必要となります。

なお、定時決定が行われない7月分または8月分保険料から本特例による改定が行われた者については、休業が回復した月から継続した3か月間の報酬による標準報酬月額が2等級以上上昇する場合には、固定的賃金の変動の有無にかかわらず、月額変更届の届出が必要となります。

(3)通常の定時決定や随時改定について

通常の定時決定や随時改定の対象者の要件や手続方法に変更はありません。

従来どおり、休業中で給与等の支給がない日は報酬支払基礎日数に含まれず、また、固定的賃金の変動があった場合のみが随時改定の対象となります。

新型コロナウイルス感染症の影響よる年度更新期間の延長と労働保険料の納付猶予制度

 

新型コロナウイスル感染症の影響を踏まえ、令和2年度の労働保険の年度更新期間が延長されています。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により労働保険料等を納付することが困難となった事業主の方々については、申請により、その納付が猶予されることがあります。

 

1、年度更新期間の延長

 

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、令和2年度の労働保険の年度更新期間が、「令和2年6月1日~7月10日」から「令和2年6月1日~8月31日」に延長されました。

これにより、令和2年度の労働保険料及び一般拠出金の概算保険料及び確定保険料に係る申告書の提出及び納付の期限が、令和2年8月31日となりました。

また、口座振替により労働保険料を納付している場合の全期及び第1期の口座振替納付日も、「令和2年9月7日」から「令和2年10月13日」に変更されました。

なお、延納(分割納付)をしている場合の第2期以降の納期限は、従来どおりです。

 

2、労働保険料等の納付猶予制度

 

労働保険料等については、次のような納付を猶予する制度があります。

これらの納付猶予制度の適用を受けようとする場合には、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局に、所定の申請書等を提出します(郵送や電子申請も可能)。

 

(1)労働保険料等の納付猶予の特例

次の要件に該当することとなった事業主については、申請により、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する労働保険料等の納付が、1年間猶予されます。

新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業に係る収入が前年同期に比べておおむね20%以上減少していること

②前記①により、一時に納付を行うことが困難であること

 

令和2年度の全期または第1期分について、特例の適用を希望する場合には、年度更新期間延長後の令和2年8月31日までに申請をする必要があります。

 

(2)災害による納付の猶予

事業主が、災害により、全積極財産(負債を除く資産)のおおむね 20%以上に損失を受けた場合には、申請により、労働保険料等の納付が猶予されます。

例えば、事業主本人や家族、労働者等が新型コロナウイルス感染症に罹患したため、消毒作業等により財産(棚卸資産を含む。)に相当の損害を受けた場合等は、これに該当する可能性があります。

災害による納付の猶予を受けることができる期間は、1年の範囲内で、被害のあった財産の損失の状況及び財産の種類を勘案して決定されます。

猶予期間の延長はありませんが、猶予期間内に完納することができないやむを得ない理由があると認められる場合は、次の「通常の場合の納付の猶予」を申請することにより、災害による納付の猶予期間と合わせて最長3年以内の範囲で延長が認められる場合があります。

 

災害による納付の猶予の対象となる労働保険料等は、損失を受けた日以後1年以内に納付するもの(その納期限が、その損失を受けた日以後に到来するもの)に限られます。

災害による納付の猶予に係る申請期限は、災害がやんだ日から2か月以内です。

 

(3)通常の場合の納付の猶予

前記(1)及び(2)の納付の猶予を受けることができない事業主であっても次の要件に該当するときは、労働保険料等の納付が猶予されます。

例えば、新型コロナウイルス感染症の発生に伴う各種イベントの中止・延期、観光客等の急減等により、売上が著しく低下した場合等は、これに該当する可能性があります。

①次のいずれかに該当する事実があること

・財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にあったこと

・事業主又はその生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと

・事業を廃止し、又は休業したこと

・その事業につき著しい損失を受けたこと(申請前の1年間において、その前年の利益額の2分の1を超える損失(赤字)を生じた場合)

