女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(通称「女性活躍推進法」)のうち、一般事業主に関する部分が平成28年4月1日から施行となり、常時使用する労働者の数が300人を超える一般事業主には、一般事業主行動計画の策定などが義務づけられました。
具体的には、一般事業主は、次のことを行わなければなりません(常時使用する労働者の数が300人以下の一般事業主については、いずれも努力義務になります。)。
1、自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
行動計画の策定にあたっては、自社の女性の活躍に関する状況に関して、まず基礎項目(必ず把握すべき項目:①女性採用比率、②勤続年数男女差、③労働時間の状況、④女性管理職比率)の状況把握、課題分析を行わなければなりません。
その結果、事業主にとって課題であると判断された事項については、必要に応じて、選択項目(必要に応じて把握する項目:男女別の採用における競争倍率、男女別の配置の状況など)を活用し、さらにその原因の分析を行います。
なお、基礎項目のうち、上記①及び②の項目については、雇用管理区分ごとに状況把握を行うことが必要です。
2、状況把握、課題分析を踏まえた行動計画の策定・届出、社内周知、公表
上記1の状況把握・課題分析を踏まえ、行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出なければなりません。
行動計画には、次の(1)~(4)の事項を定めます。
(1)計画期間
平成28年度から平成37年度までの10年間を、各事業主の実情に応じておおむね2年から5年間に区切り、定期的に行動計画の進捗を検証しながら、改定を行うことが望ましいものとされています。
(2)数値目標
女性の職業生活における活躍の推進に関する取組みの実施により達成しようとする目標について、1つ以上を数値で定める必要があります。
状況把握、課題分析の結果、事業主の実情に応じて、最も大きな課題と考えられるものから優先的に数値目標を設定するとともに、できる限り積極的に複数の課題に対応する数値目標を設定することが効果的であるとされています。
(3)取組み内容及びその実施時期
女性の職業生活における活躍の推進に関する取組みの内容を決定する際は、最も大きな課題として数値目標の設定を行ったものから優先的に、その数値目標の達成に向けてどのような取組みを行うべきかを検討することが基本です。
なお、行動計画の内容は、男女雇用機会均等法に違反しない内容とすることが必要です。
また、女性活躍推進法に基づく行動計画と次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画は、両法に定める要件をいずれも満たし、かつ、その計画期間を同一とする場合には、一体的に策定し、届け出ることができます。
策定した行動計画は、非正社員を含めた全ての労働者に周知しなければなりません。
また、策定した行動計画は、①厚生労働省が運営する「女性の活躍・両立支援総合サイト」への掲載、②自社のホームページへの掲載などにより、外部に公表しなければなりません。
3、女性の活躍に関する情報の公表
自社の女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表しなければなりません。
公表する項目は、厚生労働省令で定める事項(採用した労働者に占める女性労働者の割合、男女の平均継続勤務年数の差異、管理職に占める女性労働者の割合、男女別の職種又は雇用形態の転換実績など14項目)のうち、事業主が適切と認めるものを1つ以上選択します。
必ずしも全ての項目を公表しなければならないものではありませんが、公表範囲そのものが事業主の女性の活躍推進に対する姿勢を表すものとなりえますので、注意が必要です。
情報の公開は、おおむね年1回以上更新し、公表の日を明らかにしたうえで行います。
また、インターネットの利用等により、女性の求職者が容易に閲覧できるようにしてください(行動計画と一体的に閲覧できるようにすることが望ましいものとされています。)。
行動計画の公表により、求職者等が各社の女性の活躍推進に向けた姿勢や取組み等を知ることや、事業主間で効果的な取組みなどの情報を共有することができます。
また、各社が女性の活躍に関する情報を公表することは、就職活動中の学生など求職者の企業選択に資するとともに、女性が活躍しやすい企業にとっては、優秀な人材の確保や競争力の強化につながることが期待されています。
女性のみならず男性にとっても、求職者のみならず企業にとっても、これらの情報を有効に活用することが大切な時代になっていくのだろうと感じます。
お勤め先の企業でも、ご興味のある企業でも、まずは一度、これらの情報を探してみるのもよいかもしれません。