多田労務管理事務所 西新宿の社労士事務所

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活動

テレワークに要する費用の取扱い等について

 

テレワークの活用が求められる昨今ですが、いざ制度として導入するとなると、

対象業務や対象労働者の範囲から労働時間の管理、人事評価、安全衛生に至るまで、様々な面で、

労務管理上の問題が生じます。費用負担の問題も、その一つです。

 

1、テレワークに要する費用負担の取扱い

 

(1)労使での十分な話し合いと就業規則の変更

テレワークに要する費用負担については、テレワークを導入する前に、労使で十分に話し合い、

明確なルールをつくることが重要です。

また、労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合には、

これに関する事項を就業規則に定めなければなりませんので、就業規則の変更も必要となります。

 

(2)テレワークの導入よって発生しうる費用とその取扱い例

①情報通信機器の費用

パソコン本体や周辺機器、携帯電話、スマートフォンなどについては、会社から貸与し、

基本的には全額会社負担としているところが多いようです。

②通信回線費用

特に在宅勤務において発生する自宅内のブロードバンド回線の工事費については、

その負担を個人負担としている例も見られますが、会社が負担するケースもあります。

ブロードバンド回線の基本料金や通信回線使用料については、個人使用と業務使用との切り分けが

困難なため、一定額を会社負担としている例が多いようです。

③文具、備品、宅配便等の費用

文具消耗品については会社が購入した文具消耗品を使用することが多いようです。

切手や宅配メール便など事前に配布できるものは労働者に渡しておき、会社宛の宅配便は着払いに

することなどで対応することができます。

やむを得ず労働者が文具消耗品の購入や宅配メール便の料金を一時立て替えることも考えられます

ので、この際の精算方法等もルール化しておくことが必要です。

④水道光熱費

自宅の電気、水道などの光熱費も実際には負担が生じますが、業務使用分との切り分けが

困難なため、在宅勤務手当などに含めて支払っている企業も見受けられます

 

2、社会保険料等の算定における在宅勤務時の交通費や在宅勤務手当の取扱い

 

法律上、労働者が労働の対償として受けるものは、その名称を問わず、

すべて社会保険料・労働保険料等の算定基礎となる「報酬等」や「賃金」に該当します。

一方、事業主が負担すべきものを労働者が立て替え、その実費弁償として受けるものは、

これに該当しません。

 

(1)テレワーク対象者が一時的に出社する際に要する交通費(実費)

①当該労働日の労務提供地が自宅とされており、業務命令により企業等に一時的に出社し、

その移動にかかる実費を企業が負担する場合は、当該費用は原則として実費弁償と認められ、

社会保険料・労働保険料等の算定基礎となる報酬等・賃金には含まれません。

②当該労働日の労務提供地が企業とされており、自宅から当該企業に出社するために要した費用を

企業が負担する場合は、当該費用は、原則として通勤手当として報酬等・賃金に含まれるため、

社会保険料・労働保険料等の算定基礎に含まれます。

 

(2)在宅勤務手当について

①在宅勤務手当が、労働者が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、

その金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が労働者に対して毎月5,000 円を

渡し切りで支給するもの)であれば、社会保険料・労働保険料等の算定基礎となる報酬等・賃金に

含まれます。

②在宅勤務手当が、テレワークを実施するに当たり、業務に使用するパソコンの購入や通信に

要する費用を企業がテレワーク対象者に支払うようなものの場合であって、業務遂行に必要な費用に

かかる実費分に対応するものと認められるのであれば、社会保険料・労働保険料等の算定基礎となる

報酬等・賃金に含まれません。

 

3、在宅勤務手当が支給されることとなった場合の随時改定の取扱い

 

在宅勤務・テレワークの導入に伴い、新たに実費弁償に当たらない在宅勤務手当が支払われる

こととなった場合は、固定的賃金の変動に該当し、随時改定の対象となります。

交通費の支給がなくなった月に新たに実費弁償に当たらない在宅勤務手当が支給される等、

同時に複数の固定的賃金の増減要因が発生した場合において、それらの影響によって

固定的賃金の総額が増額するのか減額するのかを確認し、増額改定・減額改定の

いずれの対象となるかを判断することとなります。

 

なお、新たに変動的な在宅勤務手当の創設と変動的な手当の廃止が同時に発生した場合等において、

創設・廃止される手当額の増減と報酬額の増減の関連が明確に確認できないときは、

3か月の平均報酬月額が増額した場合・減額した場合のどちらも随時改定の対象となります。

また、一つの手当において、実費弁償分であることが明確にされている部分とそれ以外の部分が

ある場合においては、実費弁償分は「報酬等」に含める必要はなく、それ以外の部分は「報酬等」に

含めます。この場合において、月々の実費弁償分の算定に伴い実費弁償以外の部分の金額に

変動があったとしても、固定的賃金の変動に該当しないことから、随時改定の対象とはなりません。

不合理な待遇差の解消に向けて~パートタイム・有期雇用労働法

 