・上記に類する事実があった場合

②前記①の該当事実により、納付すべき労働保険料等を一時に納付することができないと認められること

③原則として、猶予を受けようとする労働保険料等の金額に相当する担保の提供があること(猶予に係る金額が100万円以下である場合、猶予期間が3か月以内である場合、担保として提供することができる財産がない場合は不要)

納付の猶予を受けることができる期間は、1年の範囲内で、申請者の財産や収支の状況に応じて、最も早く労働保険料等を完納することができると認められる期間に限られます。

なお、猶予期間内に完納することができないやむを得ない理由があると認められる場合は 申請することにより、当初の猶予期間と合わせて最長2年以内の範囲で猶予期間の延長が認められることがあります。

 

通常の場合の納付の猶予については、特に申請期限は設けられていませんが、猶予に該当する事実発生後、猶予を受けようとする期間より前に申請をする必要があります。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響よる厚生年金保険料等の納付猶予の特例

 

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業等に係る収入に相当の減少があった事業主の方について、厚生年金保険料等の納付を1年間猶予することができることとなりました。

この納付猶予の特例が適用された場合には、担保の提供が不要となり、延滞金もかからなくなります。

 

1、納付猶予の特例の適用要件

 

次の(1)から(4)に掲げる要件のすべてに該当する場合には、厚生年金保険料等の納付猶予の特例の適用を受けることができます。

(1)令和2年2月1日以後に適用事業所の事業につき相当な収入の減少(前年同期に比べておおむね20%以上の減少)があったこと

「事業につき相当な収入の減少」とは、令和2年2月1日から猶予を受けようとする保険料等の指定期限までの間の任意の期間(1か月以上。以下「調査期間」という。)の収入金額につき、その調査期間の直前1年間における調査期間に対応する期間(※1)の収入金額(※2)に対して、おおむね20%(※3)以上減少していると認められることをいいます。

 

(※1)調査期間に対応する期間がない場合は、その期間に近接する期間その他調査期間の収入金額と比較する期間として適当と認められる期間となります。

(※2)調査期間に対応する期間の収入金額が不明な場合は、調査期間の直前1年間の収入金額を12で割り、これを割り当てる方法その他適当な方法により算定した金額となります。

(※3)現に収入の減少が20%に満たないことのみをもって、一概に納付猶予の特例の適用が否定されるわけではなく、個々の適用事業所の状況を十分に聴取し、今後さらに減少率が悪化することが見込まれるなどによりおおむね20%以上減少していると認められるかどうかをみて、猶予を適用することが相当であるかが判断されます。

 

(2)その相当な収入の減少等が、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響によるものであること

新型コロナウイルス感染症の影響によるイベント開催又は外出等の自粛要請、入国制限、その他の理由で収入が減少していることが要件となります。

「海外からの材料の輸入停止」のような直接的な影響によるもののほか、間接的な影響によるものも広く含まれます。

 

(3)一時に納付することが困難であると認められる保険料等があること

「一時に納付が困難」とは、納付すべき保険料等を一時に納付する資金がないこと、又は納付すべき保険料等を事業の継続のために必要な少なくとも今後6か月間の運転資金に充てた場合に保険料等を納付する資金がないことをいいます。

 

(4)指定期限内に申請がされたこと(やむを得ない理由がある場合を除く。)

納付猶予の特例の申請は、後述の「指定期限」までに提出する必要があります。

 

2、対象となる厚生年金保険料等

 

令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する厚生年金保険料等が、この納付猶予の特例の対象となります。

令和2年2月1日から令和2年4月30日(特例施行日)までの間に納期限が到来している厚生年金保険料等(令和2年1月分から3月分)は、令和2年6月30日までの申請により、遡って特例の適用を受けることができます。

 

3、猶予期間

 

この納付猶予の特例により、納付の猶予を受けることができる期間は、猶予を受ける保険料等ごとに納期限の翌日から1年間です。

 

4、申請手続

 

(1)申請書の提出

「納付の猶予(特例)申請書」を管轄の年金事務所に提出します(郵送での申請も可)。

申請書は、日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。

根拠となる書類の準備が難しい場合は、まずは、申請書のみを提出することでも差し支えないようです。

また、国税、地方税、労働保険料等の納付猶予の特例が許可された場合は、その際の申請書と許可通知書の写しを併せて提出することで、申請書の一部記載を省略することができます。

