法律トピックス

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ジェンダーギャップ指数~経済分野での男女格差と現状

 

先日、世界経済フォーラムが世界各国の男女平等の度合いを数値化した「ジェンダーギャップ指数」の

2023年版報告書を発表したとの報道がありました。

日本は国別のランキングで対象146か国中125位と、過去最低の結果だったとのことです。

そこで、この指数の構成分野のうち「経済」に関連するデータを見てみたいと思います。

 

1、「ジェンダーギャップ指数」について

 

(1)ジェンダーギャップ指数」とは?

「ジェンダーギャップ指数」は、スイスの非営利団体「世界経済フォーラム」が公表しているもので、

次の4分野からなり、男性に対する女性に割合を示す指数です。

完全不平等の「0」から完全平等の「1」までの範囲で示されます。

①経済分野(労働参加率の男女比、同一労働における賃金の男女格差、推定勤労所得の男女比、

管理的職業従事者の男女比、専門・技術者の男女比)

②教育分野(識字率の男女比、初等、中等、高等教育の就学率の男女比)

③健康分野(出生児性比、健康寿命の男女比)

④政治分野(国会議員(下院)の男女比、閣僚の男女比、最近50年における行政府の長の在任年数の男女比)

 

(2)2023年版報告書の結果

・2023年の世界全体の総合スコアは0.684で、前年と比較可能な145カ国をみると0.003ポイント改善しました。

・国別にみると、1位は14年連続アイスランド(指数0.912)であり、2位以降はノルウェー、フィンランド、

ニュージーランド、スウェーデンと続いています。一方、最下位はアフガニスタン(指数0.405)です。

・日本は125位(指数0.647)となり、昨年の116位から大きく後退し、依然として主要先進国(G7)の中で

最下位となっています。

特に「政治」(指数0.057・138位))と「経済」(指数0.561・123位)の分野で格差解消が進んでいない状況です。

 

2、経済分野におけるわが国のジェンダーギャップ指数

 

経済分野におけるわが国のジェンダーギャップ指数は、次のとおりであり、特に女性管理職比率の低さは、

世界的にみても下位に位置しています。

・労働参加率の男女比:0.759(81位)

・同一労働における男女の賃金格差:0.621(75位)

・推定勤労所得の男女比:0.577(100位)

・管理的職業従事者の男女比:0.148(133位)

 

3、わが国の現状~その他の各種統計

 

必ずしも「ジェンダーギャップ指数」の算定に用いられる統計結果ではありませんが、関連する統計結果によれば、

わが国の現状は次のようになっています。

(1)労働力人口比率(総務省統計局「労働力調査」(基本集計)2022年(令和4年)平均結果)

・労働力人口比率15歳以上人口に占める労働力人口の割合は、2022年平均で 62.5%となっており、

男女別にみると、男性は 71.4%、女性は 54.2%となっています。

 

(2)賃金格差(厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」結果の概況:令和4年6月分の賃金等についての調査)

【短時間労働者以外の一般労働者の賃金について】

・賃金は、男女計 311.8千円、男性342.0千円、女性258.9千円となっています。

また、男女間賃金格差(男=100)は、75.7となっています。

・男女別に賃金カーブをみると、男性では、年齢階級が高くなるにつれて賃金も高く、

55~59歳で416.5千円(20~24歳の賃金を100とすると188.9)と賃金がピークとなり、その後下降しています。

女性も、55~59歳の280.0千円(同129.4)がピークとなっていますが、男性に比べ賃金の上昇が緩やかとなっています。

・雇用形態別の賃金をみると、男女計では、正社員・正職員328.0千円に対し、正社員・正職員以外221.3千円となっています。

男女別にみると、男性では、正社員・正職員353.6千円に対し、正社員・正職員以外247.5千円、

女性では、正社員・正職員276.4千円に対し、正社員・正職員以外198.9千円となっています。

雇用形態間賃金格差(正社員・正職員=100)は、男女計67.5、男性70.0、女性72.0となっています。

 

(3)正社員・正職員の男女比率(厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」の結果概要:令和3年10月1日現在の状況)

・正社員・正職員に占める女性の割合は 27.4%であり、これを職種別にみると、総合職 20.7%、限定総合職 34.0%、

一般職 33.9%、その他 30.4%となっています。

・女性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、一般職が 43.2%と最も高く、次いで総合職 36.1%、

