最近、コーヒーを美味しそうに淹れるドラマを観ていたので、久しぶりに本格的なコーヒーが飲みたくなり、
近所の喫茶店に行ってみることにしました。
一軒家の1階がお店になっている隠れ家的なところです。
黒蜜がかかったシフォンケーキとコーヒーのセットを注文。
やっぱり自分で作るインスタントコーヒーとは段違い!
この喫茶店、隠れ家にふさわしく店内にはクラシック音楽が流れていました。
「あっこれ、ベートーヴェンの交響曲・英雄だ!いいね、いいね。」と本を読みながらも耳を傾けていたのですが、
そのうちバイオリン協奏曲が流れたかと思ったら、ピアノとバイオリンのソナタが流れ、
しまいにはエリーゼのためにが流れてきました。
「もしかしてこのCD、ランダム演奏になってる?」というくらい、いろんな種類の曲が聞こえてきました。
ちょうどその時、常連さんと思われる男性が店主に「これ、音楽鳴ってるの?音が小さくない?」と言い、
近くにいた別のお客さんにも「どう?聞こえる?」と尋ねていました。
やっぱり他のお客さんもベートーヴェンの曲を聴いていたのですね。
音量のことを聞かれたお客さんは「このぐらいで大丈夫です。」と答えていましたが、常連さんはご不満のようです。
私は聞かれてはいないけど「私も大丈夫。」と内心思っていましたが、
店主は「じゃあ、もう少しボリューム上げますね。」と言って、少しだけ音が大きくなりました。
すると絶妙なタイミングでジャジャジャジャーン!と交響曲・運命が鳴り!?
曲は途中で終わり、次はすこぶる静かなピアノ曲・月光ソナタへと移っていきました。
もうこの時点で私は読んでいた本がまったく頭に入らなくなってしまいました。
いったいこのCDはなんなんだ?
ベートーヴェンの曲が不完全な形であれこれ流れるCDが気になって仕方ありませんでした。
お店に入ってからそろそろ1時間。帰ることにしてお会計へ。
店主に、「今かかっているCDは何ですか?」と思い切って聞いてみることにしました。
そしたらCDジャケットを見せてくれたのですが、ベートーヴェンの曲を集めたオムニバスだったのです。
店主は「いろんな曲が聴けるほうが楽しいかなと思って。」と。
それで私もようやく納得!
その場に偶然居合わせた知らない者同士のちょっとした会話。
コロナ禍の今では珍しいことになってしまったような気がします。
小さな場所で流れていた音楽をめぐって会話に参加していない私ですら繋がりを感じ、
とても和んだ午後のひとときでした。
これからもこのお店に足を運んで、常連さんになってみようかなと思ったところです。