 

(2)申請期限

納付猶予の特例の申請は、指定期限までに行う必要があります。

この指定期限は、毎月の納期限からおおよそ25日後になります。

月々の指定期限は、納期限までに保険料等の納付がない場合に送付される「督促状」に記載されます。

なお、やむを得ない理由があって指定期限内の申請が困難な場合は、指定期限後の申請が認められることがあります。

やむをえない理由がある場合には、事業所の事業について新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことに伴う貸付けを受けるための手続を行っていたこと等により、猶予申請ができなかった場合などが該当します。

新型コロナウイルス感染症に関する対応に伴う育児休業延長

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、保育所等の臨時休園や登園自粛の要請も続いています。
そのような状況の中、育児休業の取得に係る暫定的な取扱いも設けられました。

1、1歳に満たない子に係る再度の育児休業について

(1)1歳に満たない子に係る再度の育児休業
1歳に満たない子についての再度の育児休業は、原則として、特別の事情がある場合に限り、認められます。
この再度の育児休業が認められる「特別の事情」の一つに、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないときがあります。

(2)新型コロナウイルス感染症に関する対応に伴う暫定的な取扱い
この「特別の事情」について、当分の間、保育所等の内定を受けているとき又は保育所等へ子を入所させているときであって、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、再度の育児休業に係る育児休業期間の初日において保育所等が臨時休園となっているとき又は市町村若しくは保育所等から登園を控える旨要請がなされているときを含むものとされました。
つまり、保育所等における保育は実施されることとなっているけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で、実際に保育所に子を預けることができなくなっている場合も、再度の育児休業の対象となるわけです。

2、1歳6か月又は2歳に満たない子に係る育児休業について

(1)1歳6か月又は2歳に満たない子に係る育児休業
1歳から1歳6か月に達するまでの子又は1歳6か月から2歳に達するまでの子についての育児休業は、次のいずれにも該当する場合に限り、することができます。
①当該申出に係る子について、当該労働者又はその配偶者が、当該子の1歳到達日又は1歳6か月到達日において育児休業をしている場合
②当該子の1歳到達日又は1歳6か月到達日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合

上記②の「厚生労働省令で定める場合」の一つに、当該育児休業の申出に係る子について、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が1歳到達日又は1歳6か月到達日後の期間について、当面その実施が行われない場合があります。

(2)新型コロナウイルス感染症に関する対応に伴う暫定的な取扱い
この「厚生労働省令で定める場合」についても、当分の間、保育所等の内定を受けている場合又は保育所等へ子を入所させている場合であって、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、子が1歳に達する日の翌日において保育所等が臨時休園となっている場合又は市町村若しくは保育所等から登園を控える旨要請がなされている場合を含むものとされました。
つまり、保育所等における保育は実施されることとなっているけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で、実際に保育所に子を預けることができなくなっている場合も、1歳6か月又は2歳に満たない子について、育児休業をすることができるわけです。

3、現在取得中の育児休業に係る終了予定日の変更

新型コロナウイルス感染症に関連した暫定的な取り扱いではありませんが、育児休業の終了予定日を繰り下げることができます。

(1)1歳に満たない子に係る育児休業
1歳に満たない子についての育児休業は、その事由を問わず、1回に限り、終了予定日とされた日後の日に(繰り下げて)変更することができます。
変更後の育児休業は、原則として、最長で子が1歳までですが、両親がともに育児休業をする場合には、一定の要件を満たせば、最長で子が1歳2か月までとなります。
1歳の満たない子に係る育児休業の終了予定日の変更の申出は、法令上は、当初に終了予定日とされた日の1か月前の日までに事業主に行うこととなっていますが、その後の申出が可能かどうかについては、労使で話し合ってください。

