全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律が順次施行され、
令和4年10月1日から、育児休業等期間中の社会保険料の免除に係る要件が見直されました。
1、育児休業等期間中の社会保険料の免除とは?
3歳に満たない子を養育するための育児休業等の期間は、事業主が「育児休業等取得者申出書」を
提出することにより、健康保険・厚生年金保険の保険料が事業主負担分・被保険者負担分ともに
免除されます。
なお、社会保険料の免除を受けても、健康保険の給付は、通常どおり受けることができます。
また、免除された期間分についても、保険料納付済期間として将来の年金額に反映されます。
2、改正の概要
(1)保険料免除の対象となる休業
育児休業等の取得促進の観点から、出生時育児休業の期間も保険料免除の対象となります。
(2)毎月の報酬(標準報酬月額)に係る保険料の免除
育児休業等の開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までの保険料が免除となります。
この点は、これまでと同様です。
一方、これまでは、開始日の属する月と終了日の属する月が同一の場合は、終了日が同月の末日
である場合を除き、免除の対象となりませんでしたが、令和4年10月1日以降に開始した
育児休業等については、育児休業等開始日が含まれる月に14日以上育児休業等を取得した場合は、
免除の対象となることとなりました。
(3)賞与(標準賞与額)に係る保険料の免除
これまでは、育児休業等期間に月末が含まれる月に支給された賞与に係る保険料は、
その取得した育児休業等期間の長短にかかわらず、免除の対象となりましたが、
令和4年10月1日以降に開始した育児休業等については、当該賞与月の末日を含んだ
連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り、免除の対象となることとなりました。
3、保険料免除の対象となる育児休業等
保険料免除の対象となる育児休業等には、
①出生時育児休業、
②1歳(延長措置が適用される場合にあっては、1歳6ヵ月又は2歳)に満たない子を養育するための育児休業、
③3歳に満たない子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業が該当します。
②③が対象となる点はこれまでと同様ですが、今回の改正により、①が加わりました。
4、毎月の報酬(標準報酬月額)に係る保険料の免除
育児休業等開始日の属する月については、その月の末日が育児休業等期間中である場合に加えて、
その月中に14 日以上の育児休業等を取得した場合にも、標準報酬月額に係る保険料が免除されることと
なりました。
その際には、同月内に取得した育児休業等及び出生時育児休業による休業等は合算して育児休業等期間に
含めますが、労使間で合意したうえで出生時育児休業期間中に就業した日数は除きます。
この育児休業等期間の日数が14 日以上であれば、休業が必ずしも連続していなくても、
当該月の保険料が免除されます。
なお、この育児休業等の日数に関する要件は、開始日と終了予定日の翌日が同一月に属する
育児休業等についてのみ適用されます。月末を含む育児休業等(開始日と終了予定日の翌日が
異なる月に属する育児休業等)の日数は、この要件の適用においては考慮されません。
したがって、「前月以前から取得している育児休業等」の最終月の保険料は、
その月の月末日が育児休業等期間中であるか、その月の月中に当該育児休業等とは連続しない
別途の育児休業等(14日以上)を取得している場合にのみ免除となります。
5、賞与(標準賞与額)に係る保険料の免除
標準賞与額に係る保険料(賞与保険料)は、賞与を支払った月の末日を含んだ連続した1か月を超える
育児休業等を取得した場合に限り、免除されることとなりました。
育児休業等の期間が1か月を超えるかは暦日で判断し、土日等の休日も期間に含みます。
したがって、例えば、11月16日から12月15日まで育児休業等の場合は、育児休業等の期間が
ちょうど1か月であるため、賞与保険料の免除の対象外となります。
なお、1か月を超える育児休業等については、これまでどおり、月末時点に育児休業等を
取得しているかどうかで保険料免除を判断するため、育児休業等の期間に月末が含まれる月に
支給された賞与に係る保険料が免除されることとなります。
6、育児休業等取得にかかる事業主から保険者への届出
事業主から保険者等への届出については、原則として、育児休業等期間中に行う必要があり、
育児休業等終了後の届出は、やむを得ない理由があるものに限り、認められます。
この点について、今回の改正により短期間の育児休業等の取得が増えること等が想定されることから、
令和4年10月1日以降に取得する育児休業等については、育児休業等期間終了後であっても、
一定期間(育児休業等の終了日から起算して暦による計算で1か月以内)であれば理由書等の添付が
なくとも、届出が認められることとされました。