令和7年4月1日施行の子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律による雇用保険法の改正により、
「共働き・共育て」及び育児期を通じた柔軟な働き方の推進のため、
出生後休業支援給付及び育児時短就業給付が創設されます。
1、育児休業給付の拡大
今回の改正により、労働者が子を養育するための休業及び所定労働時間を短縮することによる
就業をした場合の必要な給付として、「育児休業等給付」が行われることとなります。
「育児休業等給付」としては、これまでの「育児休業給付」(育児休業給付金及び出生時育児休業給付金)に加え、
新たに、「出生後休業支援給付」(出生後休業支援給付金)及び「育児時短就業給付」(育児時短就業給付金)が
行われます。
2、出生後休業支援給付の創設
(1)支給要件及び支給額等
出生後休業支援給付は、育児休業給付(給付率67%)と合わせた給付率を 80%とすることで、
両親ともに育児休業を取得することを促進する目的で、創設されます。
雇用保険の保険給付は非課税であり、かつ、育児休業中は社会保険料が免除(一定の要件があります。)
されますので、出生後休業支援給付を受けることにより、休業前の手取り賃金と比較すると、
実質的には10割相当の給付を受けることができるようになります。
この出生後休業支援給付金の支給対象者は、令和7年4月1日以降にその支給要件を満たした
雇用保険の被保険者です。
出生後休業支援給付金は、次の要件をいずれも満たす場合に、被保険者の休業期間について、
28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額が支給されます。
① 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に
育児休業を取得すること
②被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得すること
ただし、配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親家庭の場合などには、②の要件のうち
配偶者の育児休業の取得は求められません。
(2)支給申請手続
出生後休業支援給付金の支給申請手続は、原則として、育児休業給付(育児休業給付金及び出生時育児休業給付金)の
支給申請手続と併せて、行います。
ただし、育児休業給付の支給申請手続終了後に、出生後休業支援給付金の支給を受けることができるに至った場合は、
当該支給を受けることができるに至った日の翌日から起算して10日以内に、出生後休業支援給付金支給申請書に
所定の書類を添えて、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に
提出しなければなりません。
3、育児時短就業給付の創設
(1)支給申請手続及び支給額等
育児時短就業給付は、被保険者が2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合に、
時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給することで、育児期を通じた柔軟な働き方を推進する目的で、
創設されます。
この育児時短就業給付金の支給対象者は、令和7年4月1日以降に育児時短就業を開始する雇用保険の
被保険者です。
育児時短就業給付金の支給の対象となる「育児時短就業」とは、2歳に満たない子を養育するための所定労働時間を
短縮することによる就業をいいます。
育児時短就業給付金は、被保険者が次のいずれかに該当する場合に、支給対象月について支給されます。
①育児時短就業をした場合において、当該育児時短就業を開始した日前2年間(延長措置があります。)に
みなし被保険者期間が通算して12か月以上であったとき
②被保険者が育児時短就業に係る子について、育児休業給付金の支給を受けていた場合であって
当該育児休業給付金に係る育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたとき
③被保険者が育児時短就業に係る子について、出生時育児休業給付金の支給を受けていた場合であって
当該出生時育児休業給付金に係る出生時育児休業終了後引き続き育児時短就業をしたとき
「支給対象月」とは、被保険者が育児時短就業を開始した日の属する月からこれを終了した日の属する月までの
期間内にある月(その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者であり、かつ、介護休業給付金
又は育児休業給付金、出生時育児休業給付金若しくは出生後休業支援給付金の支給を受けることができる休業を
しなかった月に限ります。)をいいます。
また、育児時短就業給付金の額は、時短勤務中に支払われた賃金額の10%ですが、
この給付率は、時短後の賃金と育児時短就業給付金の額の合計が、時短前の賃金を超えないように調整されます。
(2)支給申請手続
被保険者は、初めて育児時短就業給付金の支給を受けようとするときは、支給対象月の初日から起算して
4か月以内に、育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書に
所定の書類を添えて、原則として、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に
提出しなければなりません。