「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定)の「加速化プラン」に盛り込まれた施策を着実に実行するため、
子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が成立し、今後、順次施行されます。
これに基づき、まず令和6年10月1日から、児童手当法が改正されます。
1、「こども未来戦略」~令和5年12月22日閣議決定
急速な少子化が大きな問題となっていますが、「こども未来戦略」では、
①若い世代が結婚・子育ての将来展望を描けない、
②子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境がある、
③子育ての経済的・精神的負担感や子育て世帯の不公平感が存在する
といったことをこども・子育ての政策課題として掲げ、次の3つをこの戦略の基本理念としています。
(1)若い世代の所得を増やす
(2)社会全体の構造・意識を変える
(3)全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する
そのうえで、今後3年間の集中的な取組として「加速化プラン」が示されました。
この「加速化プラン」において、「ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や
若い世代の所得向上に向けた取組」の1つとして、児童手当の抜本的拡充が位置づけられています。
2、児童手当法の改正の概要~令和6年10月1日施行
児童手当法の改正により、児童手当については、次代を担う全てのこどもの育ちを支える
基礎的な経済支援としての位置づけが明確化されます。
主な改正点は、次のとおりであり、これらによる拡充後の児童手当の初回の支給は、
令和6年12月となります。
①支給期間を中学生までから高校生年代までとすること(支給期間の延長)
②支給要件のうち所得制限を撤廃すること(所得制限に撤廃)
③第3子以降の児童に係る支給額を月額3万円とすること(第3子以降の支給額の増額)
④支払月を年3回から隔月(偶数月)の年6回とすること(支払月の変更)
3、支給期間の延長と所得制限の撤廃
児童手当法においては、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であって、
日本国内に住所を有するもの又は留学その他の内閣府令で定める理由により日本国内に住所を有しないものを
「児童」と定義しています。
これまで、「児童」であっても児童手当の支給対象外となる者がありましたが、今回の改正で、支給期間が延長され、
かつ、所得制限が撤廃されることにより、全ての「児童」が児童手当の支給対象となります。
(1)支給期間の延長
児童手当の支給期間は、これまで、児童が15歳に達する日以後の最初の3月31日まで(中学生まで)でしたが、
これが、児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(高校生年代まで)となります。
(2)所得制限の撤廃
児童手当の支給に当たっては、これまで所得制限(前年の所得が所定の額未満であること)が設けられていましたが、
これが撤廃されます。
これにより、これまでは所得制限により特例給付の対象となり、又は、支給対象外となっていた者についても、
児童手当が支給されることとなります。
4、第3子以降の支給額の増額
(1)児童手当の額
児童手当の額は、原則として、3歳未満の児童について、1人当たり月額1万5,000円、3歳以上の児童について、
1人当たり月額1万円です。
ただし、こども3人以上の世帯数の割合が特に減少していることや、こども3人以上の世帯はより経
済的支援の必要性が高いと考えられること等から、個人受給資格者(一般受給資格者のうち法人受給資格者以外のもの)
については、第3子以降の児童に係る児童手当の額を加算する措置が執られています。
(2)第3子以降の児童手当の額
第3子以降の児童に係る児童手当の額は、これまでは、3歳以上小学校修了前の児童に限り、
月額1万5,000円に引き上げられていましたが、これが、0歳から高校生年代までの児童について、
全て月額3万円に引き上げられます。
(3)第3子以降の加算に係るカウント方法
第3子以降の加算に係るカウント方法についても、これまでの高校生年代までの取扱いを見直し、
大学生に限らず、22歳に達する日以後の最初の3月31日(22歳年度末)までの間にある上の子も、
親等の経済的負担がある場合は、カウント対象となります。
5、支払月の変更
児童手当の支払月は、これまで、2月、6月及び10月の3期でしたが、
これが2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期(隔月(偶数月)の年6回)となります。