限定総合職 13.5%の順となっています。

 

(4)管理職に占める女性の割合(厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」の結果概要:令和3年10月1日現在の状況)

・課長相当職以上の管理職に占める女性の割合(女性管理職割合)は12.3%です。それぞれの役職に占める女性管理職割合は、

役員では 21.4%、部長相当職では 7.8%、課長相当職では 10.7%、係長相当職では 18.8%となっています。

2023年7月4日

高年齢者の雇用状況等について

 

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(略称:高年齢者雇用安定法)では、事業主に対して、

同法に基づく高年齢者の雇用・就業機会の確保の状況等についての報告を義務づけています。

この報告は毎年、6月1日現在の状況について行いますので、この機会に昨年の報告の集計結果と併せて、

ご紹介します。

 

1、高年齢者雇用安定法に基づく事業主の義務について

 

(1)高年齢者の安定した雇用の確保の促進等のため事業主が講ずべき措置

高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる「生涯現役社会の実現」を目指して、

高年齢者雇用安定法では、事業主に、次のことを義務づけています。

①雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、高年齢者雇用確保措置のいずれかを講じること。

②高年齢者就業確保措置のいずれかの措置を講じることにより、65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう

努めること。

 

(2)高年齢者の雇用状況等の報告

事業主は、毎年1回、定年、継続雇用制度、65歳以上継続雇用制度及び創業支援等措置の状況

その他高年齢者の就業の機会の確保に関する状況を厚生労働大臣に報告しなければなりません。

この報告は、毎年、6月1日現在における状況を翌月(7月)15日までに、高年齢者雇用状況等報告書を

管轄公共職業安定所の長を経由して提出することにより、行います。

 

2、令和4年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果

 

前記1(2)の報告の集計結果は毎年、厚生労働省から公表されます。

令和4年の集計結果では、従業員21人以上の企業235,875社からの報告に基づき、

令和4年6月1日時点での企業における実施状況等がまとめられています。

なお、この集計では、従業員21人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。

 

(1)65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業の状況

①高年齢者雇用確保措置の実施状況

・65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業の割合は99.9%で、中小企業では99.9%、

大企業では99.9%でした。

・高年齢者雇用確保措置を「実施済み」と報告した全企業について、措置内容別の割合をみると、

「定年制の廃止」が3.9%、  「定年の引上げ」が25.5%、「継続雇用制度の導入」が70.6%であり、

定年制度の見直し(「定年制の廃止」「定年の引上げ」)よりも、  「継続雇用制度の導入」を行うことで

高年齢者雇用確保措置を講じている企業が多くなっています。

②65歳定年企業の状況

報告した全企業のうち、定年を65歳とする企業の割合は22.2%で、中小企業では22.8%、大企業では15.3%でした。

 

(2)70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況

・報告した全企業において、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業の割合は27.9%で、

中小企業では28.5%、大企業では20.4%でした。

・報告した全企業について、高年齢者就業確保措置の内容別の割合に見ると、「定年制の廃止」が3.9%、

「定年の引上げ」が2.1%、「継続雇用制度の導入」が21.8%、「創業支援等措置の導入」が0.1%であり、

「継続雇用制度の導入」を行うことで高年齢者就業確保措置を講じている企業が最も多くなっています。

 

(3)66歳以上まで働ける制度のある企業の状況

・報告した全企業において、66歳以上まで働ける制度のある企業の割合は40.7%で、中小企業では41.0%、

大企業では37.1%でした。

・報告した全企業において、70歳以上まで働ける制度のある企業の割合は39.1%で、中小企業では39.4%、

大企業では35.1%でした。

・報告した全企業において、定年制を廃止している企業の割合は3.9%で、中小企業では4.2%、

大企業では0.6%でした。

・定年を66~69歳とする企業の割合は1.1%で、中小企業では1.2%、大企業では0.2%でした。

また、定年を70歳以上とする企業の割合は2.1%で、中小企業では2.2%、大企業では0.6%でした。

 

(4)60歳定年到達者の動向及び高年齢常用労働者の状況

・60歳定年企業において、過去1年間(令和3年6月1日から令和4年5月31日)に定年に到達した者(379,120人)