「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」

(通称:短時間・有期雇用労働法)が、2021(令和3)年4月1日から、大企業のみならず、

中小企業にも適用されることとなりました。

 

1、短時間・有期雇用労働法の改正の概要

 

(1)不合理な待遇差の禁止

同一企業内における正社員と非正規社員(短時間労働者、有期雇用労働者)との間で、

基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されました。

(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

非正規社員は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることが

できるようになりました。

事業主は、非正規社員から求めがあった場合には、これを説明しなければなりません。

(3)行政による事業主への助言指導等や裁判外紛争解決手続の整備

「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明に関する事項も、

都道府県労働局における紛争解決手続(行政ADR)の対象となりました。

 

2、不合理な待遇差の禁止について

 

(1)均衡待遇規定

事業主は、雇用する非正規社員の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、

当該待遇に対応する正社員の待遇との間において、不合理と認められる相違を設けてはなりません。

待遇の相違が不合理と認められるか否かの判断は、個々の待遇ごとに、

職務の内容(業務の内容及びそれに伴う責任の程度)

当該職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)

その他の事情(職務の成果、能力、経験、労使交渉の経緯など)のうち、

当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して行います。

(2)均等待遇規定

事業主は、正社員と同視すべき非正規社員については、非正規社員であることを理由として、

基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはなりません。

この均等待遇規定は、職務の内容が正社員と同一の非正規社員であって、

当該事業所における慣行その他の事情からみて、人材活用の仕組み、運用等が、

当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、正社員と同一であるものに適用されます。

 

3、不合理でない待遇差とは?~「同一労働同一賃金ガイドライン」より

 

正社員と非正規社員との間に待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、

いかなる待遇差が不合理なものでないのかについては、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に

対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(同一労働同一賃金ガイドライン)において、

(1)基本給、(2)賞与、(3)手当、(4)福利厚生、(5)その他に関し、その原則となる考え方や具体例が

示されています。

以下では、その内容を少し抜粋してご紹介しますが、ガイドラインに掲げられていない待遇については、

各社の労使で個別具体の事情に応じて議論していくことが望まれます。

(1)基本給

労働者の「①能力又は経験に応じて」、「②業績又は成果に応じて」、「③勤続年数に応じて」

支給する場合は、①②③に応じた部分について、同一であれば同一の支給が、

一定の違いがある場合には、その相違に応じた支給が求められます。

定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者についても、短時間・有期雇用労働法が

適用されますので、実際に通常の労働者との間に職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲

その他の事情に相違があるときは、その相違に応じた賃金の相違が許容されます。

(2)賞与

会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給する賞与については、正社員と同一の貢献が

あるときは貢献に応じた部分につき正社員と同一の賞与を、貢献に一定の相違があるときは

その相違に応じた賞与を、それぞれ非正規社員にも支給しなければなりません。

例えば、会社の業績等への労働者の貢献に応じて賞与を支給している会社において、

正社員には職務の内容や会社の業績等への貢献等にかかわらず全員に何らかの賞与を支給し、

非正規社員には支給しない場合には、不合理な待遇差と判断される可能性があります。

(3)手当

①役職手当等……労働者の役職の内容に対して支給する役職手当等については、

正社員と同一の役職に就く非正規社員には同一の支給を、役職の内容等に一定の違いがある

非正規社員には、その相違に応じた支給をしなければなりません。

②時間外手当等……正社員と同一の時間外、休日、深夜労働を行った非正規社員には、

同一の割増率等での支給をしなければなりません。

③通勤手当等……非正規社員にも正規雇用労働者と同一の支給をしなければなりません。

(4)福利厚生

①福利厚生施設(給食施設、休憩室及び更衣室)……正社員と同一の事業所で働く非正規社員には、

正社員と同一の複利厚生施設の利用を認めなければなりません。

②病気休職……短時間労働者(有期雇用労働者である場合を除く。)には、正社員と同一の

病気休職の取得を、有期雇用労働者には労働契約が終了するまでの期間を踏まえた取得を

認めなければなりません。

(5)その他

現在の職務の遂行に必要な技能又は知識を習得するために実施する教育訓練については、

正社員と職務の内容が同一であるときは正社員と同一の教育訓練を、職務の内容に一定の相違が

あるときは、その相違に応じた教育訓練を実施しなければなりません。

高年齢者雇用安定法が改正されました!~70歳までの就業機会確保~

 

働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮し、活躍することができる環境を整備するため、

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(通称:高年齢者雇用安定法)が改正され、

65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置に関する努力義務が新設されました。

 

1、改正の概要(令和3月4月1日施行

 

