令和5年4月1日施行の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
(略称:育児・介護休業法)の改正により、従業員が1,000人を超える企業の事業主に、
男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務づけられます。
これと併せて、男性の育児休業制度の利用状況をご紹介します。
1、公表が義務づけられる事業主の範囲
公表が義務づけられるのは、常時雇用する労働者数が1,000人を超える事業主です。
「常時雇用する労働者」とは、雇用契約の形態(正社員、パート、アルバイト等)を問わず、
事実上期間の定めなく雇用されている労働者を指し、次のような者がこれに該当します。
①期間の定めなく雇用されている者
②過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者又は雇入れの時から1年以上引き続き
雇用されると見込まれる者(一定の期間を定めて雇用されている者又は日々雇用される者であって
その雇用期間が反復更新されて、事実上①と同等と認められる者)
2、公表の内容
(1)公表すべき事項
公表すべき「育児休業の取得の状況」とは、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度
(公表前事業年度)における次のいずれかの割合のことです。
①男性の「育児休業等の取得率」:公表前事業年度に育児休業等を取得した者の数÷公表前事業年度に
配偶者が出産した者の数(小数第1位以下切捨て)
②男性の「育児休業等及び育児を目的とした休暇の取得率」:公表前事業年度に育児休業等を
取得した者の数及び小学校就学前の子の育児を目的とした休暇を取得した者の数の合計数
÷公表前事業年度に配偶者が出産した者の数(小数第1位以下切捨て)
公表に当たっては、公表する割合と併せて、算定期間である公表前事業年度の期間
及び①②どちらの割合であるかを明示します。
(2)対象となる休業等
「育児休業等」とは、育児休業、産後パパ育休及び法第23条第2項(3歳未満の子を
育てる労働者について所定労働時間の短縮措置を講じない場合の代替措置義務)又は
第24条第1項(小学校就学前の子を育てる労働者に関する努力義務)の規定に基づく措置として
育児休業に関する制度に準ずる措置が講じられた場合の当該措置によりする休業のことです。
「育児を目的とした休暇」とは、目的の中に育児を目的とするものであることが
明らかにされている休暇制度(例:失効年休の育児目的での使用や、
いわゆる「配偶者出産休暇」制度など)のことです。育児休業等及び子の看護休暇、
労働基準法上の年次有給休暇を除きます。
3、取得率の計算に当たっての具体的な取扱い
・産後パパ育休とそれ以外の育児休業等を分けて計算する必要はありません。
・育児休業を分割して2回取得した場合や育児休業と育児目的休暇の両方を取得した場合であっても、
それらが同一の子について取得したものである場合は、1人として数えます。
・事業年度をまたがって育児休業を取得した場合は、育児休業を開始した日を含む事業年度の
取得として計算します。また、分割して複数の事業年度に育児休業を取得した場合は、
最初の育児休業等の取得のみを計算の対象とします。
・育児を目的とした休暇を出産予定日前の期間のみ取得し、出産予定日以後に取得していない場合は
計算から除外します。
4、公表の方法及び時期
公表は、インターネットの利用など、一般の方が閲覧できるように行う必要があります。
自社のホームページ等のほか、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で
公表することも推奨されています。
公表は、毎年少なくとも1回、行う必要があり、公表前事業年度の状況について、
公表前事業年度終了後、おおむね3か月以内に行うものとされています。
5、男性の育児休業制度の利用状況~厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」結果より
(1)育児休業者の有無別事業所割合
令和元年10 月1日から令和2年9月30 日までの1年間に、配偶者が出産した男性がいた事業所に
占める男性の育児休業者(上記の期間に配偶者が出産した者のうち令和3年10 月1日までの間に
育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。))がいた事業所の割合は18.9%と、
前回調査(令和2年度)より上昇しました。
(2)育児休業者割合
令和元年10 月1日から令和2年9月30 日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、
令和3年10 月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合も
13.97%と、前回調査(令和2年度)より上昇しました。
(3)育児休業終了後の復職状況
令和2年4月1日から令和3年3月31 日までの1年間に育児休業を終了し、
復職予定であった男性のうち、復職した者の割合は97.5%、退職した者の割合は2.5%でした。
(4)育児休業の取得期間
令和2年4月1日から令和3年3月31 日までの1年間に育児休業を終了し、
復職した男性の育児休業期間は、「5日~2週間未満」が26.5%と最も高く、
次いで「5日未満」が25.0%、「1か月~3か月未満」が24.5%となっており、
2週間未満が5割を超えています。