のうち、   継続雇用された者は87.1%、継続雇用を希望しない定年退職者は12.7%、継続雇用を希望したが

継続雇用されなかった者は0.2%でした。

・報告した全企業における常用労働者数(約3,4 80万人)のうち、60歳以上の常用労働者数は約470万人で1 3. 5%を

占めています。

年齢階級別に見ると、60~64歳が約254万人、65~69歳が約128万人、70歳以上が約88万人でした。

・31人以上規模企業における60歳以上の常用労働者数は約442万人で、平成21年と比較すると、

約226万人増加しています。

2023年6月8日

障害者の法定雇用率の引上げ等について

 

障害者の雇用の促進等に関する法律(略称:障害者雇用促進法)等の改正により、

法定雇用率の引上げ等が行われました。

今回の改正の多くは令和6年4月1日に施行されますが、令和5年4月1日に施行された部分と

それに関係する部分について、併せてお知らせします。

 

1、法定雇用率の段階的引上げ(令和6年4月以降

 

民間の企業に係る法定雇用率(障害者雇用率)が2.7%に引き上げられます。

ただし、引上げは、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度は2.3%に据え置いたうえで、

令和6年4月から2.5%、令和8年7月から2.7%と段階的に行われます。

これに伴い、障害者を雇用しなければならない対象事業者についても、常時雇用する労働者の数が、

令和5年度は43.5人以上の事業主ですが、令和6年4月からは40.0人以上、

令和8年7月からは37.5人以上である事業主に拡大されます。

 

2、障害者雇用における障害者の算定方法の変更

 

(1)精神障害者の算定特例の延長(令和5年4月以降

精神障害者の職場定着を進める観点から、平成30年4月から令和5年3月まで、

精神障害者である短時間労働者であって、雇入れの日又は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた日の

いずれか遅い日から起算して3年を経過するまでの間にあるものについては、障害者雇用率の算定に当たり、

これを1人とカウントする特例措置が設けられていました。

この点について、令和5年4月1日からは、精神障害者である短時間労働者については、当分の間、

雇入れ等からの期間にかかわらず、障害者雇用率の算定に当たり、これを1人とカウントすることとなりました。

 

(2)一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定(令和6年4月以降)

障害者雇用促進法においては、現在、障害者の職業的自立を促進するという法の趣旨から、

事業主に雇用義務が課せられているのは、週所定労働時間が20時間以上の労働者となっています。

他方で、障害特性で長時間の勤務が難しいこと等により、週所定労働時間20時間未満での雇用を希望する者は、

いずれの障害種別でも一定数存在し、特に精神障害者で多くなっています。

このようなニーズを踏まえ、週20時間未満の労働時間であれば働くことができる者の雇用機会の拡大を図るため、

令和6年4月以降、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び

重度知的障害者について、障害者雇用率の算定に当たり、0.5人とカウントして算定できるようになります。

 

3、障害者雇用調整金等の見直しと助成措置の強化

 

「すべての事業主は、社会連帯の理念に基づき、障害者に雇用の場を提供する共同の責務を有する」との理念の下、

障害者の雇用に伴う経済的負担を調整するとともに、障害者を雇用する事業主に対する助成を行うため、

障害者納付金制度が整備されています。

この障害納付金制度について、限られた財源を効果的に運用し、雇用の質の向上に向け、

事業主による障害者の職場定着等の取り組みに対する支援を充実させるため、次のような見直しが行われます。

 

(1)障害者雇用調整金等の見直し(令和5年4月令和6年4月以降

障害者雇用調整金及び報奨金は、いずれも障害者雇用率を超えて障害者を雇用している場合に支給されるものです。

令和5年度以後の年度分として支給する障害者雇用調整金(常時雇用している労働者数が100人を超える

事業主が対象)の額が、1人につき月額29,000円に引き上げられました。

一方で、令和6年度からは、障害者雇用調整金の支給対象人数が10人を超える場合には、

当該超過人数分への支給額が、1人につき月額23,000円(本来の額から6,000円の減額)となります。

また、報奨金(常時雇用している労働者数が100人以下の事業主が対象)の支援対象人数が35人を超える場合には、

当該超過人数分への支給額を1人につき月額16,000円(本来の額(21,000円)から5,000円の減額)となります。

 

