たまには就業規則を読み直してみませんか?

 

新入社員を4月に迎え入れた会社も、そろそろ落ち着いてきたころでしょうか。

ところで、新入社員の方々はもちろん、長年勤めた社員の方々も、ご自身の労働条件をきちんと把握していますか?

今回は、労働条件を記した労働条件通知書と就業規則について概観してみたいと思います。

 

1、労働条件通知書、渡しましたか? 受け取りましたか?

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して労働条件を明示しなければなりません。

この労働条件を明示するために用いられるものが、いわゆる「労働条件通知書」です。

厚生労働省のホームページにも、雇用形態に応じたモデル様式が掲載されています。

 

(1)必ず明示しなければならない事項

労働者を採用する際に必ず明示しなければならない事項には、次のものがあります。

(①~⑥の事項については、書面での明示が必要です。)

①労働契約の期間に関する事項

②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

③就業の場所、従事すべき業務に関する事項

④始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日などに関する事項

⑤賃金の決定方法、支払時期等に関する事項

⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

⑦昇給に関する事項

 

パートタイム労働者については、これらの事項に加えて、(ア)昇給の有無、(イ)退職手当の有無、(ウ)賞与の有無、(エ)相談窓口を文書の交付等により明示する必要があります。

 

(2)定めをした場合に明示しなければならない事項

次の事項について定めをした場合には、これらについても労働者への明示が必要です。

①退職手当に関する事項

②賞与などに関する事項

③食費・作業用品などの負担に関する事項

④安全衛生に関する事項

⑤職業訓練に関する事項

⑥災害補償などに関する事項

⑦表彰・制裁に関する事項

⑧休職に関する事項

 

2、就業規則、作成していますか? 知っていますか?

就業規則は、労働者の労働条件や職場内の規律等について、労働者の意見を聴いたうえで使用者が作成するルールブックです。

常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成義務があります。

就業規則を作成し、または、変更したときは、労働者代表の意見書を添えて、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。

また、就業規則は作業場の見やすい場所に掲示するなどの方法により労働者に周知しなければなりません。

 

(1)就業規則に記載する事項

就業規則には、①始業・終業時刻、休憩、休日等に関する事項、②賃金の決定方法、支払時期等に関する事項、③退職に関する事項(解雇の事由を含む。)を必ず記載しなければなりません。

また、前記1(2)に掲げる事項について定めをした場合には、就業規則にもこれらを記載する必要があります。

 

(2)就業規則の変更による労働条件の変更

法令の改正があったり、会社や職場の事情が変わったりした場合には、就業規則の変更が必要となることがあります。

しかし、労働条件を定めた労働契約は、労働者と使用者を契約の当事者とする合意です。

したがって、使用者が、労働者と合意をすることなく、一方的に就業規則の変更により、労働者に不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することは、原則として、できません。

ただし、①就業規則の変更に合理性があり、②変更後の就業規則が周知されるときは、就業規則の変更による労働条件の不利益な変更が拘束力を持ちます。

就業規則の変更に合理性があるか否かの判断にあたっては、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の事情が考慮されます。

 

3、就業規則は常に進化を!

使用者にとっての労働条件は、企業の経営にも大きな影響を与えるものの一つです。

労働者にとっての労働条件は、働いている限り、最も関心が高いものであるはずです。

適正な労働条件を確保するだけでなく、皆が安心して働き、無用なトラブルを防ぐためにも、時には就業規則を見直していくことが大切です。

労働者の皆さん、そもそもお勤めの会社の就業規則を見たことがありますか?

使用者の皆さん、何年も前に作成された就業規則がそのままになっていませんか?

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