高年齢者雇用安定法に基づき、事業主は、65歳までの雇用機会を確保するため、

高年齢者雇用確保措置(65歳まで定年引上げ、65歳までの継続雇用制度の導入、定年廃止)の

いずれかを講じなければなりません(義務)。

今回の改正により、これに加えて、事業主は、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、

高年齢者就業確保措置として、次の①~⑤のいずれかの措置を講ずるよう努めなければならない

こととなりました。

①70歳までの定年引上げ

②70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

③定年廃止

④高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

⑤高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に次の事業に従事できる制度の導入

a.事業主が自ら実施する社会貢献事業

b.事業主が委託、出資(資金提供)等をする団体が行う社会貢献事業

高年齢者就業確保措置は努力義務ですから、定年の引上げ及び定年廃止によりこの措置を講じる場合を除き、

対象者を限定する基準を設けることができます。

ただし、基準を設ける場合には、事業主と過半数労働組合等との間で十分に協議したうえで、

過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいこととされています。

また、労使間での十分な協議のうえで設けられた基準であっても、事業主が恣意的に高年齢者を

排除しようとするなど法の趣旨や、他の労働関係法令・公序良俗に反するものは認められません。

 

2、70歳までの継続雇用制度について

 

継続雇用制度は、60歳以上65歳未満の労働者が対象の場合には、自社又は特殊関係事業主で

継続雇用をする制度に限られていましたが、65歳以降の労働者が対象の場合には、これらに加え、

特殊関係事業主以外の他社で継続雇用をする制度も可能となります。

自社以外で継続雇用をする場合は、特殊関係事業主等との間で、特殊関係事業主等が高年齢者を

継続して雇用することを約する契約を締結する必要があります。

 

3、創業支援等措置について

 

(1)「創業支援等措置」とは?

70歳までの就業確保措置のうち、雇用によらない次の措置をいいます。

・70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入(前記1の④)

・70歳まで継続的に事業主が自ら実施する社会貢献事業又は事業主が委託、出資(資金提供)等を

する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入(前記1の⑤)

なお、「社会貢献事業」とは、不特定かつ多数の者の利益に資することを目的とした事業をいいますが、

特定の事業がこれに該当するかどうかは、事業の性質や内容等を勘案して個別に判断されます。

 

(2)創業支援等措置を実施する場合の手続き

①計画の作成

所定の事項(創業支援等措置を講ずる理由、高年齢者が従事する業務の内容に関する事項、

高年齢者に支払う金銭に関する事項など)を記載した計画を作成します。

計画の作成に際しては、例えば、高年齢者のニーズを踏まえるとともに、高年齢者の知識・経験・能力等を

考慮した上で業務の内容を決定し、契約内容の一方的な決定や不当な契約条件の押しつけに

ならないようにするなど、一定の事項に留意する必要があります。

②過半数労働組合等の同意

作成した計画について、過半数労働組合等の同意を得なければなりません。

なお、創業支援等措置と雇用による措置(前記1①~③)の両方を講じる場合は、雇用の措置により

努力義務を達成したことにはなりますが、この場合であっても、創業支援等措置に関して

過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいものとされています。

 

③計画の周知

過半数労働組合等の同意を得た計画を、次のいずれかの方法により労働者に周知します。

・常時当該事業所の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

・書面を労働者に交付すること。

・磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、当該事業所に労働者が

当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

 

④創業支援等措置の実施のために必要な契約の締結

高年齢者の就業先となる団体が別にある場合は、その団体との間で、その団体が高年齢者に対し

社会貢献活動に従事する機会を提供することを約する契約を締結する必要があります。

また、制度導入後には、個々の高年齢者との間で、業務委託契約や社会貢献活動に従事する契約を

締結する必要があります。

障害者の法定雇用率が引き上げられました!

 

障害者の雇用の促進等に関する法律(通称:障害者雇用促進法)により、すべての事業主には、

法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります(障害者雇用率制度)。

この障害者雇用率制度に係る法定雇用率が、令和3年3月1日から引き上げられます。

 

1、障害者雇用促進法の改正(令和3年3月1日施行)

 

(1)障害者の法定雇用率の引き上げ

令和3年3月1日以降の法定雇用率は、民間企業が2.3%(←2.2%)、国、地方公共団体等が2.6%(←2.5%)、

都道府県等の教育委員会が2.5%(←2.4%)となります。

 

(2)障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲の拡大

障害者の法定雇用率の引き上げに伴い、1人以上の障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が、

従業員43.5人以上(←45.5人以上)に拡大されます。

この範囲の事業主には、次の義務もありますので、これまで対象となっていなかった

従業員43.5人以上45.5人未満の事業主の皆様は注意してください。

①毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告すること。

②障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努めること。

 

(3)障害者雇用納付金制度の取り扱い

障害者雇用納付金制度は、障害者雇用に関する事業主間の経済的負担の調整を図ることにより、

障害者の雇用の促進と職業の安定を図るための制度です。

現在、常用労働者の総数が100人を超える事業主について、法定雇用率未達成の場合に納付金を徴収し、

この納付金を財源として障害者雇用調整金等が支給されます。

①令和2年度分(申告期間:令和3年4月1日から同年5月15日までの間)については、

令和3年2月以前は改正前の法定雇用率(2.2%)、令和3年3月のみ改正後の法定雇用率(2.3%)で

算定します。

②令和3年度分(申告期間:令和4年4月1日から同年5月15日までの間)については、

新しい法定雇用率(2.3%)で算定します。

 

