平成27年12月1日にストレスチェック制度が導入されてから、丸2年が経過しました。
皆さんの事業場では、ストレスチェックを実施していますか?
1、ストレスチェック制度とは?
ストレスチェック制度は、ストレスチェック(心理的な負担の程度を把握するための検査)とその結果に基づく面接指導などを実施するものです。
この制度では、①定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気づきを促し、個々の労働者のストレスを低減させるとともに、②検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価して、職場環境の改善につなげることで、 ストレスの要因そのものを低減するよう努めることを事業者に求めています。
さらに、その中で、③ストレスの高い者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。
2、ストレスチェック制度の実施状況
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを実施し、その結果を所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。
この報告が取りまとめられ、今年7月26日に、次のようなストレスチェック制度の平成 29 年6月末現在における実施状況が初めて公表されました。
(1)ストレスチェック制度の実施状況
ストレスチェックの実施が義務づけられた事業場のうち、ストレスチェック制度を実施した事業所(報告書の提出があった事業場)は82.9%でした。
事業場規模別にみると、50~99人では78.9%、1,000人以上では99.5%と、事業場の規模が大きくなるほど実施した事業場の割合が高くなっています。
(2)ストレスチェックの受検状況
ストレスチェックを実施した事業場の労働者のうち、ストレスチェックを受けた労働者の割合は78.0%でした。
ストレスチェックに関して、労働者に受検は義務づけられていませんが、この制度の趣旨からは、すべての労働者がストレスチェックを受検することが望ましいものとされています。
(3)ストレスチェック実施者の選任状況
ストレスチェック実施者は、医師、保健師、一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士から選任する必要がありますが、58.8%の事業場で、事業場内の産業医等がストレスチェック実施者として関与しています。
このストレスチェック実施者には、ストレスチェックの調査票の選定や調査票に基づくストレスの程度の評価方法、高ストレス者の選定基準の決定について、事業者に対して専門的な見地から意見を述べるとともに、ストレスチェックの結果に基づき、当該労働者が医師による面接指導を受ける必要があるか否かを確認するなどの役割があります。
(4)医師による面接指導の実施状況
ストレスチェックを受けた労働者のうち、医師による面接指導を受けた労働者の割合は0.6%でした。
一方で、ストレスチェックを実施した事業場のうち、32.7%の事業場で、医師による面接指導が実施されました。このうちの79.1%の事業場で、事業場選任の産業医が面接指導を担当しています。
事業者は、ストレスチェックの結果、高ストレス者として選定された者であって、医師による面接指導を受ける必要があるとストレスチェック実施者が認めたものから申出があったときは、医師による面接指導を実施しなければなりません。
(5)集団分析の実施状況
ストレスチェックを実施した事業場のうち、78.3%の事業場が集団分析を実施しています。
集団分析とは、ストレスチェックの結果を職場や部署単位で集計・分析し、職場ごとのストレスの状況を把握することです。
集団分析の結果を、業務内容や労働時間など他の情報と併せて評価し、職場環境改善に取り組むことが事業者の努力義務となっています。
3、職場環境の改善を!
ストレスの状況は、なかなか自分でも分からないものです。
ストレスによって、身体や精神などに思わぬ反応が現れることもありますね。
ストレスチェック制度の実施において最も大切なことは、ストレスチェックをきっかけに、労働者一人ひとりが自らのストレスの状況に気づき、セルフケア等の対処をすることです。
一方で、集団分析をすると、高ストレス者が多い部署などが明らかになります。
事業者としては、この集団分析の結果を、長時間労働の改善や職場内のコミュニケーションのあり方などを含めた職場環境の見直しや働きやすい職場づくりに役立てたいところです。
メンタルヘルス対策への企業への取り組み事例なども提供されるようになってきていますし、企業の取り組みに対する助成なども行われていますので、ストレスチェック制度を十分に活用して、職場環境のさらなる改善に取り組んでみませんか?