(2)1歳6か月又は2歳に係る育児休業
1歳から1歳6か月までの休業、1歳6か月から2歳までの休業についても、前記(1)同様に、それぞれに終了予定日の変更の申出が可能です。
ただし、この申出は、法令上は、当初に育児休業終了予定日とされた日の2週間前の日までに行うこととなっています。

4、育児休業給付金

被保険者からの申出に基づき事業主が取得を認めた育児休業であって、休業開始日から、当該休業に係る子が満1歳(一定の要件を満たす場合は1歳2か月)に達する日(満1歳(1歳2か月)の誕生日の前日)又は1歳6か月若しくは2歳に達する日の前日までにあるものについては、所定の要件を満たせば、育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金の支給申請は、原則として、事業主を経由して行います。
また、子が1歳に達する日後又は1歳6か月に達する日後に育児休業を延長して取得した場合には、それぞれ延長の手続きが必要です。

働き方改革~不合理な待遇差の禁止(派遣労働者)

 

令和2年4月1日より、派遣労働者についても、「均衡待遇規定」「均等待遇規定」が整備され、派遣先の労働者と間に不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

 

1、派遣労働者の待遇を決定する際の規定の整備

派遣労働者については、就業場所が派遣先であるため、派遣先の労働者との均等(=差別的な取扱いをしないこと)、均衡(=不合理な待遇差を禁止すること)が求められます。

そこで、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(いわゆる「労働者派遣法」)の改正により、派遣元事業主には、①派遣先均等・均衡方式又は②労使協定方式いずれかにより、派遣労働者の待遇を確保することが義務化されます。

 

2、「派遣先均等・均衡方式」の概要

 

(1)派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇

派遣元事業主は、①職務の内容並びに②職務の内容及び配置が派遣先と同じ派遣労働者については、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはなりません(均等待遇)。

また、派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、①職務の内容、②職務の内容及び配置の変更の範囲、③その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはなりません(均衡待遇)。

 

(2)職務の内容等を勘案した賃金の決定

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム)との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案して賃金を決定するように努めなければなりません。

ただし、職務の内容に密接に関連して支払われる賃金以外の賃金(例えば、通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当)は、この対象から除かれます。

 

3、労使協定方式の概要

 

派遣元事業主は、労働者の過半数で組織する労働組合(そのような労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者)との間で、その雇用する派遣労働者の待遇について所定の事項を定めた労使協定を書面で締結し、労使協定で定めた事項を遵守しているときは、この労使協定に基づき待遇が決定されることとなります。

ただし、労使協定が適切な内容で定められていない場合や労使協定で定めた事項を遵守していない場合には、労使協定方式は適用されず、派遣先均等・均衡方式が適用されます。

 

また、次の①及び②の待遇については、労使協定方式による場合であっても、労使協定の対象とはならないため、派遣元事業主は、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を確保する必要があります。

①派遣先が、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者に対して、業務の遂行に必要な能力を付与するために実施する教育訓練

②派遣先が、派遣先の労働者に対して利用の機会を与える給食施設、休憩室及び更衣室

 

4、派遣元事業主及び派遣先事業主の情報提供

 

(1)派遣元から関係者への待遇決定方式の情報提供

派遣元事業主は、派遣労働者の数、派遣先の数、いわゆるマージン率、教育訓練に関する事項等に加えて、次の事項に関し、関係者(派遣労働者、派遣先等)に情報提供をしなければなりません。

①労使協定を締結しているか否か

②労使協定を締結している場合には、労使協定の対象となる派遣労働者の範囲及び労使協定の有効期間の終期

①及び②の事項に関する情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することが原則です。

 

(2)派遣先から派遣元への比較対象労働者の待遇情報の提供

派遣先は、派遣元の待遇決定方式がいずれであるかにかかわらず、労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、派遣元事業主に対し、派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金等の待遇に関する情報を提供しなければなりません。

派遣元事業主は、派遣先から情報提供がないときは、派遣先との間で労働者派遣契約を締結してはいけません 。

 

5、派遣労働者の同一労働同一賃金の実現のために

 

派遣労働者については、派遣先の労働者との待遇の均等・均衡を求める場合であっても、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わり、その所得が不安定になることが想定されます。

派遣労働者の待遇改善に当たっては、職務の内容や職務に必要な能力等の内容を明確化し、派遣労働者を含む労使の話し合いによって、待遇の体系全体を確認することから始める必要があります。

また、派遣労働者については、雇用関係にある派遣元事業主と指揮命令関係にある派遣先とが存在するという特殊性がありますので、不合理と認められる待遇の相違の解消等に向けて、関係者が認識を共有することが大切です。

新型コロナウイルス感染症への対応を!