2、障害者雇用の現状~厚生労働省「令和2年障害者雇用状況の集計結果」より

 

(1)雇用されている障害者の数、実雇用率、法定雇用率達成企業の割合

・民間企業(45.5人以上規模の企業:法定雇用率2.2%)に雇用されている障害者の数は578,292.0人で、

17年連続で過去最高となりました。

・雇用者のうち身体障害者は356,069.0人、知的障害者は134,207.0人、精神障害者は88,016.0人となり、

いずれも前年より増加し、特に精神障害者の伸び率が大きいです。

実雇用率は、9年連続で過去最高の2.15%、法定雇用率達成企業の割合は48.6%でした。

 

(2)企業規模別の状況

・企業規模別にみると、雇用されている障害者の数は、45.5~100人未満規模企業で58,350.0人、

100~300人未満で113,199.0人、300~500人未満で50,824.5人、500~1,000人未満で66,588.0人、

1,000人以上で289,330.5人となり、すべての企業規模で前年より増加しました。

・実雇用率は、45.5~100人未満で1.74%、100~300人未満で1.99%、300~500人未満で2.02%、

500~1,000人未満で2.15%、1,000人以上で2.36%となりました。

法定雇用率達成企業の割合は、45.5~100人未満が45.9%、100~300人未満が52.4%、

300~500人未満が44.1%、500~1,000人未満が46.7%、1,000人以上が60.0%となり、

すべての規模の区分で前年より増加しました。

 

(3) 産業別の状況

・産業別にみると、雇用されている障害者の数は、「農,林,漁業」「宿泊業,飲食サービス業」

「生活関連サービス業,娯楽業」以外のすべての業種で前年よりも増加しました。

・産業別の実雇用率では、「医療,福祉」(2.78%)、「農,林,漁業」(2.33%)、

「生活関連サービス業,娯楽業」(2.33%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2.31%)、

「運輸業,郵便業」(2.23%)が法定雇用率を上回っています。

 

(4)法定雇用率未達成企業の状況

・令和2年の法定雇用率未達成企業は52,742社です。そのうち、不足数が0.5人または1人である

企業(1人不足企業)が、65.6%と過半数を占めています。

・障害者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)は30,542社であり、未達成企業に占める割合は

57.9%となっています。

 

3、障害者にも働きやすい職場づくり

 

障害者雇用率制度は、障害に関係なく、希望や能力に応じて、だれもが職業を通じた社会参加の

できる「共生社会」実現の理念に基づく制度です。

障害者雇用は年々、進展していますが、法定雇用率未達成企業も一定数、存在しています。

障害者雇用に対する社会的な関心を喚起し、先進的な取り組みを進めている事業主が社会的な

メリットを受けることができるよう、障害者雇用に関して優良な取り組みを行う中小事業主に

対する認定制度も、令和2年4月1日に創設されました。

ハローワークなどには、障害者雇用のための各種助成金や職場定着に向けた人的支援など、

様々な支援制度も用意されていますので、だれもが働きやすい環境を目指して、これを機に今一度、

職場環境を見直したいところです。

66歳以上働ける制度のある企業は約3分の1~「高年齢者の雇用状況」の集計結果より

 

先日、厚生労働省より、令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果が公表されました。

令和3年4月1日施行の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(通称:高年齢者雇用安定法)の改正により、

65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置を講ずることについて、事業主に努力義務が課せられます。

その内容は改めてご紹介することとして、まずは高年齢者雇用の現状を見てみましょう。

 

1、高年齢者の雇用状況の報告

 

高年齢者雇用安定法では、事業主に、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めており、

令和2年の集計結果においては、この報告した従業員31人以上の企業164,151社の状況が

まとめられています。

なお、この集計おいては、従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。

 

2、65歳までの高年齢者雇用確保措置のある企業の状況

 

(1)高年齢者雇用確保措置の実施状況

高年齢者雇用安定法に基づき、定年を65歳未満に定めている事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの

安定した雇用を確保するため、 ①定年制の廃止、②定年の引上げ、③継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)

の導入いずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければなりません。

高年齢者雇用確保措置の実施済企業は164,033社(99.9%)、51人以上規模の企業で107,364 社(99.9%)、

未実施の企業は118社(0.1%)、51人以上規模企業で28 社(0.1%)となっています。

 

高年齢者雇用確保措置を実施済の企業の割合を企業規模別に見ると、大企業では17,069社(99.9%)、

中小企業では146,964社(99.9%)となっています。

また、高年齢者雇用確保措置を実施済の企業では、定年制度(「定年制の廃止」(4,468社、 2.7%)

又は「定年の引上げ」(34,213社、20.9%))よりも、継続雇用制度(125,352社、76.4%)により

高年齢者雇用確保措置を講じる企業の比率が高くなっています。

 

