平成28年1月にマイナンバー(個人番号)の利用が開始されてから、気づけば2年以上が経過し、その利用範囲も少しずつ拡大しています。
年金分野においても、平成30年3月5日施行の国民年金法施行規則、厚生年金法施行規則などの改正により、その利用がさらに拡大されました。
1、日本年金機構におけるマイナンバーの利用
(1)マイナンバーを活用した窓口における相談・照会対応
日本年金機構では、個人番号による年金相談・照会を受け付けています。
基礎年金番号が分からない場合であっても、マイナンバーカード(個人番号カード)を提示することで、年金に関する相談や年金記録に関する照会を行うことができます。
(2)マイナンバーによる各種届出・申請
平成29年1月以降、一部の届書には受給権者本人等の個人番号を記入することとなっていましたが、今後は、これまで基礎年金番号を記入していた届書にも、原則として個人番号を記入することとなり、届出様式も一部、変更されました。
これにより、年金関係の手続きの際には、原則として、個人番号を記入することとなりますが、その記入が困難な場合は、引き続き基礎年金番号を用いることができます。
届書に個人番号を記入する場合には、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)の添付が必要となります。
一方、届書に基礎年金番号を記入する場合には、年金手帳その他の基礎年金番号を確認できるものの添付が必要です。
(3)住所変更届及び氏名変更届の省略
日本年金機構においては、住基ネットから個人番号を基に最新の住所情報等を取得し、更新処理を行っています。
そのため、今後は、個人番号と基礎年金番号がひもづいている方については、被保険者の住所変更届及び被保険者・受給権者の氏名変更届を省略できることとなりました。
ちなみに、受給権者の住所変更届については、平成23年7月から省略できることとなっています。
(4)死亡届の省略
これまでも、個人番号と基礎年金番号がひもづいている受給権者については、その死亡の日から7日以内に戸籍法の規定による死亡の届出がされた場合には、死亡の届出を省略できることとされていました。
今後は、個人番号と基礎年金番号がひもづいている国民年金の第1号被保険者及び第3号被保険者についても、同様の場合には、死亡の届出を省略できることとなりました。
2、マイナンバーの利用に伴う取り扱い
(1)健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届について
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届にも、個人番号を記入することとなります(基礎年金番号の記入は不要ですので、採用時の基礎年金番号の確認も不要となります。)。
個人番号を記入した場合には、被保険者住所の記載を省略できますが、住民票上の住所と異なるところ(いわゆる「居所」)に住んでいる被保険者については、別に住所変更届(居所届)が必要です。
(2)利用目的の明示と本人確認措置など
健康保険・厚生年金関係の各種届書等において、従業員の個人番号を記入する際には、事業主が、利用目的の明示と本人確認措置を行う必要があります。
①利用目的の明示
個人情報保護法の規定に基づき、事業主が従業員の個人番号を取得するときは、利用目的(年金関係事務において利用すること等)を本人に通知又は公表しなければなりません。
②本人確認措置
本人確認にあたっては、個人番号が正しい番号であることの確認(番号確認)と、個人番号を提出する者が個人番号の正しい持ち主であることの確認(身元(実存)確認)が必要です。
なお、国民年金の第3号被保険者(厚生年金被保険者の被扶養配偶者)に関する届出は、厚生年金被保険者の勤務先の事業主を経由して行います。
第3号被保険者が本人の個人番号を記載して届出をする場合には、事業主又はその委託を受けた厚生年金被保険者が、第3号被保険者の本人確認を行う必要があります。
3、今後に向けて
導入当時はその取扱方法などがかなり話題になったマイナンバーですが、知らぬ間に、その利用範囲は、行政主導で着実に拡大しています。
2020年度から、マイナンバーカードを健康保険証の代わりとして使えるようになるようなことも報道されており、マイナンバーの利用範囲は、ますます拡大していくようです。
情報セキュリティ対策などへの懸念は残りつつも、この流れが止まらないのであれば、せめて個人番号を含めた個人情報の管理については、十分に注意したいものですね。
マイナンバーカードも、あまり普及していないようですが、個人的には、交付申請をして、どの程度使えるものなのかを試してみてもよいかもしれないと最近、少し思っています!