読書の秋に「生き物の死にざま」(著:稲垣栄洋)という本を読みました。
さまざまな生き物の驚くような死にざまが書かれています。
言われてみればそうだなと思うこともたくさんありました。
例えば昆虫ですが、
多くの昆虫の寿命は一年もないこと
子孫を残すために、生まれてから成虫になるまでが早いこと
交尾を終えるとまもなく死んでしまうこと
親は子育てをしないこと
子供は親の顔を知らないこと
そんな昆虫の中では珍しく、ハサミムシのメスは子育てをするそうです。
石の下で、産み付けた卵にカビが生えないように、なめたり空気を入れ替えたりと世話をし、
卵がかえるまで(40日~80日)飲まず食わずで、かたときも卵のそばを離れないそうです。
一方でオスはどこに行ったのか、行方知らず… ^^;
さて、卵が無事にかえるとここからがすごいです!
ハサミムシは肉食なので小さな虫を餌にしていますが、孵化したばかりの幼虫に餌をとることはできません。
そこでおなかをすかせた幼虫は母親のおなかに集まってきます。
哺乳類ならここはお乳を飲む場面でしょうが、なんとハサミムシの幼虫は、母親を食べ始めるそうです!?
母親は逃げることなく、むしろ子供たちのために体を差し出します。
こうやって母親を食べつくしたころに春がやってきて成長した子供たちは巣立っていきます。
これがハサミムシの母親の死にざまです。
他にも鮭、ウミガメ、タコ、女王アリなどの、感動的であり、残酷でもある死にざまが紹介されています。
人は子育てをし、長く生きる力を持っている生き物ですが、
自然界に生きる生き物の死にざまを見ていると、最近の人は、
長く生き過ぎている…というか、生かされ過ぎているのではないかと思ってしまいます。
単なる生き物として与えられた生命力の中で本能的な死を迎えることができたら
それが一番よいことだなと、親を見送る立場になった今、感じるこの頃です。
「生き物の死にざま」は、生きることについて何かを感じずにはいられない本だと思いますので、
機会がありましたら、是非とも皆さんも読んでみてくださいね!