(2)60歳定年到達者の動向

過去1年間(令和元年6月1日から令和2年5月31日)の60歳定年企業における定年到達者(363,027人)のうち、

継続雇用された者は310,267人(85.5%)、継続雇用を希望しない定年退職者は52,180人(14.4%)、

継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者は 580人(0.2%)となっています。

 

(3)65歳定年企業の状況

定年を65歳とする企業は30,250社、報告した全ての企業に占める割合は18.4%となっています。

企業規模別では、中小企業が28,218 社(19.2%)、大企業が2,032社(11.9%)です。

 

3、66歳以上働ける企業の状況

 

(1)66歳以上働ける制度のある企業の状況

66歳以上働ける制度のある企業は54,802社、報告した全ての企業に占める割合は33.4%となっています。

企業規模別では、中小企業が49,985社(34.0%)、大企業では4,817社(28.2%)です。

 

(2)70歳以上働ける制度のある企業の状況

70歳以上働ける制度のある企業は51,633 社、報告した全ての企業に占める割合は31.5%となっています。

企業規模別では、中小企業が47,172社(32.1%)、大企業が4,461社(26.1%)です。

 

(3)希望者全員が66歳以上働ける企業の状況

希望者全員が66歳以上まで働ける企業は20,798社、報告した全ての企業に占める割合は 12.7%となっています。

企業規模では、中小企業が19,984社(13.6%)、大企業が814社(4.8%)です。

 

(4)定年制廃止および66歳以上定年企業の状況

①定年制を廃止している企業は4,468社、報告した全ての企業に占める割合は2.7%となっています。

企業規模別では、中小企業が4,370社(3.0%)、大企業が98社(0.6%)です。

②定年を66~69歳とする企業は1,565社、報告した全ての企業に占める割合は1.0%となっています。

企業規模別では、中小企業が1,532社(1.0%)、大企業が33社(0.2%)です。

③定年を70歳以上とする企業は2,398社、報告した全ての企業に占める割合は1.5%となっています。

企業規模別では、中小企業が2,323社(1.6%)、大企業が75社(0.4%)です。

 

4、進む生涯現役社会の実現に向けた取り組み

 

人生百年時代ともいわれる昨今、高年齢者の労働参加も進んでいることが分かります。

内閣府「高齢者の経済生活に関する調査」(令和元年度)によれば、現在仕事をしている60歳以上の方の

約9割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえます。

働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、多様な雇用・就業機会の確保について、

企業でも様々な取り組みを模索する時期に来ているといえますね。

子の看護休暇及び介護休暇の活用を!

 

令和3年1月1日施行の育児・介護休業法施行規則の改正により、日々雇用される者を除き、

原則として、すべての労働者が、子の看護休暇及び介護休暇を時間単位で取得することが

できるようになりました。

子の看護休暇及び介護休暇は、あらかじめ制度が導入され、就業規則などに記載されるべきもの

ですから、必要に応じて就業規則などの変更も必要となります。

 

1、子の看護休暇及び介護休暇とは?

 

(1)子の看護休暇

小学校就学前の子を養育する労働者は、事業主に申し出ることにより、1年度において5日

(その養育する小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合にあっては、10日)を

限度として、子の看護休暇を取得することができます。

子の看護休暇は、負傷し、又は疾病にかかった子の世話又は疾病の予防を図るために必要な世話を

行う労働者に対し与えられる休暇であり、労働基準法の規定による年次有給休暇とは別に

与える必要があります。

子どもが病気やけがの際に休暇を取得しやすくし、子育てをしながら働き続けることができるように

するための権利として位置づけられています。

「疾病の予防を図るために必要な世話」とは、子に予防接種又は健康診断を受けさせることをいい、

予防接種には、予防接種法に定める定期の予防接種以外のもの(インフルエンザ予防接種など)も含まれます。

 

(2)介護休暇

要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者は、事業主に申し出ることにより、

1年度において5日(その介護、世話をする対象家族が2人以上の場合にあっては、10日)を

限度として、介護休暇を取得することができます。

介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話を行う労働者に対し与えられる休暇であり、

労働基準法の規定による年次有給休暇とは別に与える必要があります。

要介護状態にある家族の介護や世話のための休暇を取得しやすくし、介護をしながら働き続けることが

できるようにするための権利として位置づけられています。

 

2、子の看護休暇や介護休暇を取得することができない者

 

次のような労働者について子の看護休暇又は介護休暇を取得することができないこととする労使協定が

あるときは、事業主は子の看護休暇又は介護休暇の申出を拒むことができ、拒まれた労働者は

子の看護休暇又は介護休暇を取得することができません。

①その事業主に継続して雇用された期間が6か月に満たない労働者

②1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

③時間単位で子の看護休暇又は介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者

(ただし、この者も1日単位で子の看護休暇又は介護休暇を取得することはできます。)

 