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が大きな懸念事項となっており、企業活動などにも影響が出始めています。

このようなときこそ、業務の合理化を図るとともに、労使で十分に話し合い、労働者が安心して働き、または、休みやすい環境を整備することが求められます。

 

1、感染防止に向けた取り組み

 

(1)テレワークの活用

テレワークは、本拠地のオフィスから離れた場所で、ICT(情報通信技術)を使って仕事をすることです。

テレワークの制度が整備されている企業では、その制度の範囲内でテレワークを実施することができます。

なお、テレワーク時にも労働基準関係法令が適用されますので、制度導入に当たっては、労働時間管理などを含めて、まずは就業規則などの規定を確認する必要があります。

 

(2)時差通勤やフレックスタイム制の活用

時差通勤とは、混雑緩和のため、ラッシュ時間帯の前後に通勤時間をずらすことです。

労働者及び使用者がその内容について十分な協議を行い、合意することによって、始業や終業の時刻を変更することができます。

一方、フレックスタイム制は、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ね、清算期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲内での労働を認める制度です。

フレックスタイム制の導入に当たっては、就業規則等の改定と労使協定の締結が必要です。

 

2、労働者の休業に関する取扱い

 

(1)事業の休止等により労働者を休ませる場合

新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合であっても、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当するときは、使用者は、休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければなりません。

 

(2)感染した労働者が休業する場合

新型コロナウイルスに感染し、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、使用者が休業手当を支払う必要はありません。

健康保険などの被用者保険に加入している労働者については、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。

 

(3)感染が疑われる労働者

感染が疑われる労働者を、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しますので、休業手当を支払う必要があります。

一方、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休業する場合は、通常の病欠と同様に取り扱い、年次有給休暇や、病気休暇などの特別休暇制度を活用することが考えられます。

 

(4)保育などを理由に休業する労働者

年次有給休暇その他の休暇制度の活用を含めて、労使で十分に話し合う必要があります。

場合によっては、テレワークでの対応なども検討し、柔軟に対応することが望まれます。

 

3、労働時間の関する取り扱い

 

(1)変形労働時間制の導入や変更

新型コロナウイルス感染症に関連して、人手不足のために労働時間が長くなる場合や、事業活動を縮小したために労働時間が短くなる場合については、1年単位の変形労働時間制を導入することが考えられます。

また、すでに1年単位の変形労働時間制を採用している事業場において、新型コロナウイルス感染症への対策による影響により、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業経営上著しく不適当と認められる場合には、特例的に、1年単位の変形労働時間制の労使協定を労使で合意解約をすることや、破棄条項に従って解約し、改めて協定し直すことも可能でしょう。

 

(2)特別条項付き36協定

新型コロナウイルス感染症に関連して、休む労働者が増え、残りの労働者が多く働くこととなった場合には、特別条項付き36協定を活用することが考えられます。

すでに特別条項付き36協定を締結している事業場においては、この場合も、一般的には、特別条項の理由として認められるものとされています。

現在、特別条項を締結していない事業場においても、法定の手続きを踏まえて労使の合意を行うことにより、特別条項付きの36協定を締結することが可能です。

 

4、助成金など

 

①新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した企業に雇用を維持してもらうため、雇用調整助成金の特例が実施され、その対象が拡大されています。

 

②新型コロナウイルスの感染防止のために要請された小中高校などの臨時休校に伴い、休業する保護者の所得減少に対応する新たな助成金制度が創設されます。

 