なお、障害者雇用率を未達成の場合に徴収される障害者雇用納付金(常時雇用している労働者数が100人を

超える事業主が対象)の額(1人につき月額5万円)に変更はありません。

 

(2)特例納付金の廃止(令和6年4月以降

前記2(2)により、週所定労働時間20時間以上の雇用が困難な者に対する就労機会の拡大を

直接図ることが可能となるため、特例給付金は廃止されます。

 

(3)障害者雇用のための事業主支援の強化(令和6年4月以降

①雇入れやその雇用継続に関する相談支援、加齢に伴う課題に対応する助成金の新設

・障害者雇用に関する相談援助を行う事業者から、原則無料で、雇入れやその雇用継続を図るために必要な

一連の雇用管理に関する相談援助を受けることができるようになります。

・加齢により職場への適応が難しくなった障害者に雇用継続の支援を行った場合に、助成が受けられるようになります。

②既存の障害者雇用関係の助成金の拡充

障害者介助等助成金や職場適応援助者助成金の拡充、職場実習・見学の受入れ助成の新設など、

事業主の障害者雇用の支援が強化されます。

2023年5月2日

賃金のデジタル払いが可能になります!

 

令和5年4月1日施行の労働基準法施行規則の改正により、いわゆる賃金のデジタル払いができるようになります。

資金移動業者(●●Payなど)からの指定申請並びに厚生労働大臣による審査及び指定に数か月かかる見込み

ですので、実際に賃金のデジタル払いができるようになるのはもう少し先ですが、概要をお知らせします。

 

1、改正の概要

 

労働基準法においては、賃金は通貨で支払うことが原則ですが、労働者の同意を得た場合には、

銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等により支払うことができるものとされています。

キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に

活用するニーズも一定程度見られることから、使用者が、労働者の同意を得た場合には、厚生労働大臣の指定を

受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金の支払い(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることと

なりました。

 

2、賃金のデジタル払い開始までの流れ

 

賃金のデジタル払いに関する今後の流れは、次のとおりです。

実際に賃金のデジタル払いを行おうとする使用者及び労働者が執らなければならない手続きは、このうちの③及び④です。

①資金移動事業者からの指定申請

指定を受けようとする資金移動業者は、厚生労働大臣に指定申請をします。

②厚生労働大臣による審査及び指定

指定申請を受け付けた後、厚生労働省で審査を行い、基準を満たしている事業者を厚生労働大臣が指定します。

この審査には、数か月かかることが見込まれています。

③事業場での労使協定の締結

使用者は、賃金のデジタル払いを行おうとする場合には、各事業場で、利用する指定資金移動業者等を内容とする

労使協定を締結する必要があります。

④労働者から使用者への同意書の提出

労働者は、賃金のデジタル払いを希望する場合には、使用者に同意書を提出します。

 

3、労使協定の締結

 

使用者は、賃金のデジタル払いを行おうとする場合には、①対象となる労働者の範囲、②対象となる賃金の範囲

及びその金額、③取扱指定資金移動業者の範囲、④賃金のデジタル払いの実施開始時期について、

労使協定を締結しなければなりません。

 

4、労働者から使用者への同意書の提出

 

賃金のデジタル払いを希望する個々の労働者は、留意事項等の説明を受け、制度を理解したうえで、

同意書を使用者に提出します。

この同意書には、①賃金のデジタル払いで受け取る賃金の範囲及びその金額、②資金移動業者の口座番号等、

③開始希望時期、④代替口座情報を記載します。

 

5、留意事項その他

 

①使用者が知っておくべきこと

・賃金のデジタル払いを導入した事業所においても、すべての労働者の現在の賃金の支払い・受取方法の変更が

必須となるわけではありません。

・労働者に対して賃金のデジタル払いを賃金受取方法として提示する際は、銀行口座または証券総合口座を

選択肢としてあわせて提示しなければいけません。

・現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払いは認められません。

・希望しない労働者に、賃金のデジタル払いを強制してはいけません。労働者の同意がない場合や賃金の

デジタル払いを強制した場合には、罰則が適用されることがあります。

 