上記③の「時間単位で取得することが困難と認められる業務に従事する労働者」の範囲は、

労使で十分な話し合いを行って定める必要があります。

また、上記③に該当することとなった労働者であっても、半日単位での休暇であれば取得することが

できるものについては、半日単位での休暇取得を認めるなど制度の弾力的な利用が可能となるように

配慮してください。

 

なお、これまでは、子の看護休暇又は介護休暇の半日単位での取得ができない

「1日の所定労働時間が短い労働者」として、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者が

定められていましたが、今回の改正により、この規定が削除されました。

したがって、労働者は、1日の所定労働時間数にかかわらず、子の看護休暇又は介護休暇を時間単位で

取得することができます。

 

3、取得単位

 

今回の改正により、子の看護休暇又は介護休暇は、1日単位又は時間単位で取得することが

できるようになりました。

 

時間単位で取得する場合の「時間」は、1日の所定労働時間数に満たない範囲とします。

休暇を取得する日の所定労働時間数と同じ時間数を取得する場合は、1日単位での取得として

取り扱います。また、「時間」とは、1時間の整数倍の時間をいい、労働者からの申し出に応じ、

労働者の希望する時間数で取得できるようにする必要があります。

 

時間単位で取得する子の看護休暇又は介護休暇の1日分の時間数は、1日の所定労働時間数とし、

1時間に満たない端数がある場合は、端数を切り上げます。

例えば、1日の所定労働時間数が7時間30分の場合は8時間分の休暇で1日分となります。

日によって所定労働時間数が異なる場合の1日の所定労働時間数の定め方は、

1年間における1日の平均所定労働時間数とします。

なお、法令で求められているのは、いわゆる「中抜け」なしの時間単位休暇ですが、

法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認めるような配慮が求められます。

また、すでに「中抜け」ありの休暇を導入している企業が、「中抜け」なしの休暇とすることは、

労働者にとって不利益な労働条件の変更になります。

パワーハラスメント対策は事業主の義務です!

 

令和2年6月1日施行の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(通称:労働施策総合推進法)の改正により、職場におけるパワーハラスメントについて雇用管理上の措置を講ずることが事業主に義務づけられました(中小事業主については、令和4年3月31日 までは努力義務)。

 

1、職場におけるパワーハラスメントとは?

 

(1)定義

職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素をすべて満たすものをいいます。

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

 

(2)「優越的な関係を背景とした」言動

当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が当該言動の行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。例えば、職務上の地位が上位の者による言動は、これに該当します。

 

(3)「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動

社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。例えば、業務上明らかに必要性のない言動や業務の目的を大きく逸脱した言動は、これに該当します。

この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性等)を総合的に考慮することが適当とされています。

 

(4)「労働者の就業環境が害される」こと

当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。

この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当とされています。

 

(5)類型

職場におけるパワーハラスメントの代表的な類型としては、次のものがあります。

①身体的な攻撃(暴行・傷害)

②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)

③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)

⑤過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 

2、事業主及び労働者の責務

 

(1)事業主の責務

・事業主は、職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるパワーハラスメントに起因する問題(パワーハラスメント問題)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければなりません。

・事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければなりません。

(2)労働者の責務

労働者は、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、職場におけるパワーハラスメントについて事業主の講ずる措置に協力するように努めなければなりません。

 

3、職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置

 

事業主は、以下の措置を必ず講じなければなりません。

①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

②相談(苦情を含む。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

③職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

④上記①~③と併せて講ずべき措置

 

なお、事業主は、労働者が職場におけるパワーハラスメントについて相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

副業・兼業に関心はありますか?~「副業・兼業の促進に関するガイドライン」より

1、副業・兼業の現状

多様な働き方が模索される中、副業・兼業を希望する労働者も増加傾向にあるようですが、労働者の副業・兼業を認めている企業はまだ多くはありません。

 

裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、①労務提供上の支障となる場合、②企業秘密が漏洩する場合、③企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、④競業により企業の利益を害する場合と考えられる旨を示しています。

また、厚生労働省が平成30年1月に改定したモデル就業規則においては、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」としています。

 

政府も副業・兼業の普及促進を図っていますが、一方では、副業・兼業により労働者の長時間労働につながることも懸念されるため、副業・兼業の場合における労働時間管理や健康管理等について、ガイドラインを示しています。

以下では、このガイドラインの概要を、かいつまんで取り上げます。

 

2、企業に求められる対応

(1)基本的な考え方

副業・兼業を進めるに当たっては、労働者と企業の双方が納得感を持って進めることができるよう、企業と労働者との間で十分にコミュニケーションをとることが重要です。

副業・兼業を認める場合には、就業規則において、原則として労働者は副業・兼業を行うことができること、例外的に、①安全配慮義務、②秘密保持義務、③競業避止義務、④誠実義務に支障がある場合には、副業・兼業を禁止又は制限できることとしておくことが考えられます。

 

