特別な休暇制度を考えてみませんか?

 

働き方・休み方改革を進めるための支援策の一つに、特別な休暇制度の普及促進が掲げられていますが、ピンと来ないのが実情ではないでしょうか。

今回は、「特別な休暇制度」について、少しご紹介したいと思います。

 

1、特別な休暇制度とは?

特別な休暇制度とは、特に配慮を必要とする労働者に付与される休暇制度のことで、休暇の目的や取得形態を労使による話し合いにおいて任意で設定できる法定外休暇を指します。

特に配慮を必要とする労働者としては、「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針・平成20年厚生労働省告示第108号)に、次のものが例示されています。

①特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者

②子の養育又は家族の介護を行う労働者

③妊娠中及び出産後の女性労働者

④公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者

⑤単身赴任者

⑥自発的な職業能力開発を図る労働者

⑦地域活動・ボランティア等を行う労働者

⑧その他特に配慮を必要とする労働者

 

2、病気療養のための休暇制度(病気休暇)

近年、長期にわたる治療等が必要な疾病やメンタルヘルス上の問題を抱えながら、職場復帰を目指して治療を受ける労働者や治療を受けながら就労する労働者の数が増加しています。

このような労働者をサポートするための制度としては、病気休暇制度をはじめ、次のような制度が考えられます。

(1)時間単位・半日単位の年次有給休暇

治療・通院のために時間単位や半日単位で取得できる休暇制度です。

時間単位の年次有給休暇については、労働基準法に基づき、労使協定を締結することによって、年に5日を限度に取得できるようになります。

(2)失効年休積立制度

失効した年次有給休暇を積み立てて、病気等で長期療養する場合に使えるようにする制度です。

(3)病気休暇制度

私傷病の療養のために、年次有給休暇とは別に利用することができる休暇制度です。

取得要件や期間は、労使の協議あるいは休暇を与える使用者が決定することができます。

(4)短時間勤務制度

疾病治療のために、一定の期間、所定労働時間を短縮する短時間勤務制度を利用するものです。

ちなみに、事業者は、労働安全衛生法に基づき、健康診断の結果を踏まえた医師等の意見や面接指導の結果を踏まえた医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少その他の労働時間等に係る措置を適切に講じなければなりません。

 

3、犯罪被害者の被害回復のための休暇

犯罪行為により被害を受けた被害者とそのご家族又はご遺族(犯罪被害者等)は、犯罪による生命、身体、財産上の直接的な被害だけではなく、さまざまな二次被害に直面します。

二次被害には、①事件に遭ったことによる精神的ショックや身体の不調、②医療費の負担や失職・転職などによる経済的困窮、③捜査や裁判の過程における精神的・時間的負担、④周囲の人々の無責任なうわさ話やマスコミの取材・報道による精神的被害などがあります。

このような被害を軽減・回復するためにも、犯罪被害者等が仕事を続けられることは重要な意味を持っています。

 

犯罪被害者の被害回復のための休暇とは、犯罪被害者等に対して、被害回復のために付与される休暇です。

例えば、犯罪被害による精神的ショックや身体の不調からの回復を目的として1週間の休暇を付与することや、治療のための通院や警察での手続き、裁判への出廷等のために利用できる休暇を付与することなどが考えられます。

また、必ずしも特別な休暇制度として設けなくても、犯罪被害者等となった従業員は休暇の取得が可能であることを周知することにより、従業員に安心感を与えることができます。

 

4、特別な休暇制度の導入・活用を!

例えば、病気休暇制度があれば、社員は、病気やケガなどの場合に一定の安心を得ることができますし、企業にとっても、これを人材の安定的な確保や仕事の質や効率の向上につなげることができるかもしれません。

一方で、平成29年就労条件総合調査(厚生労働省)によれば、平成29年1月1日現在、病気休暇制度がある企業割合は30%程度となっています。

 

特別な休暇制度には、「病気休暇」や「犯罪被害者の被害回復のための休暇」のほか、「ファミリーサポート休暇」「リフレッシュ休暇」「ボランティア休暇」「裁判員休暇」「自己啓発休暇」などが考えられています。

うまく活用すると、社員のモチベーションも上がり、意外な効果を発揮するかもしれません。

労使で十分に話し合って、社内のニーズに応じた特別な休暇制度を検討してみてはいかがでしょうか。

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