②労働者が知っておくべきこと

・賃金のデジタル払いを希望しない場合は、これまでどおり銀行口座等で賃金を受け取ることができます。

賃金の一部を資金移動業者口座で受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。

・指定資金移動業者口座は、「預金」をするためではなく、支払いや送金に用いるためのものですから、

支払いなどに使う見込みの額を受け取るようにしてください。また、受取額は、1日当たりの払出上限額以下の額と

する必要があります。

・口座の上限額は100万円に設定されています。上限額を超えた場合は、あらかじめ指定した銀行口座等に自動的に

出金されます。

・ATMや銀行口座等への出金により、口座残高を現金化(払い出し)することもできます。

また、少なくとも毎月1回は、手数料の負担なく、払い出しができます。

・口座残高については、最後の入出金日から少なくとも10年間は、申出などにより払い戻してもらうことが

できます。

 

③万が一の場合について

・口座の乗っ取りによる心当たりのない出金など、不正取引が起きた場合において、口座所有者に過失がないときは、

損失額全額が補償されます。労働者に過失があるときの補償については、個別のケースによります。

・指定資金移動業者が破綻した場合は、保証機関から速やかに弁済されます。

2023年4月4日

中小企業においても時間外労働の割増賃金率が引き上げられます!

 

労働基準法の改正による法定割増賃金率の引上げ等(平成22年4月1日施行)について、

これまでは中小企業に対する適用が猶予されていましたが、この猶予措置が令和5年4月1日か

ら廃止されます。

これにより、中小企業においても、1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げなど、

就業規則の変更が必要となる場合があります。

 

1、改正の概要(中小企業に対する適用猶予措置の廃止)

 

(1)1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ

労働者が健康を保持しながら、労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう、

1か月60時間を超える時間外労働についての法定割増賃金率が5割以上に引き上げられます。

(2)代替休暇

1か月60時間を超える時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、引上げ分の割増賃金の

代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。

 

2、1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ

 

使用者は、法定労働時間(1週間40時間、1日8時間)を超える労働(時間外労働)について、

2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

ただし、時間外労働の時間が1か月について60時間を超えた場合には、その超えた時間の労働について、

5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

 

(1)対象となる時間外労働

「1か月」とは、暦による1か月をいい、その起算日を「賃金の決定、計算及び支払の方法」として

就業規則に記載する必要があります。

1か月の起算日については、毎月1日、賃金計算期間の初日、時間外労働協定における

一定期間の起算日等とすることが考えられます。

「その超えた時間の労働」として5割以上の率で計算した割増賃金の支払いが義務づけられるのは、

1か月の起算日から時間外労働時間を累計して60時間に達した時点より後に行われた時間外労働です。

 

(2)休日労働との関係

1か月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれませんが、

それ以外の休日に行った労働時間は含まれます。

なお、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日とそれ以外の休日を

明確に分けておくことが望ましいものとされています。

 

(3)深夜業との関係

深夜労働(午後10時から午前5時までの間における労働)のうち、1か月について60時間に達した時点

より後に行われた時間外労働については、深夜労働の法定割増賃金率(2割5分)と

1か月について60時間を超える時間外労働の法定割増賃金率(5割)とが合算され、

7割5分以上の率で計算した割増賃金の支払いが必要となります。

 

3、代替休暇

 

労働者の健康を確保する観点から、特に長い時間外労働をさせた労働者に休息の機会を与えることを

目的として、1か月について60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、

法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を与えることができます。

 

(1)代替休暇に係る労使協定の締結

代替休暇を実施する場合には、事業場において労使協定を締結する必要があります。

この労使協定は、当該事業場において、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払いによる

金銭補償に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇の付与による補償を行うことができる

こととするものであり、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務づけけるものではありません。

労使協定が締結されている事業場においても、個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、

労働者の意思に委ねられます。

 

(2)代替休暇に係る労使協定で定める事項

①代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法

「代替休暇として与えることができる時間の時間数=(1か月の時間外労働時間数-60)×換算率」の

算定方法に従って、具体的に定めます。

「換算率」とは、労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている

割増賃金率(2割5分以上)と、労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている

割増賃金率との差に相当する率(5割以上)との差に相当する率のことです。

②代替休暇の単位

1日、半日、1日又は半日のいずれかを代替休暇の単位として定めます。

③代替休暇を与えることができる期間

時間外労働が1か月について60時間を超えた当該1か月の末日の翌日から2か月以内とされており、

この範囲内で定めます。

④代替休暇の取得日及び割増賃金の支払日

2023年3月2日

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