(2)労働時間管理について

労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合には、労働基準法38条1項に基づき、労働時間を通算して管理することが必要です。

①労働時間の通算が必要となる場合

労働者が事業主を異にする複数の事業場において、「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合には、労働時間が通算されます。

この場合には、法定労働時間、上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)の適用にあたっては、労働時間を通算することとなります。

一方、事業主、委任、請負など労働時間規制が適用されない場合には、その時間は通算されません。

 

②副業・兼業の確認

使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認します。副業・兼業に伴う労務管理を適切に行うためには、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましいものとされています。

 

③労働時間の通算

副業・兼業を行う労働者を使用するすべての使用者は、労働時間を通算して管理しなければなりません。労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社の労働時間を通算することによって行います。

 

④時間外労働の割増賃金の取扱い

副業・兼業の開始前に、自社の所定労働時間と他社の所定労働時間を通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分は後から契約した会社の時間外労働となります。

副業・兼業の開始後に、所定労働時間の通算に加えて、自社の所定外労働時間と他社の所定外労働時間を、所定外労働が行われる順に通算して、法定労働時間を超える部分がある場合には、その部分が時間外労働となります。

使用者は、これらによって時間外労働となる部分のうち、自社で労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を支払う必要があります。

 

なお、労働時間管理は、労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続上の負担を軽減し、労働基準法が遵守されやすくなる簡便な労働時間管理の方法(管理モデル)により行うことができます。

 

(3)健康管理

使用者は、労働安全衛生法に基づき、健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックやこれらの結果に基づく事後措置等を実施しなければなりません。

また、健康確保の観点からも、他の事業場における労働時間と通算して適用される労働基準法の時間外労働の上限規制を遵守すること等が求められます。

 

3、労働者に求められる対応

労働者は、自社の副業・兼業に関するルールを確認し、そのルールに照らして、業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要があります。

また、労働者は、副業・兼業による過労によって健康を害したり、業務に支障を来したりすることがないよう、自ら業務量や進捗状況、時間や健康状態を管理しなければなりません。

基本手当の支給に係る取扱いが一部変更されました!

 

失業し、所定の要件を満たす労働者には、雇用保険から基本手当が支給されます。

雇用保険法等の改正により、この基本手当の支給に関する取扱いが一部、変更されました。

 

1、改正の概要

 

(1)被保険者期間の算定方法の変更

勤務日数が少ない者でも適切に雇用保険の給付を受けられるよう、被保険者期間の算定に当たり、これまでの日数による基準に加え、労働時間による基準が補完的に設定されました。

 

(2)離職理由による給付制限期間の短縮

正当な理由がない自己の都合により離職した場合の給付制限期間が、2か月に短縮されました。

 

2、被保険者期間の算定方法の変更(令和2年8月1日施行)

 

(1)基本手当の支給要件

基本手当の支給を受けるためには、原則として、離職をした日以前の2年間に、「被保険者期間」が通算して12か月以上あること(特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あることでも可)が必要です。

 

(2)被保険者期間の計算

被保険者として雇用された期間を、資格の喪失の日の前日からさかのぼって1か月ごとに区切っていき、この区切られた1か月の期間に賃金の支払い基礎となった日数(賃金支払基礎日数)が11日以上ある場合に、その1か月の期間を被保険者期間の1か月として計算します。

また、このように区切ることにより1か月未満の期間が生ずることがありますが、その1か月未満の期間の日数が15日以上あり、かつ、その期間内に賃金支払基礎日数が11日以上ある場合に、その期間を被保険者期間の2分の1か月として計算します。

 

(3)労働時間による基準

前記(2)の被保険者期間の算定方法では、雇用保険の被保険者となる要件(1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、31日以上雇用される見込みがあること)を満たしながらも、賃金支払基礎日数が11日に満たないことにより、被保険者期間に算入されない期間が生ずることがあるため、新たに労働時間による基準が追加されました。

 

離職日以前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が12か月に満たない場合は、前記(2)と同様に、資格の喪失の日の前日からさかのぼって1か月ごと区切られた各期間のうち、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上であるものを1か月(1か月未満15日以上の期間にあっては、2分の1か月)として計算します。

 

(4)留意点その他

・労働時間による基準は、離職日が令和2年8月1日以降である場合に適用されます。

・離職日が令和2年8月1日以降の労働者に関して「離職証明書」を作成する際は、賃金支払基礎日数が10日以下の期間については、所定の欄に、当該期間における賃金の支払いの基礎となった労働時間数を記載する必要があります。

・高年齢求職者給付金または特例一時金の支給に係る被保険者期間や、介護休業給付金または育児休業給付金の支給に係るみなし被保険者期間の計算についても、同様に、労働時間による基準が適用されます。

 

3、離職理由による給付制限期間の短縮(令和2年10月1日施行)

 

(1)離職理由による給付制限

次のいずれかに該当する場合には、待期満了後1か月以上3か月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当が支給されません。

①被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合

②正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合

 

