年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするかを調整する間、
その子が無保険状態となって償還払いを強いられること等をなくす観点から、
被扶養認定に関する基準の明確化が図られ、令和3年8月1日から適用されることとなりました。
1、夫婦とも被用者保険の被保険者の場合
(1)被扶養者の認定に係る基準
被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、
将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの)が多い方の被扶養者となります。
夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を
図るため、届出により、「主として生計を維持する者」の被扶養者となります。
夫婦の双方又はいずれか一方が共済組合の組合員であって、その者に被扶養者とすべき者に係る
扶養手当等の支給が認定されている場合には、その認定を受けている者の被扶養者として差し支えない
ものとされています。なお、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に被扶養者として
認定されないことはありません。
(2)認定に関する手続き
①被保険者(「主として生計を維持する者」に該当する夫婦の一方)は、被扶養者を有するに
至った場合には、5日以内に、被扶養者届を、事業主を経由して保険者等(夫婦の一方の健康保険の
保険者等)に提出します。
②上記①の届出をした者について、保険者等が被扶養者として認定しない場合には、
保険者等からその決定に係る通知が発出されますので、被保険者(夫婦の他方)は、
その通知を届出に添えて、次に届出を行う保険者等(夫婦の他方の健康保険の保険者等)に
提出します。
③前記②により他保険者等が発出した不認定に係る通知とともに届出を受けた保険者等は、
当該通知に基づいて届出を審査し、他保険者等の決定につき疑義がある場合には、
届出を受理した日より5日以内(書類不備の是正を求める期間及び土日祝日を除く。)に、
不認定に係る通知を発出した他保険者等と、いずれの者の被扶養者とすべきかについて、
年間収入の算出根拠を明らかにした上で協議します。
④前記③の協議が整わない場合には、初めに届出を受理した保険者等に届出が提出された日の
属する月の標準報酬月額が高い方の被扶養者となります。標準報酬月額が同額の場合は、
被保険者の届出により、「主として生計を維持する者」の被扶養者となります。
2、夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合
(1)被用者保険における被扶養者の認定
被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については
直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を「主として生計を維持する者」とします。
その結果として、被用者保険の被保険者が「主として生計を維持する者」である場合には、
その子について被扶養者の認定が行われます。
(2)認定に関する手続き
①被用者保険の被保険者は、被扶養者を有するに至った場合には、5日以内に、被扶養者届を、
事業主を経由して保険者等に提出します。
②上記①の届出をした者について、保険者等が被扶養者として認定しない場合には、
保険者等からその決定に係る通知が発出されますので、被保険者(世帯主又は国民健康保険の被保険者)は
その通知を届出に添えて、国民健康保険の保険者に提出します。
③被扶養者として認定されないことにつき国民健康保険の保険者に疑義がある場合には、
届出を受理した日より5日以内(書類不備の是正を求める期間及び土日祝日を除く。)に、
不認定に係る通知を発出した被用者保険の保険者等と協議します。
④前記③の協議が整わない場合には、直近の課税(非課税)証明書の所得金額が多い方を
「主として生計を維持する者」とします。
3、その他の取扱いについて
(1)主として生計を維持する者が育児休業等を取得した場合
主として生計を維持する者(被扶養者の認定を受けている被保険者)が、育児休業等を取得
した場合であっても、当該休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に、
被扶養者を異動しないこととされています。
ただし、新たに誕生した子については、改めて上記1又は2の認定手続きが行われます。
(2)年間収入の逆転に伴い被扶養者の認定を削除する場合
年間収入の逆転に伴い、被扶養者の認定を受けている被保険者が「主として生計を維持する者」
でなくなった場合には、その被扶養者の認定は、削除されることとなります。
この場合の被扶養者の認定の削除は、年間収入が多くなった被保険者の方の保険者等が
認定することを確認してから行います。
(3)被扶養者の認定に関する結果に異議がある場合
被扶養者の認定後、その結果に異議があるときは、被保険者又は関係保険者の申立てにより、
被保険者の勤務する事業所の所在地の保険課長(地方厚生(支)局保険主管課長)が関係保険者の
意見を聞き、斡旋を行います。
なお、各被保険者の勤務する事業所の所在地が異なる場合には、申立てを受けた保険課長が
上記の斡旋を行い、その後、相手方の保険課長に連絡することとなります。