③経済産業省においても、経営相談窓口の開設、資金繰り支援(貸付・保証)、新型コロナウイルス対策補助事業、経営環境の整備(下請取引配慮要請、現地進出企業・現地情報及びジェトロ相談窓口、輸出入手続きの緩和等)等の施策がとられています。

働き方改革~不合理な待遇差の禁止(短時間労働者・有期雇用労働者)

 

令和2年4月1日(中小事業にあっては令和3年4月1日)より、同一企業内において、正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止され、短時間労働者及び有期雇用労働者についても、「均衡待遇規定」均等待遇規定」が整備されます。

 

1、短時間労働者(パートタイム労働者)、有期雇用労働者と通常の労働者

 

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆる「パートタイム労働法」)が、短時間労働者だけでなく、有期雇用労働者をも法の対象として、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」)に改称されます。

「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいいます。

「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいいます。

一方、「通常の労働者」とは、社会通念に従い、比較の時点で当該事業主において「通常」と判断される労働者をいい、具体的には、いわゆる正規型の労働者及び事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているフルタイム労働者(無期雇用フルタイム労働者)が該当します。

 

2、「均衡待遇規定」について

 

(1)「均衡待遇規定」の内容(不合理な待遇差の禁止)

事業主が、その雇用する短時間労働者及び有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、不合理と認められる相違を設けることが禁止されます。

均衡待遇規定は従来から、短時間労働者についてはパートタイム労働法に、有期雇用労働者については労働契約法に設けられていましたが、今回の改正により、パートタイム・有期雇用労働法に統合され、明確化が図られます。

 

(2)待遇差が不合理と認められるか否かの判断

「待遇」には、基本的に、すべての賃金(基本給、賞与、役職手当、食事手当など)、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等のすべての待遇が含まれますが、短時間労働者及び有期雇用労働者を定義づけるものである労働時間及び労働契約の期間については、ここにいう「待遇」に含まれません。

また、不合理性の判断の対象となるのは、待遇の「相違」 であり、この待遇の相違は、「短時間・有期雇用労働者であることに 関連して生じた待遇の相違」を指します。

 

短時間労働者及び有期雇用労働者と通常の労働者の待遇の相違の不合理性を判断する際の考慮要素としては、

①職務の内容(業務内容及び責任の程度)

②職務の内容及び配置の変更の範囲(有無を含む。)

③その他の事情((職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合との間の交渉といった労使交渉の経緯等)

が挙げられています。

不合理と認められるかどうかは、これらの考慮要素のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、判断します。

 

3、「均等待遇規定」について

 

(1)「均等待遇規定」の内容(差別的取扱いの禁止)

事業主が、通常の労働者と同視すべき短時間労働者及び有期雇用労働者について、短時間労働者及び有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをすることが禁止されます。

均等待遇規定が適用される場合には、すべての賃金、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等のすべての待遇(労働時間及び労働契約の期間を除く。)についての差別的取扱いが禁止されます。

均等待遇規定は従来、短時間労働者のみを対象としていましたが、今回の改正により、有期雇用労働者もその対象となります。

 

(2)「通常の労働者と同視すべき短時間労働者及び有期雇用労働者」

均等待遇規定の対象は、通常の労働者と同視すべき短時間労働者及び有期雇用労働者です。

「通常の労働者と同視すべき短時間労働者及び有期雇用労働者」とは、次のいずれにも該当する短時間労働者及び有期雇用労働者をいいます。

①職務の内容が通常の労働者と同一であること。

②当該事業所における慣行その他の事情からみて、職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)が、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、通常の労働者と同一である見込まれること。

 

4、まずは短時間労働者や有期雇用労働者の待遇の洗い出しを!

 

同一企業内に短時間労働者や有期雇用労働者がいる場合には、今回の改正に向けて、まず、それらの者の待遇がどのようなものとなっているかを洗い出してみることが不可欠です。

そのうえで、個々の待遇が正社員と同一か否か、異なる場合には、それを「不合理ではない」と説明できるか否かを確認してください。

もし待遇差が「不合理ではない」と言いがたい場合には、待遇の改善に向けた就業規則や賃金規程等の見直しも検討しなければなりませんので、早めに、十分な対応を!