(2)給付制限期間の短縮

この場合の給付制限期間は、原則として、「3か月」とされています。

これに対して、正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合(前記(1)②の場合)の給付制限期間が、5年間のうち2回までは、「2か月」となります。

 

(3)留意点その他

・給付制限期間が2か月となりうるのは、令和2年10月1日以降に離職した者に限られます。令和2年9月30日までに離職した者の給付制限期間は、従来どおり、3か月です。

・給付制限期間が2か月となりうるのは、正当な理由がなく自己の都合によって退職した者(前記(1)②に該当する者)に限られます。自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された者(前記(1)①に該当する者)の給付制限期間は、従来どおり、3か月です。

・5年間に2回以上の自己の都合による退職をしている者の給付制限期間は、3か月となります。3回目以降の退職にあたっては、その退職からさかのぼって5年間に2回以上の自己の都合による退職があるかの確認が行われます。

・令和2年9月30日以前の自己の都合による退職は、令和2年10月1日以降の退職に係る給付制限期間に影響しません。

複数事業労働者に対する労災保険給付が変わります!

 

令和2年9月1日施行の労働者災害補償保険法の改正により、複数事業労働者に対する労災保険の保険給付について、複数の就業先の賃金に基づく給付基礎日額の算定や給付の対象範囲の拡充等の見直しが行われました。

 

1、「複数事業労働者」とは?

 

事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(複数の会社等に雇用されている労働者)のことを、「複数事業労働者」といいます。

 

令和2年9月1日以降に、けがをしたり、病気になったりした労働者や、死亡した労働者の遺族が、今回の改正事項の対象となります。

また、原則として、けがをしたときや病気になった時点で、複数の会社で働いている労働者が対象となります。

ただし、けがをしたときや病気になったときなどに一つの会社等でのみ雇用されている労働者やすべての会社等を退職している労働者であっても、そのけがや病気などの原因・要因となるもの(長時間労働、強いストレスなど)が、二つ以上の会社等で雇用されている際に存在していたものときは、対象となります。

 

2、改正の概要

 

複数事業労働者に対する保険給付について、次のような拡充が図られています。

(1)給付基礎日額の算定方法の特例

複数事業労働者については、すべての就業先での給付基礎日額を合算した額を基礎に給付額等が決定されることとなりました。

 

(2)新たな保険給付の創設

複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(複数業務要因災害)に関する保険給付が創設されました。

 

3、給付基礎日額の算定方法の特例

 

労災保険では、療養補償給付、介護補償給付、二次健康診断等給付などの一定の保険給付を除き、被災労働者の給付基礎日額によって具体的な保険給付の額が算出されます。

 

給付基礎日額とは、原則として、労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。

この給付基礎日額の算定に当たり、これまでは、災害が発生した就業先の賃金額のみがその基礎とされていました。

この点に関し、複数事業労働者については、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を給付基礎日額とすることとなりました。

 

例えば、A会社(給付基礎日額10,000円)とB会社(給付基礎日額5,000円)で働いている労働者が、B会社において業務上負傷し、休業した場合には、これまでは、B会社の給付基礎日額5,000円を基礎として、休業補償給付などが行われていました。

今後は、A会社とB会社の給付基礎日額を合算した15,000円(=10,000円+5,000円)を基礎として、休業補償給付が行われることとなります。

 

4、複数事業労働者に対する新たな保険給付の創設

 

(1)複数業務要因災害に関する保険給付

労災保険においては、これまで、①業務災害に関する保険給付及び②通勤災害に関する保険給付を行っていましたが、これらに加えて、③複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(これを「複数業務要因災害」といいます。)に関する保険給付を行うこととされました。

これにより、脳血管疾患・虚血性心疾患や精神障害などに関する労災認定にあたっては、すべての就業先の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して判断されることとなります。

 

例えば、A会社とB会社で働いている労働者が脳血管疾患を発症した場合において、これまでは、A会社とB会社それぞれにおける負荷を個別に評価して、労災認定するかどうかが判断されていました。

今後は、それぞれの会社の負荷を個別に評価して労災認定できない場合には、両社の負荷を総合的に評価して、労災認定するかどうかが判断されることとなります。

 

(2)保険給付の種類

複数業務要因災害に関する保険給付としては、次の保険給付が行われます。

その内容は、これまでの業務災害または通勤災害に関する各保険給付に準ずるものとなっています。

①複数事業労働者療養給付(療養補償給付、療養給付に相当する給付)

②複数事業労働者休業給付(休業補償給付、休業給付に相当する給付)

③複数事業労働者障害給付(障害補償給付、障害給付に相当する給付)

④複数事業労働者遺族給付(遺族補償給付、遺族給付に相当する給付)

⑤複数事業労働者葬祭給付(葬祭料、総裁給付に相当する給付)

⑥複数事業労働者傷病年金(傷病補償年金、傷病年金に相当する給付)

⑦複数事業労働者介護給付(介護保障給付、介護給付に相当する給付)